勇者 一問一答
Q1.好きな色はなんですか?
「うーん、パス」
Q2.それでは、嫌いな色はありますか?
「秘密!」
Q3.趣味はありますか?
「これもパス」
Q4.えーっと、好きな食べ物は?
「答えたくないなー」
Q5.嫌いな食べ物は?
「ヒミツ!」
Q6.ちょ、ちょっと!! 非協力的過ぎませんか!!
「えー。だってさー。俺、自分のこと話すの好きじゃないんだよね」
Q7.いやいや! これじゃあインタビューの記事が書けないんですけど!
「じゃあさ、全部想像で書いて良いよ。好きな食べ物、嫌いな食べ物、その他全部」
Q8.だめです! 完全なフィクションは、僕的に許せないんです。国民を騙しているようで、気が引けるので……。なにか1をくれれば、それ100に膨らませることはしても良いですけど。だから、出来るだけ答えてほしいんです! 回答はなんでも良いので!
「うーん、わかった。りょーかい」
Q9.じゃあ好きな食べ物に関して。今、食べたいものってないんですか? なんでも良いので。
「今って言われても、特に無いけどねー。俺って食べなくても死なないし」
Q10.……え?
「あ、ひとつだけ食べたいもの思いついた」
Q11.ほ、本当ですか!? それはなんですか!?
「聖女様」
Q12.あ、うん。なるほど。期待した僕がバカでした。
「えー? 酷いなぁ。せっかく真面目に答えたのに」
Q13.では、気を取り直して。何か得意なことってないんですか? 魔王様は料理が得意らしいですよ。
「えー。俺が得意なこと? 人を殺すこととか?」
Q14.あー! なるほどっ! 魔法、魔法が得意ということですね! 素晴らしいです! よくわかりました! じゃあ、年齢。年齢なら答えられますよね?
「年齢? あー、じゃあさ。俺っていくつに見える?」
Q15.(逆質問だと!? 魔王様によると、魔界の民の平均寿命は1000歳ほど。魔王様より勇者様は歳下っぽい気がする。いや、実は年上だったりする? ちょっと若めに言うべきだろうか? 若く言いすぎると、逆に不機嫌になる可能性もあるのか?)
「おーい。賢者くん大丈夫? 白目剥いてるけど」
Q16.ふはっ!? あ、えっと、300歳……くらい、で、どうでしょう
「ふーん、じゃあそれで良いや」
Q17.(いや、それで良いやってなんやねん!) あの、年齢当たってました?
「うーん、ノーコメントで」
Q18.(ノーコメントかい!)
「賢者くんさぁ」
Q19.え? な、なんですか?
「今回のインタビュー記事って、魔王の支持率向上のために載せるんでしょ? 聖女様と魔王と俺、3人は素敵で理想的な夫婦ですよーってアピールして。ハートフルで盤石な政権の印象を付けるっと。それなら、俺のこと書くのは逆効果だって」
Q20.狂気が、滲み出ちゃうからですか?
「ん、そうそう。よく分かってんじゃん。それを分かってて、魔王は俺を表舞台に出さないんだから。だからね、俺の部分は100%フィクションの方が良いと思うよー。それかさ、俺の部分は省いても良いし」
Q21.省くのは僕的にちょっと違うかなって思うんです。……しょうがないですね。わかりました。それでは、勇者様のインタビュー部分は僕の方でキラキラ王子様キャラを作って登場させます。
「うん、よろしくー。じゃあ、俺はもう行くね。聖女様不足だから」
Q22.あ、待ってください。最後にひとつ。これは、インタビューではなく、個人的に気になってたことなんですけど。
「んー? なにー?」
Q23.僕がこの世界に転移した日。聖女さ、あ、いや、奥様泣いたじゃないですか。榊さんと千早君、兄弟ふたりの安否を知って。あの時勇者様は何も言わずに真顔で眺めていましたけど、何を考えていたんですか?
「あぁ、あの時ね! よく覚えてるよ。聖女様の泣き顔可愛かったなー。ポロポロ落ちる涙が、もったいないくらい綺麗だったよね。聖女様って気丈だからさー。泣き顔なんて、そうそう見れるものでもないし! でも……」
Q24.で、でも?
「俺以外が原因で泣くなんて、許せないよね。やっぱり、俺が原因で、俺だけのために泣いてほしい」




