村の過去
本気の殺意混じりの尋問をされている最中、俺は必死に頭をフル回転させて自分の正体を明かさない返答を考えていた。
(風華殿落ち着いて下さい!確かに私は他の人間より身体が丈夫ではありますが何処の国の者でも御座いません!片田舎出身の放浪人でございます!)
そう念話すると長は溜息をついてガタイの良いエルフ達に何かを伝えた。
(これほどの殺意を向けられてその返答とは本当か真の阿呆であろうな、お主が敵では無い事は把握した。しかし今一度別室で身体検査を受けてもらう。逃げるで無いぞ?)
(下着も脱がされますよね)
(当たり前であろう、何かやましい物を隠してるのか?だが安心せいお主にも気を使い男に調べさせてもらう。良いな?)
俺に選択肢は無かった、泣く泣くではあるが少しの間見せ物にでもなってやろう。
(はい)
そうして別室に連れて行かれ衣服や下着をひん剥かれ事細かに調べられた。
身体検査が無事終わり元の部屋に戻ると結果を知らされた長が申し訳なさそうな顔をして頭を下げてきた。
(風華殿!頭を上げて下さい。全裸の怪しい男を村に迎えてくれただけでもこちらは頭が上がりません。しかし過去この村に何かあったのでしょうか?)
(そうだな、あれだけ殺意を向けた謝罪を込めてお主には風霊村に過去あった事を教えよう。かつてこの村はもっと広大であった、しかし何処で情報が漏れたかは知らぬがこの村のからくり技術とこの村だけに何代かに1人だけ生まれる[精霊の愛し子]を狙って彼方にある大国が攻めてきた。そして侵略からこの村を守る為に男女関係なしに戦い今やこの村に住む村民は30をギリギリ下回らないぐらいしかいないのだ。そして戦死者は2000を超えた所で私の両親は命と引き換えに禁術を使い大国を退けはしたがいつ大国は攻めてくるか分からないのが現状であるのだ)
(風華殿すまない、辛い思い出をわざわざ私の為に……)
(良いんだ、お主は腕が立つのであろう?これからは頼りにさせて貰うぞ?)
(尽力させて頂きます!)
俺は改めてこの村の助けになろうと思った。