07 ˩˦˨˧˥ 小さな覗魔
「セㇷ゚チㇱレㇺ、ミオリコ、着物は洗い終わったぞ!」
私がしばらくトイレでお風呂(洗面器だけど)に入っているセㇷ゚チㇱレㇺと話していたら、ロㇰペㇾタㇻはこっちに入ってきた。さっきまで彼女は台所でセㇷ゚チㇱレㇺの着物を洗っていた。トイレのドアは閉まっていないから彼女はすぐこっちに入れた。
「ありがとう。ロㇰペㇾタㇻ。お疲れ様」
「ね、セㇷ゚チㇱレㇺは今洗面器の中にいるのか?」
「うん、あたしはここよ」
床に立っているロㇰペㇾタㇻは当然、この角度から見上げても今洗面器の中に座っているセㇷ゚チㇱレㇺの姿を見ることはできないので、セㇷ゚チㇱレㇺは洗面器の端に上って顔を見せて手を振った。
「って、ロㇰペㇾタㇻ、何をしてるの?」
いきなりロㇰペㇾタㇻは私の足に近づいて興味深そうに触ってしかも何か嗅ごうとしているようだ。普通こんなことするのはセㇷ゚チㇱレㇺだけだからロㇰペㇾタㇻも同じようなことをするなんて珍しい。
「セㇷ゚チㇱレㇺがいつもこうやって楽しそうだからボクもやってみたいと思って」
「そ、そんなこと真似しなくていいの!」
私はすぐロㇰペㇾタㇻを掴んで待ちあげてきた。変態はセㇷ゚チㇱレㇺ一人だけで十分だ。ロㇰペㇾタㇻは無邪気で可愛らしいロㇰペㇾタㇻでいて欲しい。
それにセㇷ゚チㇱレㇺの所為で私はいつも余計に足元に気をつけるという癖ができてしまった。だって下手すればつい踏んで大変なことになると思うのだから。
更にそれだけでなく、下からならスカートの中……パンツ丸見えになりそうだという理由でもある。実際にセㇷ゚チㇱレㇺはこうやってよく私のパンツを覗き込んできている。
パンツなんて着替える時も見られてそこまで抵抗感がなかったけど、なぜかスカートの中にあるという状態で見られると嫌な感じになっちゃうよね。
「ちなみにロㇰペㇾタㇻ、ミオリコのパンツを覗いた?」
「うん、ボクさっきちょっと見たぞ!」
「……っ!」
直球に訊いたセㇷ゚チㇱレㇺに対してロㇰペㇾタㇻは馬鹿正直に答えた。
「で、どうだったの?」
「暗くてよく見えないけどそれはそれで神秘な感じで……」
「おい! そんな感想はいいからもう……! そもそも着替えた時に見えたはずだし」
「ミオリコはわかってないわね。着替えの時に見るパンツと、スカートの下で見るパンツは違う味だよ」
「人のパンツを食べ物みたいに言うな!」
そんな変態のセㇷ゚チㇱレㇺの考え方、説明しなくてもいい!
「でもさっきミオリコも美味しく食べたわよね?」
「え? あ、あれは『パンツ』ではなく、『パン』だ!」
「似たもんだと思うけどね」
「どこが……」
こんな駄洒落はもういい……。
「でもやっぱりいいな。パンツって。気持ちよくパンツを穿いているミオリコを見て羨ましい。ボクも穿いてみたい」
「ロㇰペㇾタㇻ……」
セㇷ゚チㇱレㇺと違って、やっぱりロㇰペㇾタㇻは嫌らしい理由で人のパンツを見たのではない。ただ憧れているだけみたい。
なぜならコㇿポックㇽの服装はただ着物一枚だけで、下にはパンツなど下着なんてないから。穿きたくても彼女の体に合う小さいパンツは簡単には作れないらしい。私の日常で着ている服も。
もし人間の服をそのまま10分の1スケールに縮めることができたらいいのにね。そうしたらコㇿポックㇽの着物と同じような性質で、私の服もロㇰペㇾタㇻたちに着せることができるだろう。
「まあ、ミオリコのパンツにはいっぱい夢が詰まっているわよね」
「言い方!」
「そうだね。大きな夢!」
「ロㇰペㇾタㇻも同感しないで!」
こんな恥ずかしい話……。2人ともまったく……。
「あたしは時々ミオリコの脱ぎたてのパンツに潜ったりするけど、気持ちよくてその中からミオリコを感じるわね」
「……」
今のはキモすぎてもうどうツッコミ入れるかわからないので私は言葉がない。不本意だ。やっぱりこんな話、もう付き合っていられない。
「とりあえず、今私はセㇷ゚チㇱレㇺの予備の服を取りに行くから、2人ともここで待ってて」
ロㇰペㇾタㇻを洗面器の蛇口の上に置いてから私はトイレから出て2階にある自分の寝室に向かった。彼女の服はあそこに置いてあるから。
「ありがとうね。ミオリコ」
と、後ろからセㇷ゚チㇱレㇺの小さな感謝の声。
その後私は服を持ってまたトイレに戻ってきて、お風呂から上がったセㇷ゚チㇱレㇺに渡して着替えさせた。
夏休み初日なのに朝からいろいろあって疲れたけど、こうやってこれでひとまず一件落着だな。
次回はようやく魔女っ子の登場です。