05 ˦˨˥˧˩ 小さな変態
「よし、着替え完了!」
私はネグリジェから白いワンピース服に着替えた。
「さ、2人とも乗ってきて」
「「うん!」」
私は一度ロㇰペㇾタㇻとセㇷ゚チㇱレㇺが立っているベッドに座ったら彼女たちは私の太腿に乗ってきて、更に私の服を掴みながら上の方へと登ってきた。なんか自分が『大きな木』になっているって感じで不思議な感覚だな。
彼女たちは体が小さいから移動する時に私に頼るのはいつものことだ。そんな時私が手で掴んで運ぶのもいいけど、それより彼女たちは私の体の好きなところに乗らせた方がいい。
いつもみたいにセㇷ゚チㇱレㇺは私の肩に乗って、それに対してロㇰペㇾタㇻ私の服の襟の中に潜って、腕と首以上の部分だけ外に出ているという感じになっている。
私は自分の胸のところに誰か乗っているのは変な感じだと思ってちょっと違和感があるけど、ロㇰペㇾタㇻにとってここは柔らかくて暖かくて居心地いいと言って気に入ってくれているからそれでいい。ここはもはやロㇰペㇾタㇻの特等席みたいなものになっているし。まあ、私としてはもっと柔らかくて気持ちよくしてあげたいと思っているけど、これくらいしかなくて……。
「では食事室に下りるね」
私の寝室は2階にあって食事室が1階だから、私は寝室から出て階段を下りた。
家の階段の1段の高さは20センチくらいで、コㇿポックㇽたちの身長より高いから彼女たちが自分で上ったり下りたりするのは難しい。上れないほどではないが、やっぱり山に登るみたいな感じでこれだけでも冒険みたいな感じになりそうだ。だからできるだけ私が運んであげる。
食事室に着いたら彼女たちを食卓に置いて私はパン焼き器でパンを焼いて皿に置いてピーナッツクリームとイチジククリームを塗って、蜂蜜をかけた。私の朝食はいつもこんな簡単なものだ。
「できたよ」
私は1センチくらいの厚さの食パンの端の部分を指先サイズくらい裂いて2人に渡して、残った部分は私が食べる。
「「ありがとう」」
こんな感じで、私は特に彼女たち2人だけの部分の料理を準備する必要がなく、普段は私から残ったものだけで十分だ。なんか残り物ばかり食べさせているという形になって悪い気もするけど、彼女たちの小さな体はこれだけで満腹だからそれでいいみたい。
「なんかセㇷ゚チㇱレㇺのパンがボクのより大きいぞ!」
「それはあたしへの愛の方が大きいってことね」
「いやいや、ただ偶々なだけで」
そこまで几帳面に分けたわけではないから。そもそもこんな小さい破片は私から見たら細かい違いはよく判別できないし。
「お茶も淹れるね」
2人のために私は自分のコップから少し紅茶をペットボトルのキャップに注ぐ。2センチくらいしかないキャップだけど彼女から見れば大きなトレイくらいのサイズに見えるだろう。飲む時も両手でないと持ち上げられない。
「あっ……!」
「キャッ!」
注ぐ時につい手が滑ってコップが私の手から落ちて零れた紅茶はセㇷ゚チㇱレㇺにぶっかかってしまった。
「セㇷ゚チㇱレㇺ、大丈夫? 本当にごめんね!」
自分の所為でお茶でびしょ濡れになってしまった彼女を見て最悪感が湧いてきながら心配で訊いた。
「ううん、別に平気よ」
「火傷は?」
「それほど熱くないから問題ないみたいだけど、着物が……」
「あ……」
そういえばコㇿポックㇽの着物って特製で高価だったね。そんな服が紅茶で汚れてしまった。
「セㇷ゚チㇱレㇺ、とりあえず早く脱いで。ボクが洗ってあげるから」
ロㇰペㇾタㇻは慌てて言った。コㇿポックㇽの服は小さくて繊細で、私みたいな人間の手で洗うことは不可能なので自分たちで洗うしかない。
「うん、頼むわ。ロㇰペㇾタㇻ」
そう言ってセㇷ゚チㇱレㇺは早速着物を脱いで、そしたら彼女の小さいながらもいい形で大人っぽい体が露わになった。しかも濡れ濡れの状態で更にエロっぽく意識してしまう。
「あら、そんなエロい目で見られたらあたしは興奮してしまうわ」
「もう……」
エロい体をしているそっちが悪い! と文句を言いたいけど、今のは私が悪いからツッコミする余裕がない。
「とにかく早く着物を洗わないとね。ロㇰペㇾタㇻ」
「うん」
ロㇰペㇾタㇻは脱ぎ捨てられたセㇷ゚チㇱレㇺの服を拾って私の手に乗った。そして私たちは台所に向かって、あそこのシンクで着物を洗ってもらうことになる。
その後ロㇰペㇾタㇻを台所に置いて食卓に戻ってきた私はおかしな光景を見てしまった。
「セㇷ゚チㇱレㇺ? 何をしているの?」
彼女はなぜかさっき私の食べ残った食パンに寝転がっている。しかも彼女の裸体はパンに塗ったピーナッツクリームとイチジクジャムと蜂蜜で汚れている。なんか嫌らしい……。いい匂いだし。いや、それはきっと蜂蜜の香りだ。
「ずっと前からこうしてみたかったんだわ。でも着物が汚れちゃうからできなかった。今ちょうど裸になって、しかもすでに濡れているからちょうどいい」
「何をしたいのか全然わからないけど……!」
裸でピーナッツクリームとイチジクジャムと蜂蜜を浴びるなんて意味わからない。ただの変態かな? 変態の考えは私はあまりわかりたくないかも。
「さ、今のあたしは美味しそうでしょう? 食べてもいいわよ!」
「いやいや、そんな冗談はやめてよね」
自分のことを『美味しい』って言う人、始めて見たよ。
「もしかしてロㇰペㇾタㇻの方が美味しそうかしら?」
「どっちも食べないよ!」
「まだ足りないならツナマヨや北海道練乳とかつけてもいいわよ?」
「私はピーナッツクリームを塗る派なの! いや、そうじゃなくて……」
いちいちツッコミ入れたら切りはなさそう。こんなに元気でよかったけど、結局私はいつもみたいにセㇷ゚チㇱレㇺに振り回されて困ったな。
「とにかく体を洗おう」
そう言って私は彼女の体を掴んで持ち上げてきた。
「待って。せめてちゃんとパンを食べてからでいいわよ?」
「いや、そのパンはセㇷ゚チㇱレㇺが乗ったからさすがに……」
「だから食べて欲しいの。あたしの味のパン」
「なんでそうなる!?」
やっぱり変態か。
「あたしの体が嫌なの?」
「そんな意味ではないけど……」
別にセㇷ゚チㇱレㇺが汚いとかそういうことではないが、気持ちの問題で……。
「あたしがこうなってしまったのはミオリコの所為だよ? だからあたしの願いを一つ聞いてもいいでしょう?」
「それは……。まあ、いいけど」
私の所為であることは事実だから言い返しができない。
「ではそのパンがあたしだと思って食べてくれ」
「なんかわけわからない願いだね……」
なんで私がこのパンを食べたらセㇷ゚チㇱレㇺが喜ぶのか? わからない。わからなくてもいい気がする。とりあえず別に嫌じゃないから私はこのパンを噛んで一口食べた。味は普通だけどなんか変な感じになった。
「やだ。ミオリコに噛まれちゃった~。食べられちゃう~」
「変な声出すな!」
なぜかセㇷ゚チㇱレㇺはそんな私を見て嬉しそうに興奮しているようだけど。何か変な想像してない?
「今のはパンの気持ちを代表しただけ」
「いや、食べられて嬉しそうに興奮するのはどうかと……。もう、とにかく行くも」
私は残ったパンを口に咥えたままセㇷ゚チㇱレㇺをトイレに連れていく。