22 ˩˨˧˦˥ 大きな鈕
「ではこれ全部10分の1サイズにするの」
私のセーラー服と下着のセットを手にして牧星菜ちゃんは縮小化呪文をかけて小さくしてやがて手のひらの中に収まるくらいのサイズになった。こう見えて人形の服みたいだけど、実際この服は今の私よりまだ10倍大きいだろうね。
「よし、これでロㇰペㇾタㇻちゃんも着られるのね」
「ありがとう。マキセナ!」
小さくなった服を渡してもらったらロㇰペㇾタㇻはすごく嬉しそう。
床に降ろしてもらったらロㇰペㇾタㇻは早速着物を脱いで全裸になった……。
そしてその姿を見て私はつい見惚れて変な気分になってしまった。
別にロㇰペㇾタㇻの裸なんて見るのは初めてではない。お風呂の時とか何度も見たことがある。ただ、いつもならただ小さな人形って感じで何とも思わなかった。
しかしサイズが逆になってロㇰペㇾタㇻの方が巨人になった今、これはなぜかものすごく壮観でまるで美術品みたい。
それにその胸……。確かに小ぶりだけどやっぱり私より……。形もちょうどいいし。ロㇰペㇾタㇻがこんなにいい体をしているなんて……なんで今まで気づいていかなかっただろうね、私。
「あら、あたしも着物を脱いで全裸を見せてあげようかしら?」
「……っ! いや、結構だ!」
相変わらず私の考えていることを見通しているみたいにセㇷ゚チㇱレㇺはツッコミを入れてきた。
ロㇰペㇾタㇻの裸だけでもこんなに破壊力なのに、セㇷ゚チㇱレㇺは尚更駄目だろう。
そもそもセㇷ゚チㇱレㇺの裸なら今朝も見たばかりだし。彼女のスタイルのよさは小人サイズであってもよく伝わってきている。わざわざ巨人サイズで見るまでもないか。
「やった! ミオリコのパンツだぞ!」
ロㇰペㇾタㇻは私のパンツを着て大喜びした。たかがパンツで大袈裟だな。こっちまで恥ずかしくなってきた。
「ミオリコ、これはどう付けるの?」
今ロㇰペㇾタㇻが手にしているのは私のブラだ。なんか困っているみたい。
ただ足を通すだけで済むパンツと違って、これはやり方わからないと付けられないよね。
「では私も同じサイズに大きくなって手伝ってあげようか?」
なんか口実ができた。これは大きくしてもらえるチャンスだ。
「あたしが手伝おう。ミオリコは指示するだけでいい」
「待って。セㇷ゚チㇱレㇺも付けたことないはずだけど?」
「あたしはミオリコが着替えるところをいつもじっと見ていたからきっと大丈夫。任せて」
「……」
今頼れるお姉さんっぽく言っているようだけど、やっぱりこの発言はただの変態だ……。
「ほら、こうやって……」
結局セㇷ゚チㇱレㇺが代わりにロㇰペㇾタㇻの手伝いをして、私の出番はなかった。
ていうか、もしかしてセㇷ゚チㇱレㇺは私の考えを見通しだからわざと邪魔するのでは? やられちまった……。
「着心地はどう?」
やっと付け終わったロㇰペㇾタㇻにセㇷ゚チㇱレㇺが感想を訊いた。
「うん……。なんかきつい」
「うっ……」
やっぱりそうなるよね。予想はしておいたけど。
「あら、まあ。仕方ないわ。だってこれはミオリコサイズのものだから。我慢してね」
「なるほど。そうだよね。ミオリコだから」
「2人ともストップ! それ以上言わないで!」
この2人って……。このまま私の威厳は……。まあ、元からあまりないけど。
「なんでミオリコが落ち込んでいるの?」
「察してよ……」
相変わらずロㇰペㇾタㇻが天然でよかった。
「まあ、でも付けられないほどではないわよね。あたしだったらさすがに無理だけど」
「そうだろうね」
私とロㇰペㇾタㇻとはそこまで違わないから大丈夫だろうけど、セㇷ゚チㇱレㇺの場合は、まあ……。
「うん、そうだぞ。ボクは大丈夫だから心配しないで」
「それはよかったね」
別に今はロㇰペㇾタㇻのことではなく自分のこと心配しているけどね。
「では次はシャツね」
ロㇰペㇾタㇻはシャツを持ち上げた。
「これ、どうやって?」
どうやらロㇰペㇾタㇻはシャツの着方でもわからなくて困っているようだ。
これは意外だな。私は日常でシャツを着ているからこれが自然と着られるけど、普段和服しか着ていないロㇰペㇾタㇻは違うよね。
「では私が手伝ってあげようか。まず私を大きくして……」
また大きくなれるチャンスだ。
「ううん、あたしが手伝っていいわ。ほら、こっちの方が右袖で、この中に右腕を入れて……」
やっぱりセㇷ゚チㇱレㇺは邪魔してくる。
てかなんでセㇷ゚チㇱレㇺが詳しいのよ。着たことないはずなのに。どれだけ私の着替えを熱心に観察していたの?
「これは鈕? やっぱり難しいぞ」
次の難関は鈕のようだ。確かに鈕は慣れない間に自分でつけることは意外と難しいよね。
「では私が……」
またのチャンス……。まあ、どうせセㇷ゚チㇱレㇺが邪魔すると思うけど。
「そうね。ミオリコに手伝ってもらってもいいわね」
「え? うん、任せて」
意外と私の手伝いを認めてくれた。これでやっと……。
「ではよろしく」
そう言ってセㇷ゚チㇱレㇺは私を手のひらに乗ってロㇰペㇾタㇻの着ているシャツの鈕のところに持ってきた。
「まさかこのサイズのままか?」
「そうだけど」
やっぱりそうだった。大きくしてもらえるチャンスだと思った私はアホだった。
「それじゃ意味ないし! なんで私が?」
このサイズだと私から見れば鈕は手のひらと同じくらいのサイズだ。動かせないほどのサイズではないけど、私がやるよりセㇷ゚チㇱレㇺがやればいいだろう。
「だってミオリコは手伝いたいでしょう? 今のサイズだとできることはやっぱり鈕を付けることくらいね」
「確かにそうだけど」
だから私を大きくしてもらうと言ったのに。まあ、最初からそうしてくれるつもりはないだろうね。仕方ない……。
「よし、完成」
「ありがとうだぞ。ミオリコ」
こんな巨大な鈕は初めてだけど、このサイズだと意外と普段より楽だ。小さい方が有利ってことは細かい作業が必要の時くらいだよね。今後私がシャツを着る時にロㇰペㇾタㇻに頼んでみようかな?
「後はスカートとリボンね」
この後も着替えは続く。結局ほとんどはセㇷ゚チㇱレㇺの手伝いで終わった。
「ミオリコ、普段こんな服を着ているなんて大変そうだね」
「いや、別に。むしろ2人の和服みたいなのが難しいと思うけど」
洋服がこんなに難しいとは思ったことなかったが、これは着慣れているからだよね。普段和服しか着ていないロㇰペㇾタㇻは私とは逆。和服も慣れたら意外と簡単かもね?
意外と手間がかかるけど、これでロㇰペㇾタㇻの着替えは終わり。
こんな感じでこの作品はほのぼの縮小娘です。
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