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21 ˩˨˧˦˥ 大きな服

 「ところで牧星菜(まきせな)ちゃんの縮小化呪文は生き物以外にも使えるの?」


 牧星菜ちゃんと一緒にサイズ逆転でロㇰペㇾタㇻとセㇷ゚チㇱレㇺと遊んでいる途中で、私は気になることを訊いてみた。


 「うん、もちろんなの。自分より何倍も大きいものは無理だけど」

 「やっぱりそうだった。すごい」


 さっきまで縮小化呪文の対象は人間とコㇿポックㇽばっかりだったけど、生き物みたいに複雑なものに使えるのなら他のものにも使えてもおかしくないよね。でも大きすぎるものには使えないか。当然だよね。使えたら家や町を縮小化して女神として君臨したり、巨獣みたいに暴れたり……。あ、私また変な妄想をしてしまった。


 「そもそもみんなを縮小化する時に服や一緒に付いているものも小さくなっているの」

 「まあ、そうだったよね。あ、それだ。服だよ。服だけ縮小化することもできるんだよね?」

 「もちろんできるの」

 「では、私はいい考えがあるよ」


 私はロㇰペㇾタㇻの顔を見上げながら言った。ちなみに今私はセㇷ゚チㇱレㇺの手の肩に、牧星菜ちゃんはロㇰペㇾタㇻの肩に乗っていてる。


 「ロㇰペㇾタㇻは人間のいろんな服を着てみたいよね? なら牧星菜ちゃんに服を縮小化させてもらったらどう?」

 「あ、いいアイデアだぞ。ボク、ミオリコの服と下着を着てみたい!」


 ロㇰペㇾタㇻ嬉しそう。今朝からこんな話をしていたね。コㇿポックㇽたちのサイズの服は作りにくいから2人はいつも同じ着物ばかり着ていた。だからロㇰペㇾタㇻは人間の服に(あこが)れていて、いつも(うらや)ましそうな目で私の着替えを見ていた。


 人間の服を人形の服みたいに小さく作っても生地(きじ)分厚(ぶあつ)すぎてそのままコㇿポックㇽたちに着せるわけにはいかない。


 でも牧星菜ちゃんの魔法で縮小化した服ならもちろん幅も厚さも同じ縮尺で、自然にコㇿポックㇽの服みたいにミニチュア服ができる。


 そういえば今私が着ているのも100分の1サイズに縮小化された服だね。私と一緒に小さくなっているから当然だけど、やっぱり違和感なく普通に身に付けている。


 「では私の服を10分の1サイズにしてロㇰペㇾタㇻに着させよう」

 「うん、ありがとうだぞ。ミオリコ!」


 ロㇰペㇾタㇻの体型は(スケールを無視したら)私と同じで少しだけ小さいくらいだから、そうしたら私の服は着られるはずだ。


 「でも今のままでは箪笥(たんす)から服を取り出すことはできないよね」


 私は部屋の中の箪笥(たんす)を見上げてそう言った。私の服はその中に仕舞(しま)ってあるから。


 今の私たちはみんなどれも小さすぎて箪笥(たんす)を開けることなんてできるはずがない。


 「ね、牧星菜ちゃん、まず私だけ元のサイズに戻して。服を取り出すから」


 実はそろそろ元の大きさに戻りたい気分だし。ちょうどこれも口実になれるね。それに大きな視点でちっちゃな牧星菜ちゃんも見てみたいしね~。


 「あ、それは……。実は澪梨子(みおりこ)お姉ちゃんだけ元に戻すのは難しいの」

 「え? なんで?」


 せっかくちっちゃな牧星菜ちゃんが見えると思っていたのに。私だって牧星菜ちゃんを手のひらに乗せてみたい……。


 「さっきもちょっと言ったけど、縮小化呪文は自分より何倍も大きいものには使えないの。自分が小さいと何もかも大きく見えるからこのサイズのままでは何もできないの。元の大きさに戻す呪文も同じ。まず牧星菜が大きくならないとならないの」

 「あ、そうか」


 なんか残念。でも筋が通るよね。体が小さいと何もかも弱くて普段できることもできなくなっちゃう。それは魔力も同じだろう。


 「では牧星菜大きくなるね」


 そして牧星菜ちゃんはロㇰペㇾタㇻの肩から降りて体がどんどん巨大化していく。やがてさっきみたいな大巨人の姿になった。


 実はもっと小さくて可愛い姿でいて欲しいのにね。まあ、巨大な今でも牧星菜ちゃんは可愛いけど。


 「では、箪笥(たんす)を開けてもいいの? 澪梨子お姉ちゃん」

 「うん、好きな服を取っていいよ」

 「着るのはロㇰペㇾタㇻちゃんだけど。そうだ。ロㇰペㇾタㇻちゃん牧星菜の肩に乗って一緒に選ぶの」

 「うん、ありがとう」


 さっきまで牧星菜ちゃんの方がロㇰペㇾタㇻの肩に乗っていたのにすぐ逆になったか。


 「これがいいぞ。いつもミオリコが学校に通う時に着ている服」


 ロㇰペㇾタㇻが選んだのは私の学校のセーラー服だった。今夏休みだけど、ただのコスプレみたいなものだから関係ないよね。


 うちの中学校のセーラー服のシャツは紺色(こんいろ)で、ロㇰペㇾタㇻの水色の髪の毛に似合いそうだ。リボンとスカートは紅色だけど。


 「それと、下着も必要だよね? ボクはずっとミオリコのパンツを着てみたかったぞ」

 「そうね」


 今朝ロㇰペㇾタㇻが私のパンツに(あこが)れていたと言ったよな。その言い方は変態っぽいけどロㇰペㇾタㇻの場合はセㇷ゚チㇱレㇺと違って単純に興味を持っているだけだよね。


 「ところでセㇷ゚チㇱレㇺは? 着てみたくないの?」


 ロㇰペㇾタㇻが服を選んでいる間に私はセㇷ゚チㇱレㇺに話しかけた。彼女はロㇰペㇾタㇻほど新しい服に興味を示すわけではないが、一応女の子だからきっと着てみたいに決まっている。


 「そうね。興味がないわけではないけど、ミオリコの服はあたしが着用するのはなんかきついかなと思うと……」

 「うっ……」


 そうだよね。体型は違うからサイズが合わなさそう。同じ尺度だとセㇷ゚チㇱレㇺはいろいろ大きいから。わかっている。今ここに私の服しかないから仕方がないけど、今後もっと大人の服を準備してあげようかな。


 「それにあたしは小さくなったミオリコのパンツに自分の脚を通すというより、巨大なまま全身潜り込んで包まれる方が気持ちいいと思うわ」

 「……」


 今の変態の独白は聞こえないことにしておこう。


 とりあえず今回の着替えはロㇰペㇾタㇻだけのためということ。


ちょっとお知らせです。新作を投稿しました。今回も縮小娘の話となります。

『じめめぬ ~推しの悪役令嬢に苛められる地味眼鏡雌犬に転生した私の小さな転機~』 https://ncode.syosetu.com/n7642il/


ただし1~3話は前置きみたいなもので、縮小化は4話からです。

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