13 ˥˦˧˨˩ 8分の1
「よし、この辺にしておこうかな~」
私の体は更に縮んでゆき、ようやく体の変化が止まった時に、視線の高さはさっきの半分くらい低くまでなっている。今の私は見上げないと牧星菜ちゃんの膝さえ見ることができない。
「セㇷ゚チㇱレㇺ……?」
さっきよりまた2倍くらい大きくなったセㇷ゚チㇱレㇺを見て私は感嘆した。今の彼女はもう身長は私の胸くらいだ。まるで小学生の子供みたいな感じ。まあ、体つきは全然小学生ではないけどね。
「これでミオリコと抱き合えるわね」
「ちょっ……。まったく仕方ないね」
セㇷ゚チㇱレㇺは私に抱きついてきて、私も抱き返した。やっぱり子供みたい。彼女は私に懐いているのはいつものことだけど、今は普通よりなんか子供って感じだ。普段より大きいはずなのに。多分サイズ差の感覚はこうなっているからかな。
彼女は私より小さいってのは変わりはないけど、こんなにサイズが近いとリアルな感じで、小人より子供に見えるよね。
てか、今度こそもうコㇿポックㇽサイズになるかと思ったら実際にどうやらまだ違うみたい。私はまだコㇿポックㇽより少し大きいようだ。
「牧星菜ちゃん、今の私のサイズって?」
「8分の1だよ。もう少し小さくなったらコㇿポックㇽね」
「やっぱり……」
結局中途半端のサイズのままではないか。でもこれはこれで面白い。
「ミオリコお姉ちゃん~」
「何その呼び方?」
今私のことを『お姉ちゃん』と読んだのは牧星菜ちゃんではなく、セㇷ゚チㇱレㇺだった。
「だって今のサイズ差だミオリコはお姉ちゃんって感じ。ちょっと甘えてみたいわ」
「そうか……」
甘えられるのはいつものことでなんで今更って言いたいけど、確かに今のサイズ差になって初めて妹みたいな感じになった。
「2人抱いたままでじっとしててね。では……」
牧星菜ちゃんはそう言ったら私の体はまた光ってきた。
そしたら私の腕の中のセㇷ゚チㇱレㇺは少しずつ大きくなっていき、私の腕の余裕がなくなっていく。彼女の体は小学生サイズから同じくらいサイズに、そして更に……。
「あら、ミオリコ、可愛い~」
いつの間にか私の方がセㇷ゚チㇱレㇺの腕の中に抱き締められているようになっている。立場は逆になった。
「これで澪梨子お姉ちゃんもコㇿポックㇽね~」
「え? やっばり……」
確かに私はさっきより少しだけ小さくなった気がする。それは8分の1サイズからコㇿポックㇽと同じ10分の1サイズになったってわけね。
実は今までも想像したことがあるけど、実際に同じ尺度になるとやっぱりセㇷ゚チㇱレㇺは私より身長高いね。私は元々身長が159センチで、10分の1だと15.9センチになるよね。セㇷ゚チㇱレㇺは身長16.8センチだから私は彼女を見上げることになった。
元々セㇷ゚チㇱレㇺは年上のお姉さんって感じだったから、今ようやく実感した。
抱いている今の感触はなんか柔らかくて暖かくて気持ちいい。それに触れ合っている胸のところには服越しでも何か弾力あるものを感じた。このところもやっぱり圧倒的さが見えるね。
やっとセㇷ゚チㇱレㇺの腕の中から解放してもらったら、彼女は私を見て微笑んだ。
「こうやってミオリコと並んで立つなんて不思議な感じね」
「そうね」
いつもちっちゃくて私の体に乗っている小人のセㇷ゚チㇱレㇺだったが、今普通に同じ人間のように見える。やっぱりサイズ以外コㇿポックㇽは人間とほぼ変わらない。こうやって同じ尺度になるとこれはようやく確認できた。
「今のセㇷ゚チㇱレㇺ、人間みたい~」
私の胸に付いていて一緒に縮小化したロㇰペㇾタㇻは感嘆した。彼女から見ても今のセㇷ゚チㇱレㇺは自分より10倍サイズになって確かにコㇿポックㇽにとっての『人間』って感じだ。
「ロㇰペㇾタㇻ、ちっちゃい。でもそうか。人間たちはいつもこんな風にあたしたちコㇿポックㇽを見ているのね~」
ロㇰペㇾタㇻを見てセㇷ゚チㇱレㇺはそう言って感嘆した。今彼女にとってロㇰペㇾタㇻと比べたらまるで自分が人間の視線になって新鮮な感じだろうね。
しかし今本当の人間サイズの牧星菜ちゃんから見ればどうだろう? 今のロㇰペㇾタㇻは実際に10分の1の10分の1、つまり100分の1だということになっているんだよね。身長は1.5センチくらいしかない。本当にちっちゃいよね。私も自分があんなに小さなサイズになると想像したらなんか怖くて……。
「そうだ。ロㇰペㇾタㇻ、あたしの方に来てみない?」
こう言ってセㇷ゚チㇱレㇺは私の胸のところに手を伸ばしてきた。(別に変な意味ではなく、ただロㇰペㇾタㇻはここにいるから)
「そうだね。ねミオリコ、ではボクちょっとセㇷ゚チㇱレㇺの体の方に乗ってみるね」
「うん」
こうやってロㇰペㇾタㇻはセㇷ゚チㇱレㇺの手に乗って、彼女の着物の襟に入る。セㇷ゚チㇱレㇺの着物は首が広くて鎖骨も見えて襟も低いので、ロㇰペㇾタㇻが入ると下半身は彼女の胸のところの真ん中に当たっているはずだ。
「セㇷ゚チㇱレㇺのここも居心地いいぞ!」
ロㇰペㇾタㇻは嬉しそうに言った。確かにあそこは柔らかそうよね。恐らく私のよりも……。
私のここと比べたらどっちがいいか? と、気になって聞いてみたくもないけどやっぱりやめておこう。
「ね、澪梨子お姉ちゃん、牧星菜の手に乗ってみて~」
上の方から牧星菜ちゃんの声が響いてきたのと同時に、巨大な手がこっちに降ってきた。
私の身長と同じくらいの長さの手が目の前に鎮座している。