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11 ˥˦˧˨˩ 2分の1

 「澪梨子(みおりこ)お姉ちゃん、もっともっと小さくなろう~」


 私の体が光り始めたと同時に、視線はまた更に低くなっていく。


 「そんな……。ちょっと心の準備が……」


 文句を言い終わった時にすでに光が治まって、視線の高さの変化は止まった。


 そして今私の目の前にあるのは澪梨子お姉ちゃんのカパラミㇷ゚(着物)の腰の部分を結ぶ(おび)だった。


 「今の澪梨子お姉ちゃんは元の半分サイズになっているの」


 見上げてみたら更に高く見える牧星菜(まきせな)ちゃんの顔は私を見下ろしながら楽しく笑っている。


 今の牧星菜ちゃんは、なんか巨人って感じだ。私が半分サイズだとすれば逆に考えて牧星菜ちゃんは私にとって2倍サイズで、身長280センチくらいに見えるね。これはすでに『背の高い人間』という程度を越えている。


 もし実際にこんな大きい生き物が私の前に立っていたらきっと恐怖を感じてしまうだろうけど、牧星菜ちゃんは大きくても可愛い女の子の姿のだからそこまで嫌な感じはしない。


 「えへへ、ちっちゃな子供みたいで可愛いの~。澪梨子ちゃん~」

 「ほら、()でるな!」


 牧星菜ちゃんはしゃがんで私の頭を()()でした。しゃがんだ姿でも彼女の頭は私よりちょっと高い。彼女の手のひらは私の頭を包み込めるくらい広くて大きい。


 「澪梨子お姉ちゃん、本当に可愛くて抱きたいの~」


 そう言って牧星菜ちゃんはしゃがんだまま抱いてきた。


 「って、ちょっと……」


 そして私は自分の足がもう床に付いていないと気づいた。どうやら牧星菜ちゃんに抱き上げられているのだ。サイズ差はさっきより更に圧倒的で、今の私のサイズなら確かに牧星菜ちゃんみたいな小さな女の子でも簡単に両手で持ち上げられるのね。


 「やっぱり軽いね」


 身長が半分になっているから体重も恐らく2の3、つまり8分の1になっているだろう。


 「牧星菜ちゃん、なんか苦しい……」


 優しそうに抱いてくれているようだけど、やっぱり力入りすぎないか? ちょっと呼吸しにくい。


 「あ、ごめん」


 牧星菜ちゃんは力を抜いてくれて助かった。


 「もう大丈夫なの?」

 「うん、今ちょうどいいと思うよ。けどやっぱりもういいかな? 私を下ろしてもいいかな?」

 「なんで? 牧星菜に抱かれるのは嫌なの?」

 「いや、別にそんなことないけど。嫌というより、なんか……は、恥ずかしいよ」


 小学生に抱き上げられる中学生、どう見てもおかしすぎる光景でしょう。


 「うふふ、恥ずかしがっている今の澪梨子お姉ちゃんも可愛い。やっぱりこのまま放さないの~」

 「そんな……。牧星菜ちゃんの意地悪(いじわる)……」


 そう文句言っているけど、別に私は嫌ではなく、むしろ気持ちいい。小学生の腕の中って意外と悪くないかも。


 結局牧星菜ちゃんが満足するまでしばらく抱き続けられた。


 そしてやっと解放されて私の足は床に戻った。


 「セㇷ゚チㇱレㇺ? いつの間にかこっちに?」


 私の肩にいつもより2倍大きく見えるセㇷ゚チㇱレㇺが乗っている。いつもより重く感じるけど乗せられないほどではない。彼女はさっきまで牧星菜ちゃんの体に乗っていたけど、私が抱かれている間にこっちの方に移ったらしいね。


 「ミオリコの肩も手のひらも、なんかちょっと狭いね」


 彼女は私の肩から手に移動して今手のひらの上に立って感想を言った。まだ私の手のひらに乗せられるサイズだけど、いつもみたいに余裕で立っていられるわけではなく、一歩動いたら落ちそうだ。


 「あ、セㇷ゚チㇱレㇺが大きい……」

 「あたしは大きいのではなく、ロㇰペㇾタㇻの方がちっちゃくなったのよ」


 私の胸にいるロㇰペㇾタㇻもまた私と一緒に小さくなったから今はもうセㇷ゚チㇱレㇺの半分サイズしかない。


 「ミオリコの胸、また更に小さくなったわね~」

 「またそんなこと……。胸の話から離れろ!」


 この変態コㇿポックㇽ……。


 「ミオリコの足、もうあたしの体より小さいわね~」


 今回セㇷ゚チㇱレㇺが床に下りて私の足の隣で横になってそう言った。


 「私の足と背比べしてどうするのよ!?」


 胸から離れろと言ったら今回は足かよ。


 「小さくなっても匂いは変わらないみたいね」

 「匂いは大きさと関係ないだろう! てか、そんな感想は要らないって言ったでしょう!」


 相対的に2倍に大きくなってもやっぱりセㇷ゚チㇱレㇺはセㇷ゚チㇱレㇺで変態のままだ。しかも大きくなって更に()(ごわ)いようになってきたし。


 「後、パンツも……」

 「……っ!」


 体のいたるところいちいちチェックするつもりなの? 別にただ大きさが変わるだけで形はそのままのはずだろう。


 「もう、いい加減に!」


 私は一歩後退(あとずさ)りしてからセㇷ゚チㇱレㇺのすぐ目の前の床を『ぱん!』と踏んで(おびや)かそうとしたが、セㇷ゚チㇱレㇺの反応は意外と薄い。


 「今のミオリコ、いつもと比べてあまり迫力ないかも」

 「何だと? 私はそれでもまだセㇷ゚チㇱレㇺよりずっと大きいよ?」


 セㇷ゚チㇱレㇺサイズから見れば私はまだ5倍の大きさで、巨人であることに変わりはないはずだと思う。とは言っても圧倒的さは減っているだろうね。


 「ではもっともっと小さくしてみようなの~」

 「え?」


 上の方から牧星菜ちゃんの声が響いてきたのと同時に私の体はまた光り始めた。


 「ちょ、ちょっと待って……」


 まさかまた体が……。


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