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私は待望の水属性魔導師〜領地復興のため、スキルボードはサブスキルで埋め尽くす〜  作者: 水瀬 潮
第1章 砂漠に生まれた水属性魔導士
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第76話 視察①



 前世から思っていたけど、建物が立つ時って、土台が完成するまでには時間がかかるけど、いざ土台が出来上がると目に見えて建築スピードがあがるよね。



 つまり、何が言いたいかというと。


「もうこれほぼ完成じゃん」


 まずい。大浴場の外観が出来上がりつつある。まだ完成まで時間があると思って余裕をかましていた。


 内装に着手する頃には、ガッツから魔道具の催促がくるだろう。私も早く準備しなくちゃ。そうと決まれば······。


 

 



「おかあさま〜」


「あらあらレオナ、そんな泣きそうな顔してどうしたの?」


 早速お母様に泣きつく。前世の記憶持ちの自分がこんな子供っぽい真似をするのは恥ずかしいが、仕方がない。なんせ、魔道具の作製が出来るのはこの町では(なんならこの国ではと言っていい)お母様だけなのだから。



「実は大浴場に設置する魔道具なんですけども······」


「あぁ魔道具ね、取り敢えず、クリエイトウォーター∶温泉水と、ホットシャワーの魔道具を50個ずつ作っておいたわ」


「え?もう!?」


 確かに、大浴場にこれらの魔道具を設置したいなとは伝えていたけど、準備が良すぎる。


「それより!······1人で作れたのですか?」


 そう。魔道具を作製するのは、勿論、魔法付与スキル持ちのお母様。だけど、水魔法に関する魔道具を作製するには、水魔法持ちの協力者が必要、だったはず。


「そうなのよ。_____実は私、大浴場の完成を本当に楽しみにしているの!余りに待ち遠しくて、試しに1人で温泉水の魔道具が作れないか試してみたら、出来ちゃって、それで」


 それで大量に作製してしまった、と。


 お母様曰く、一度作ったことのある魔道具なら、協力者無しでも作製可能のようだとのこと。

 

 なんてことだ。お母様は大した事ないかのように話すけど、魔道具はそれはもう高価な代物なのだ。今のところその予定はないけど、魔道具1つの売却益で、グライスナー領ほどの小さな町なら向こう20年は豊かな暮らしが出来るだろう。それくらいのレア物なのだ。


 それを1人で100個なんて···。


 本当にチートと言わざるを得ない。



「レオナ様、こちらは今建設中の大浴場にお運びしてよろしいですか?・・・レオナ様?」


「あ、えぇ。お願い」


 眼の前の光景に呆然としていると、お母様の護衛のフォルテさんが、魔道具の運搬を申し出てくれた。


 魔道具は、基本ガッツが作った石のコップや筒なんかに魔法付与を行うことで作製しており、割と重量があったりするのだ。


 だから正直、この申し出はありがたい。



「フォルテが行くなら私も着いていこうかしら?一度、大浴場を近くで見たいと思っていたのよね」


「では一緒に行きましょうか」



 



◆◇◆◇◆






 結局、お母様、テオ、フォルテさんと一緒に、魔道具の運搬がてら大浴場を近くで見てみることに。



「どうやらあそこが入口のようです」


「おぉ〜!近くで見ると結構大きいですね」


「ええ、グライスナー領で一番大きな建物なのは間違いないわね」


 テオの言葉に、何故かお母様が、えっへんと得意げに胸を張る。



「にしても、なんというか雰囲気のある建物ですね」

 

『そういってもらえると嬉しいです』


 フォルテさんが嬉しい感想をくれた。


 実は、ガッツにワガママを言って、外観にもこだわらせてもらったのだ。2階建ては無理でも、出来るだけ、前世でよく行った温泉施設に近づけたくて。



 そんなこだわって作った夢の建物がもう目の前にある。なんだか感動。




 入口付近に到着すると、ちょうどガッツが図案を片手に部下たちに指示を出していたところだったので、会話が終わったのを見計らって声を掛ける。



「お疲れ様、ガッツ。精が出るわね」


「レオナ様、それにシャロン様もお疲れ様です」


 ガッツは大量の汗を拭いた後に、丁寧にお辞儀する。1日中外部出作業しているし、きっと物凄く暑いのだろう。


「そろそろ頃合いかと思って、魔道具を持ってきたの。お邪魔だったかしら?」


「とんでもねぇです!そろそろお願いしたいなと思っていたところでした」


 やっぱり頃合いだったのね。危ない危ない。お母様が自主的に魔道具を作ってくれていたお陰で、命拾いしたわ。


「ガッツさん、この魔道具はどこに置いときましょうか?」


「あぁ、テオくん。じゃあ中までお願いしようかな。フォルテさんもいいですか?」


「無論、構わん」


 え?テオがもう中に入るだって?それにフォルテさんも?


 私だって、まだ建物の中は見れていないのに。



「フォルテが行くなら私も行くわ。だってフォルテは私の護衛なんですもの。一緒に居て、守ってもらわなくてはね」


 お母様までもが、大浴場を視察する権利を手にする。


 ずるいぞ。


「じゃあ私も!私も()()()テオと一緒に行く必要があるわね!///」


 

「勿論です。皆さんで行きましょう」


 ガッツが何か微笑ましいものを見るかのように視線を向けてくる。が、気にしないことにしよう。





 話の流れで大浴場を視察する事になったけれど、そうとなれば、これは大事な視察になる。完成度が高い温泉施設を提供出来るよう、しっかり視察して、改善点を洗い出すことにしよう。




 

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