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私は待望の水属性魔導師〜領地復興のため、スキルボードはサブスキルで埋め尽くす〜  作者: 水瀬 潮
第1章 砂漠に生まれた水属性魔導士
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第74話 大浴場建設、始まる



 お母様が魔法付与を習得して以降、レオナの生活は大きく変わった。



 今までは、1日の大半を領内の井戸の水補充に費やし、残った時間で薬草の栽培や塩の生成、石鹸の製造等を行っていたが、それは今や全て領民達が行っている。もちろん、お母様が作った魔道具を使ってだ。



 そのお陰で、すっかり暇になってしまったレオナは、家族風呂の運営を行う傍ら、役立ちそうな新スキルの創造に明け暮れ、自由な毎日を過ごしていた。



 



 そんな穏やかな日々に幸せを感じていたある日、これ以上ない嬉しい知らせが届く。



「あ〜、いたいた!レオナ、朗報だぞ!」



 声のする方を見ると、お兄様が大きく手を振りながら、パタパタ走ってくる。



「はい?何かありましたか?」



「嬉しい知らせだ!聞いて驚け、グライスナー領に大浴場を建設することになった!遂にお前の理想のお風呂を形にできるんだ!」



「え···嘘······」



「嘘なもんか。正式に父上の承諾を得ているぞ」



「本当に?嘘じゃありませんよね?」


 これで嘘だったら、いくらお兄様でも許しませんよ。


「本当だって」


 私が何度も聞き返すので、お兄様は笑いながら、でも力強く本当だと言ってくれた。


 じゃあ本当に、ここに温泉を作ることが出来るんだ。


 一体どんなものにしようか?なんたって、アイデアは温めてきた5年分はある。


 男女それぞれ5種類以上はお風呂を作りたいなぁ。普通の温泉水と、花風呂と薬草風呂、それからサウナなんて作れたら水風呂があってもいい。


 

 もちろん、お風呂以外も拘りたい。


 中でも、土産屋は絶対!前世でも、温泉に行った時は、土産屋を見て回るのが好きだった。お風呂に設置している石鹸やタオルを販売すれば、みんな家でも入浴が出来るようになるし、きっと人気が出るはず。


 

 あと、温泉には必ずといっても良い程併設されていた食事処も作りたいわ。


 お風呂に入って温まった身体で、ゆったり食べるご飯は格別なんだから!






◆◇◆◇◆





 早速、大まかな図案を引いて、ガッツに会いに行く。お目付け役のお兄様も一緒だ。



「どう?できそう?」


「これはまた大きな事を考えられましたな〜。以前レオナ様用にお作りしたお風呂は、2人程が入れるサイズでしたが、今回は30人程が入れるサイズまで大きくされるのですね」


「そうなの!あとは、普通のお風呂の他に、5人くらい入れるサイズのお風呂を何種類か作りたいの」


 とりあえず2人に、レオナの希望を詰め込んだ図案を見てもらう。若干詰め込みすぎな気もするが、そのあたりは今後すり合わせすればいい。




「お!」


 図案を眺めていたお兄様が、面白そうに声をあげた。


「?」


「このシャワーってのはアレだな?」


「ええそうです!以前お兄様に体験してもらったアレです。まずは、このシャワーを設置している辺り一帯で、身体を洗っていただき、身体を清めた後にお風呂に入ってもらおうと思っています」


「いいな。あのシャワーは画期的だ。入口近くに設置すれば、急ぎの者はシャワーだけ使うことも出来るし最高だな」


 そう言えばあの時も、お兄様はシャワーを絶賛していた気がする。きっと、とても気に入ってくれていたのね。




 お兄様と2人でシャワートークをしている間、ガッツは図案をじっくり確認してくれていたようだ。


 そのガッツが、う〜ん、と唸ると「今回は2階建にされるのですね······」と零した。


「うん、どうかな?」


 やはり、いきなり2階建は厳しいだろうか。


 実は、今回の案にはモデルがある。前世で好んで通っていた温泉だ。その施設の雰囲気が好きだったから、同じように2階建にしたかったのだ。



「ガッツ、正直に話してくれ。これだけ大規模な施設だ。安全を第一に考えたい」


 領地を豊かにするために作る施設なのに、無理に2階建にしてもらったせいで施工不良になってしまい、事故なんかが起きたら元も子もない。お兄様の言う通り、安全第一だ。


「恐れながら、自分は2階建の建物を建設した経験がなく、正直自信がありませんです」



「······分かった。レオナ、今回は2階建は諦めようか。みんなの安全が第一だ。幸いも土地は存分に余っているから、その分横に広げたらいいじゃないか。まぁ、レオナがどうしても2階建が良いと言うなら、他所から詳しい者を連れて来ることも出来るが」


「いえ、今回は平屋にしたいと思います。ガッツも検討してくれてありがとう」


 

 この温泉が人気となれば、2軒目の建設だって夢がじゃないだろうし、2階建の建設はその時に取っておこう。拘りたいポイントは、2階建の他にもあるしね。





◆◇◆◇◆





 その後も、レオナの夢が詰まった図案を軸に、お兄様やガッツ、カリン等の他の使用人にも協力してもらいレイアウトを固めていった。


 ああでもない、こうでもないと話し合いながら。


 たんぽぽコーヒーを飲みながら、みんなと温泉のレイアウトについて語る・・・。正直、この世界に転生して、今が一番楽しいと感じていたかもしれない。


 ただ、楽しい時間はあっという間。瞬く間に満足のいくレイアウト案が完成してしまった。


 すると、待ってましたと言わんばかりの早さで、ジャン達建設係が図案を確認し、秒で工事に着工したのであった。



(え?早くない?まだ建設許可が下りて1ヵ月だよ?)


 トントン拍子で怖いくらいだけど、何だかんだで、砂漠での大浴場建設が、ようやく始まったようです。



 

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