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第70話 家族風呂③



「あぁ!レオナ様、こちらにいらっしゃったんですね」



 洗濯所にて、昨日使ったバスタオル達をカイルと洗濯していると、ガッツが滝汗を拭きながらやってきた。



「ガッツ、お疲れさま。昨日は付き添いありがとう」



「いえいえ、とんでもないないです。_____ん?失礼ですが、今は何をなさっているのですか······?おいまさかカイル、レオナ様に水仕事をさせている訳じゃないよな?」



「えーっと。今はガッツに作ってもらった洗濯板で、昨日使ったバスタオルを洗っているところよ。それと、カイルを責めないで。本職の仕事ではないのに、手伝ってもらっているのは私の方なのだから」



「しっ、しかし······。いえ、レオナ様がそう仰るなら。____カイル!しっかり励むんだぞ!」

 


「分かってますよ。」


 カイルが煩わしげに返事をする。普段はとても丁寧な物腰だから、こういった態度をとるのは珍しい。まぁカイルも反抗期でもおかしくない年齢だし、そろそろ両親の愛あるしつけが面倒になる年頃なのかな。




 あ、いけない。洗濯の手が止まってしまった。


 前世では、洗濯機という機械をつかって洗濯をしていたから、いくら手を止めていても、洗濯機が代わりに洗い物をしてくれた。


 でも、そんな便利な文明の機器はここにはない。だから、手を止めた時間の分だけ、洗い物の時間が伸びてしまうのだ。

 

 ちなみに、今はガッツに作ってもらった、波状の凹凸がついた洗濯板で洗濯をしている。


 洗濯機を製造できればそれが一番なのだけど、前世機械に疎かったレオナにはそんな技術はない。故に、やむを得ず、使ったタオルは全てこの洗濯板で手洗いすることにしたのだった。


 


 洗濯の際に洗剤代わりに使うのは、勿論手作りの石鹸。


 今日は、昨日の家族風呂のために作った石鹸のうち、余ってしまったものを使う。ちなみに、不測の事態のために多めに作っていたので、決して石鹸がみんなに受け入れられなかったから余ったとかではない。



 ちなみに昨日は、グライスナー領で製造している3つの石鹸を、同数ずつ準備していた。つまり、余った石鹸の数で、人気があった香りが分かる。 



 結果は以下のとおり。

___________________

〜グライスナー領人気石鹸ランキング〜



3位無香料


2位ミント


1位バラ


___________________




 多くの領民にとって、石鹸を使うのは今回が初めてのはずだから、安パイな無香料が人気かと思ったけど、予想外に香り付きが人気だった。



 思えば、初めてだから安パイという考えは、日本人特有なのかもしれない。



 ということで、余っている無香料をメインに洗濯に使っていく。別に消費期限とかがある訳じゃないけど、なんとなく気分的に古いものから消費したいからね。



「よし!すすぎ完了!」


「お疲れさまです。___他にも何かお手伝いすることあります?」


「じゃあ洗い終わったバスタオルを、物干しにかけてもらえる?」



 グライスナー領の昼間は日差しが強い。だから、外に洗濯物を干せばカラッカラに乾くんだろうけど、木や草が少ない分砂ぼこりがひどい。乾燥地帯の障害だ。


 せっかく洗ったのに、砂がついては意味がないから、やむなく部屋干しにすることにした。


 この洗濯所は他の用途に使う予定もないし、来月の家族風呂の開放日まで、ここに干しっぱなしにしておくつもりだ。




「レオナ様、これで最後です」



「ありがとうカイル。ガッツもご苦労様でした。____って、そういえばガッツは、私に何か用があったんだっけ?」



「そうでした。昨日、家族風呂利用者からいただいた意見を、念の為お伝えさせていただければと」



「まぁ!聞き取りしてくれていたのね。助かるわ〜。仕事も一段落したし、早速教えてもらってもいいかしら?」



「ははは。レオナ様ならそう仰ると思っていました。ではどうですか?近いですし、今から私の工房で一休みしながらでも」





◆◇◆◇◆





「まず、今回の家族風呂事業ですが、領民に非常に好評で、みんな大変喜んでおりました。中には、「こんなに清々しい気持ちになれるなんて、生きてて良かった」と涙する者までおりましたのですよ」



「そうなの?」

 これまで、みんなで裸になって湯船に浸かるという文化が無かったグライスナー領だから、お風呂を受け入れられない領民が居てもおかしくないと覚悟していたのだけれど、そうか、好評だったのなら良かった。



「勿論です。お風呂も石鹸もタオルも、領民にとっては全て珍しく、かつ高級品ですから、喜んで当然というものです」



「そう聞いて安心したわ。この様子だと、2回目の家族風呂の日の開催もできそうね」



「はい、次回も大人気でしょうね」



「じゃあ期待に応えられるよう、家族風呂をもっと良いものにしなくてはね」


「その件ですが、今回の利用者に不満点を聞いてみました」


「さすがガッツ!気が利く!」


「正直言うと、皆、今回の家族風呂に大満足だったようで、引き出すのに苦労しましたが、強いて言うならということで、なんとか2点聞き取りました。早速1つ目ですが、脱衣所の床に水が多く垂れていたのが気になったという意見がございました」



「あぁ〜。そういえば、確かに脱衣所がビチョビチョだったかも。床にタオルを敷いた方が良かったわね」


「そうですね、次回はそうしましょう。それであともう1点は、注意書きがあったが、文字が読めないので内容が分からない、という意見です」


 ハッ。その言葉に心臓がキュッとなる。


「そっか。そうだよね。これは申し訳ないことをしたな〜」


 完全に、私の配慮が足りなかった。


「まぁでも注意点は口頭でもお伝えしましたし、問題はないと思いますよ」


「そうね······。でも次回までには必ず改善しましょう!」


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