第7話 レオナの母
今日は朝から、シャロンお母様とお食事だ。
お母様は、もう何年も体調を崩されていて、一日の大半をベッドの上で過ごしている。
大半というのは、わが家では唯一お母様だけが農業スキルを扱えるため、無理を押して庭の種植えだけやってくれているのだ。
それ以外は、ベッドの上で経理のお仕事や書類の整理等をしてくれている。
体調不良の理由は判明していない。恐らく何かしらの病を患っているのだろう。
◆◇◆◇◆
朝食後、お母様と一緒に庭に下りる。お母様は種植えのため、私は水がめの補充のためだ。
お母様の畑には、じゃがいもが沢山植えてあった。
なんと、魔法を使ってから7日間で収穫できるまでに育つのだそうだ。
薬草は収穫まで15日だから、薬草の方が長いんだね。
お母様が畑に手を付き、小声で念じると、ズズズッと苗が出た。
苗の範囲は私と同じくらい。お母様はきっと、じゃがいも栽培のスキルを上げていらっしゃらないのだと思う。
身体が弱いお母様は、魔法は1日10回に抑えているのだそうだ。日課を終えて、お部屋に戻られるお母様に付いていく。
(私の薬草栽培はまた午後でもいいや。今はお母様に付いていこう)
お母様は部屋に戻るやいなや、ベットに寝転がられてしまった。どうやら魔法を使うと、普段より消耗してしまうらしい。
お母様に聞きたいことがあって、部屋まで付いてきたレオナだったが、迷惑をかけたくなくて、お暇することにした。
「では、私はこれで。お母様はゆっくりされていて下さい」
「待ってレオナ、今日は何か話したいことがあったのではなくて?」
「えぇ、でも······」
「心配しないで、お話くらい大丈夫よ」とお母様はにっこり微笑んでくれた。
折角のお母様のご厚意。お言葉に甘えることに。聞きたいのはステータスについて。思い切って話を切り込む。
「お母様は、魔法の《ステータス》なるものを知っていますか?」
「ステータス?······ん〜ごめん、聞いたことないわね」
お母様は困ったように眉を下げた。
博識なお母様が知らないのであれば、少なくとも一般的な情報ではないのだろう。
今度はレオナがガックリと肩を落とした。
「いいえ、何でもないんです。ちょっと小耳に挟んだものですから気になって」
母にお礼を言って薬草畑に戻る。
薬草栽培をしながら、今後の事を考える。
まず、ステータスについてはこの領地では一般的な情報ではない可能性が高い。
つまり、レベルアップの方法は自力で探すしかない。
ただ、レオナはまだ3歳。
前世の文字はとにかく、今世の文字はまだ読めないので、本で探すことは出来ないし、体力だってほとんどない。
早速行き詰まってしまったが、いい案も浮かばないので、とりあえずは今後も魔法の練習を続けてみることにした。