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私は待望の水属性魔導師〜領地復興のため、スキルボードはサブスキルで埋め尽くす〜  作者: 水瀬 潮
第1章 砂漠に生まれた水属性魔導士
66/80

第66話 ふわふわを目指して①

なんと!総合ポイントが2000に到達しました!

こんな嬉しいことがあって良いのでしょうか・・・。


相変わらず亀のようなゆっくりとした投稿頻度ですが、亀なら亀らしく、時間がかかってもちゃんとゴールしたいと思います。


拙い作品ですが、引き続き応援お願いします★



「ガッツ、お疲れさま」


 今日は、護衛のカイルとともに、ガッツの工房にやって来た。


「これはこれはレオナ様、お久しぶりです。カイルはご迷惑をかけてはいませんか?」


「親父っ!」


 そういえば、この2人は親子だった。ぱっと見そんなに似てないし、2人が並んでいる所を見るのも久しぶりだったから、すっかり頭から抜け落ちていた。



「まさか。よくやってくれていますよ」


「ありがとうございます。カイルも良かったな。それで、本日はどのようなご用でしょう?」


「実はグライスナー領に、無料のお風呂を建設することになったの。だから、また建設をお願いしたくて」



 そうなのだ。

 念願叶って、グライスナー領に公共の家族風呂を建設する許可が下りたのだ。





 これには、2つの大きな臨時収入があったことが大きい。


 1つは、以前から話が出ていたフォルテさんの治療費。


 そしてもう1つは、石鹸と入浴剤の売却益だ。

 州都から治療費を賜る際、フォルテさんの体調不良の改善は、入浴による効果が大きいと説明したのだが、その時に、3種の石鹸と入浴剤として使えるポプリのセットを献上していた。


 どうやらこれをいたく気に入った方が居たようで、大量の発注がかかったのだ。


 この2つの臨時収入は、グライスナー領の数年分の予算相当だったわけだが、これにはレオナの成果が大きいとして、一部がレオナ肝入の事業である家族風呂の運営費に充てられることになった。


(なお、臨時収入の大半は、鶏、豚、牛等の家畜やそのエサの購入費に回ったらしい。これからグライスナー領でも畜産物を食べる事が出来るかと思うと、これはこれで大変楽しみだ)





 話を戻そう。


「家族風呂の建設場所は第2地区西側。つまり、この工房のお隣よ。私の誕生日プレゼントで作って貰ったものより、一回り大きいものを4つ程建設したいの」


「ほほう。それは大きく出ましたね」


「ちゃんとお父様からの許可は貰っているわ。お願いできるかしら?」


「勿論です。他でもないレオナ様のご要望ですから。このガッツにお任せください!」



「ふふふ、ありがとう。それでね、できればお風呂のデザインは4つとも変えたいなと思っているの。例えば、1つはバラみたいな華やかなお花をイメージしたお風呂、1つは薬草みたいに身体に良さそうな植物をイメージしたお風呂、みたいにね」


「なるほど。それはなんとも粋ですな。分かりました。では後日、ジャンも交えて話し合いましょう。デザイン案はその時に煮詰めましょう」


 ジャンというのは、初回の州都派遣で土属性魔法を授かった若者だ。公共物の建設となると、たいていこのガッツ&ジャンのコンビに白羽の矢が立つ。


「ええ、わかったわ」


 次の会議までに、デザイン案をもっと考えておこう。お風呂好きのお母様やカリンにアイデアを出してもらってもいいな。あと、お兄様やテオ達男性陣の意見も気になる。







 色々と考えを巡らせていると、ふと視界の端に、見慣れない背中が写った。



「ところであの方は?」


 部屋に入ってきた時は気づかなかったが、工房の端で、20代くらいの若い女性が何やら作業をしているようだ。



「あぁ。あの女性は、先日教会で······」


 ガッツが話し出すと、話題の中心が自分になったことに気付いたか、女性がトコトコとレオナのもとにやってきて、「申し遅れました。キヌと申します。裁縫スキルを授かりました」と、ペコリと挨拶した。




「まぁ!そうでしたの」


 裁縫スキルか。確か司祭様が裁縫スキル持ちと言っていたな。


「キヌさんの工房が出来るまでは、私のところで作業してもらうことになりまして」


「そうなのね。じゃあ家族風呂より先にキヌさんの工房を建てたほうがいいわね。____ところで、裁縫の道具はちゃんと揃っているの?」


「はい。機織り機と糸を購入していただきました。今はちょうど、練習をしているところでした」



 キヌさんが指差した方に目を向ける。


「コレね。あらまぁ!ツルンとしたきめ細やかな布ね。さわり心地も良さそうだし、素敵だわ」



 練習で作っていたという布だが、それはもう素晴らしい出来だった。肌触り的には、シルクの布っぽい感じ。前世で売っていた高級品と比べても、遜色ないかもしれない。さすがスキル持ちだ。


 褒めちぎるレオナの隣で、ガッツもウンウンと頷いている。不器用なレオナはともかく、職人気質のガッツを満足させるとは、なかなか見所がある。



「上質な糸をいただきましたからね」


 褒められたキヌさんだが、決して偉ぶらず、照れくさそうにはにかんだ。



 この人なら任せられるかもしれない。




 実は、これから家族風呂の運営を行うにあたり、必ず準備しなければならないものがあると感じていた。それはバスタオルだ。


 先日フォルテさんにお風呂を紹介した時には、お風呂あがりに綺麗なタオルを準備出来なくて、歯痒い思いをした。



 それ以降、清潔なタオルを準備したい。 

 あわよくば、ふわふわで真っ白なものを。と、思い馳せるようになった。


 正直、ふわふわで真っ白なタオルは無理だろうから、どこかから購入してこようと思っていたのだが、自領で生産できるならそれが一番いい。



「あのね、作ってほしい物があるんだけど······」


 この機を逃すまいと、早速キヌさんにバスタオル作りを依頼することにした。





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