第6話 侍女マリー
翌日は、普段よりも早く目覚めてしまった。十中八九、昨日早めに寝たからだろう。
喉が乾いたのでキッチンに行くと、侍女のマリーがいた。
「おはよう。マリー」
「おはようございます、レオナ様!お早いお目覚めで」
「うん、昨日魔法の練習をして疲れたのか、随分と早く寝ちゃって」
苦笑いしながら答える。
マリーは我が屋敷の侍女だ。
そして、領内に27人しか居ない(現在はレオナを含めて28人だが)貴重な水属性魔導師の一人である。
そんな優秀なマリーだが、毎日
①キッチンの飲料用水がめの補充(50リットル)
②庭の生活用水がめの補助(50リットル)
③領民用共用井戸の補充(100リットル)
④朝食の準備
⑤洗濯
⑥お母様とレオナのお浄めの手伝い
をしてくれている。
そのうえ、身体が悪いマリーの母を援助するため、毎日片道20分程歩き、昼間に実家に通うというハードワークをこなしている。
優秀な人材なのに、ずっと真面目に我が家に仕えてくれて、本当に感謝しきれない。
「そうなのですね。あ!そういえば、レオナ様が水属性魔法を授かられたとお聞きしました。まだお若いのにもう魔法を授かられるとは、流石です。本当におめでとうございます」
「そうなの。マリーと同じだね」
「お嬢様と同じだなんて、光栄です」
「私も嬉しい。_____ねぇマリー、水属性魔法について知っていることがあれば、何でもいいから教えてくれない?」
「えぇ。私で宜しければ勿論」
マリーは、知っている限りの情報を提供してくれた。
マリーによると、マリーが使える魔法はウォーターのみ。
領地の規則で、魔法を使うのは1日20回と決まっているので、それ以上使ったことはない。
スキルアップの方法は知らず、そもそもスキルアップという概念も初耳とのこと。
本当はマリーのステータスも聞きたかったが、デリケートな情報かも知れないと思い、それは今度尋ねることとした。
(聞いても問題ない情報か、後でお母様に聞いてみよう)
「ありがとう、マリー。あと、庭先にある水がめなんだけど、ウォーターの練習に使いたいから、今後は私が補充してもいいかな?」
「承知いたしました。そうしていただけると私も助かります」
「そうなね?じゃあそういうことで!」
◆◇◆◇◆
sideマリー
レオナ様が水属性魔法を。これは、またとない機会なのかもしれない。
◆◇◆◇◆
午後からは、
・ウォーター2回(庭先の水がめの補充)
・薬草栽培18回(庭先の薬草畑作り)
の魔法を使用した後、じょうろで薬草畑への水やりをした。
明日からは庭先の水がめの補充も始めるから、もっと水魔法の練習ができそうだ。
1回の入浴にどれくらいの水が必要か正確には分からないけど、ウォーターをレベル2に上げれば、レオナ1人が入浴する分には問題ないと思う。だからまずは、ウォーターのレベルアップを目指そう!そしてちゃんと毎日練習しよう!
あ、あとそれと並行して、お湯をためる浴槽を作る方法と、普段どうやってお湯を沸かしているかも確認しないとな。