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私は待望の水属性魔導師〜領地復興のため、スキルボードはサブスキルで埋め尽くす〜  作者: 水瀬 潮
第1章 砂漠に生まれた水属性魔導士
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第59話 エリスの気がかり



「うはぁ〜。楽チン楽チン」


 最近思いついた時短テク。

【ウォーターシャワー】で、畑の水やり。


 今までは、一度井戸に水を補充して、井戸から水を汲んで、ジョウロで水を撒くという3段階の工程でしていたけど、ウォーターシャワーで一気にやる方が遥かに効率的だと気付いた。


 まぁ現状レオナにしか出来ないし、MP効率も悪いから、全部をウォーターシャワーで、というわけにはいかないのだけどね。



「ふぅ。水やり終わり。今日は早く終わったね」


「そうですね。お疲れさまでした」


「久しぶりにガッツの工房に顔を出そうかな。テオ、まだ時間大丈夫?」



「はい······。私は問題ありません」


「ん?」


 テオにしては、珍しく歯切れが悪い。


「あのレオナ様。もし本日お時間があるのであれば、エリスの話を聴いてもらえないでしょうか?実はエリスから、レオナ様と話したいと相談を受けていまして。何やら思いつめた様子で、少し心配しているのです」


「エリスが?何だろう?心当たりはないんだけど、まぁ時間もあるし早速行こうか」


 エリスと出会って約2年半。こんなことは初めてだ。何かよっぽどの事があったのだろうか?


 心配だ。





◆◇◆◇◆






「エリス、レオナ様だ。お前のために、お時間を作ってくださった」



「あぁ!レオナ様、お忙しい中すみません」



「ううん、全然。今日は新しく習得した【ウォーターシャワー】っていう魔法で、畑の水やりをしてたんだ。楽しかったけど、だいぶ疲れたから、ちょうどゆっくり腰掛けたいなと思っていたところ」


 そう喋りながら、エリスの様子を観察する。いつもと変わらないようには見えるけど、強いて言えば、少しだけ元気がないかな?


「そうだったんですね」


「うん」


「······」


「······」


 切り出しにくいのか、エリスは口を開いたり、かと思えば閉じたりを繰り返している。


 そんなに長い時間は過ぎていないと思うけど、だんだん後ろからテオの圧を感じてきた。早く切り出せ、とか口パクでエリスに言ってそう。



「____あのレオナ様!少し気になってしまったことがありまして」


「うん」


「中級ポーションの生成に成功された日のことなんですが、あの日レオナ様は魔力水は使われていなかったですよね?薬草の処理方法も、私が教えていただいたものとは少し違いました。何か理由があったのでしょうか?」


 あぁ、あの日のことが引っかかっていたのか。そういえば、魔力水は使わないのかと尋ねられたような、なかったような。


「う〜ん。そう言われてみると······。正直無意識だったなぁ」


 あまり深く考えず、下級ポーション生成時と全く同じ方法でやってみたまでだ。あの時は早く魔法を試してみたくて、アレンジしようなんて考える余裕は無かった。でもそれが理由で、エリスを長く悩ませていたのだとしたら、申し訳なかったな。


「あの日、レオナ様がされた処理の方が、私が普段している方法よりも効果的なのでしょうか?」



「いやいや、そんなことはないよ!」


 わざと非効率的な方法を教えたと誤解されちゃった?だとしたらマズイ。早く誤解を解かないと!



 慌ててレオナは、魔力水で下級ポーションを生成するに至った経緯を説明した。それはもう必死の形相で。


 特に、【下級ポーション生成】の薬学スキルを使用せず、魔力水を使ってポーションを作る場合、前者と比べ、薬草の処理や煮込み時間において、手の込んだ処理が必要だったことを強調した。



「なんだ。そうだったのですね。私ったら、早とちりをしてしまい、失礼しました」


 必死の説明が功を奏したのか、エリスも納得してくれたようだ。ふぅ、良かった。エリスに嫌われたら流石に落ち込むよ。



「私こそ説明していなくてごめんなさい」


「良かったな、エリス」


「うん、レオナ様と直接お話ができて良かった。テオのおかげだね。ありがとう。_____でも魔力水って不思議ですよね。この魔力水のおかげで、薬学スキルどころか魔力が無くても、ポーションが作れるんですから。魔力が無くても下級ポーションが作れるのなら、魔力水と下級ポーション生成のスキルで、中級ポーションが作れちゃったり。なーんて、流石にそれはないですよね。」


「レオナ様!」


 テオの言いたいことが分かったレオナも頷く。


「試してみる価値ありだね。せっかくだし、下級ポーション生成×魔力水でどんなポーションができるか、実験してみない?」


 これが成功すれば、上級ポーション生成の魔法を習得するのを待たずに、お母様の病気を治せるかもしれない。



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