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第55話 新スキル創造part3①


 お風呂の素晴らしさを布教するため、お風呂づくりに協力してくれそうな人達をお風呂に招待することにした。


 今回は招待するのは、お父様、お兄様、それからテオとカイルだ。


 気にしない人も多いと思うけど、同じ水を共有することになるから、一応配慮して今回は男性のみ。お母様が元気になったら、エリスやポーラも招待しよう。


 誕生日に作ってもらった、レオナの個人用のお風呂に【クリエイトウォーター:温泉水】でお湯をためる。お湯が充分に張れたら、ポプリにしたカモミールを浮かべる。準備はこれだけ。


 本当は、タオルを新調したり、シャンプーとかリンスとかボディソープとかを揃えたいけど、時間も技術もない。


 かろうじて、前世の知識で石鹸くらいは作れそうだから、余裕ができたら頑張ってみてもいいかな。



「これでよし!お父様をお呼びしよう!」


 お風呂には、お父様、お兄様、テオ、カイルの順でお呼びする。



「失礼。おぉ、この部屋はいい香りがするな」


 カモミールの香りが、脱衣所まで漂っている。魔法で栽培したからか、野生のものより香りが強いみたいだ。


「あ、お父様!お忙しいところありがとうございます。これはカモミールという薬草の香りです。リラックス効果があるため、お湯に浮かべております。ささ、どうぞこちらへ」 


 勿体ぶるような事ではないので、すぐに浴槽に案内する。


「ほほう。これが風呂か。お湯をためる場所は、石で作られているんだな。なんとも趣深い」 


「浴槽ですね。ガッツがこだわって作ってくれまして、私もお気に入りです」


 最初は、ちゃんとしたお風呂じゃなくていい、水がめをお風呂代わりに使おうと思っていたけど、このお風呂を経験してしまうと、もう水がめじゃ満足できなさそうだ。


「それはそれは楽しみだな。どれどれ、この中に入ればいいのかな?」


「はい。先程のお部屋で服を脱いでいただいてから、お入りください。そうそう、お湯に浸かる前に、この桶でお湯をすくって、身体を清めるのを忘れないでくださいね」


 珍しく浮足立っている様子のお父様。

 レオナの言葉に何度も頷いたので、お邪魔にならないようそそくさとお風呂を後にする。




◆◇◆◇◆





 お父様の入浴中は、お風呂の隣りにある小屋で作業をする。ここに居れば、入浴中に何かあったとしても、直ぐに駆けつけられるからね。


 何かあるといえば、注意事項を伝えてなかったな。例えば、

・お風呂は滑りやすいから、注意して歩く

逆上(のぼせ)せないうちにあがる


 とかは、先にお伝えしておくべきだったかも。


 領内に大浴場を作る時は、案内板を設置しようかな。そういえば、前世の入浴施設にも必ずあったよね。口頭で一人一人説明するのは、時間がかかりすぎるし、うんそうしよう。


「失礼」


 お父様だ。入浴が終わったみたい。


「お父様、お湯加減はいかがでしたか」

お父様の身体から湯気が出ている。充分温まったみたいには見えるけど······。


「あぁ。気持ちよかったぞ。それに、垢がポロポロ取れて驚いた。毎日水で清めているんだがな。だが、これだけの効果があるなら、病気を予防できるという話も納得だ」


「ありがとうございます。仰るとおり、温かいお湯に浸かると、水拭きでは落とせない垢までも洗い流せるようです。あと、病気予防に関しては、温かいお湯にしばらく浸かることで、体温が上がり、免疫が強化されるのだと思います」


 気に入ってくれたみたいで何よりだ。

 それに、病気予防の話を信じて貰えたのは大きいぞ。これでレオナの趣味としてではなく、政策として、大浴場作りに協力して貰える可能性が出てくる。


「ほぅ。レオナはまだ幼いのに、相変わらずよく勉強しているな。まぁ、ゆっくり励みなさい」


 レオナの頭をポンポンしながら、満足そうに言った。





◆◇◆◇◆




 次はお兄様。

 汚れを取り、水を継ぎ足し、水温調整を行った上でお声掛けした。勿論、今回は注意事項を伝えるのは忘れない。


 その次はテオとカイルだったが、2人はお兄様の後にサッと入って、サッと出てきた。気を遣わせちゃったかな?



「いや〜お風呂、あれは最高だな。いくら色男でも汗臭いんじゃ決まらないだろ?それがお風呂に入れば、汗を流すだけじゃなくて、入浴剤で良い香りまで付けられちゃうもんな。俺、これ以上モテたらどうしよう(笑)」


「ふふふ、そうですね。さらに大人気になられると、私も寂しいです」


 お兄様らしいコメントに、思わず笑ってしまう。


「まぁ真面目な話をすると、来客前とか、朝からとか、サッと入れると更にいいなと思う」

 

「確かに僕もサッと入りたい派です」

 同調したのはテオ。


 サッと入るといえば、シャワーかな?

前世でも、男性は一定数【朝風呂派】が居た覚えがある。



「じゃあ男性風呂は、シャワー多めにしようかしら?」


「「「シャワー?」」」


 いけない、ここにはない単語だ。いきなりシャワーって言われても分からないよね。何と説明しよう。雨みたいに、上から水滴が振ってきて〜でもこの水滴が水がじゃなくてお湯で〜。


 うむ、我ながら分かりづらい説明だ。こうなったら、


「口で説明するより、見てもらう、いや体感してもらう方が早そうですね」


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