第54話 理想の
まさかまさかの総合ポイント1500達成です!
応援ありがとうございます✨
「やっぱり【上級ポーション生成】を、習得するしかないのかなぁ」
中級麻痺なおしポーションでは、シャロンお母様の麻痺は治療出来なかった。お母様は楽になったとは言ってくれたけど、気休め程度だろう。
直ぐにでも治してあげたいけど、今の私には出来ない。なんたって【上級ポーション生成】のスキルが、まだスキルボードに現れていないのだ。
レベルが足りないのか、それとも習得条件を満たしていないのか。
考えて分かることではないので、とりあえず今の私に出来ることをしよう。
まずは、薬学スキルのレベル上げかな。第二地区の東側の奥地は、確か更地だったよね?あの場所に薬草を栽培して、薬学スキルのレベルアップを目指そう。
丁度トルスタイン領からポーションの発注が大量に入ったところだし、お金も稼げて一石二鳥でしょ!
◆◇◆◇◆
と思っていられたのは最初だけ。
ただただ同じ事の繰り返しの毎日に、流石に飽きを感じてきた。
「レオナ様、なんだか今日はお疲れですか?州都に行ってから、ずっとお忙しかったですもんね」
しゃがんだ状態で薬草を栽培しているレオナを、太陽から守るように立つテオが言う。防ぎきれなかった日差しが、まるで後光のようにテオの背中から漏れる。
(優しさが疲れた心に染みる〜。テオ、あんたいいヤツだよ)
「正直、少し行き詰まってる。お母様の病気を治療するポーションを作りたいんだけど、方法がわからないの」
「そうですか······。レオナ様でも」
「あ、でも、そんなに気にしなくて大丈夫!とりあえずは薬草を栽培して、薬学スキルの鍛錬をすることにしたから」
「う〜ん。でもそれだと、レオナ様が休む時間が足りないのではないですか?」
「私はいいの。それに、家にじっとしているのも苦手だし」
「___では、こうしませんか?私と2人で薬草を栽培する時間は、レオナ様の理想の大浴場を考える時間にする、とか。少しは気が晴れませんかね?」
魔力水を発明した時も、井戸の補充中に色々考えていたんでしょう?と言われ、確かにそう言われたらそうだったなと思い出した。
「いいね、それ」
グライスナー領に大浴場を作りたい。
その気持ちは強くあったけど、それ以前にやることが多すぎて、夢のまた夢だと思っていた。
でも、お母様とお兄様の協力を得られた今、なんとか実現できそうな気がしてきた。
どんな施設にしようか?
いざ考え始めると、ワクワクしてくる。
どうせなら、温泉観光施設風がいい。男女ともに何種類かのお風呂が楽しめる感じの。何しろ土地はたくさん余っているのだから、どれだけ広い建物になっても問題ないはずだ。
お風呂は、温泉水のみのスタンダードなタイプの他に、花風呂は絶対欲しい。多少コストはかかるだろうけど、そこは目を瞑ろう。
2種類じゃ少し寂しいから、もう1〜2種類は欲しいかなあ。候補は前世でよく見かけた、泡風呂、薬草風呂、水風呂、あとは露天風呂とか?
「レオナ様?」
いけない、自分の世界にトリップしてた。
「ねえねえ、もしグライスナー領に大浴場を作るとしたら、私は花風呂は絶対欲しいんだけど、男性目線で花風呂より良さそうなお風呂ってある?」
前世ではお花の香りがする入浴剤は鉄板だったし、カリンの反応をみても、今世でもウケは良いと思う。ただ、男性目線でどうかと言われると、結構意見が分かれそう。
そう思い気軽に聞いたレオナだったが、すぐに後悔した。
テオが、一瞬目が点になった後、頬をポリポリ掻きながら「実はお風呂に入ったことが無いもので、あまり想像できないんです」と言ったからだ。
は!!!確かにそうだ!
カリンみたいに同性なら、一緒に入ろうと誘いやすいのだけど、テオ達はなかなか招待する機会がなくて······。
とにかく、私ばっかり楽しんで申し訳ない。協力してくれる皆にも、お風呂の魅力を知ってもらった方がいいよね。
そうと決まれば、早速協力者達をお風呂に招待しよう。今更だけど、お風呂布教活動開始です!




