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私は待望の水属性魔導師〜領地復興のため、スキルボードはサブスキルで埋め尽くす〜  作者: 水瀬 潮
第1章 砂漠に生まれた水属性魔導士
36/80

第36話 兄の役割 side∶アーサー



 俺はアーサー=グライスナー(17)


 泣く子も黙る色男だ。


 自分で言うのもなんだが、スタイルは抜群で、長身のスラッとした体格。髪質にも恵まれ、金髪の長い髪は一つにまとめている。


 白い肌に、はっきりした二重がよく映えていて、正直我ながらかなりイケてる部類に入ると思っている。



 この辺境の地に、こんなイカした奴はなかなかいないと思うだろ?


 だが、居るんだなこれが。


 何を隠そう、実は俺の妹、レオナ=グライスナーも、俺と張るレベルの天才美少女なのだ。





◆◇◆◇◆





 俺の妹の話をしよう。


 レオナは歳が離れた俺の妹だ。と言っても、母上の姉の子なので、直接の血の繋がりはない。


(本人は恐らくまだ知らないが、ずっと病にふせっている母上が母親であるはずがないと、大人になればきっと気付くだろう)



 血の繋がりはなくとも、小さい頃から、何処に行くにも俺の背中を追いかけてくる、そんな姿がかわいくてかわいくて、気付いたら溺愛していた。



 そんなレオナがもうすぐ4歳という時、父上の州都での仕事に無理を言って付いていき、魔法を授かってきた時は本当に驚いた。


 しかも、授かったのは、比較的珍しい水属性魔法と薬学スキルときた。



 更に驚いたことには、レオナははっきり言って魔法の天才だった。

(俺はそっちの方面はそんなにだから、正直羨ましい)



 扱える魔法の種類が多いうえに、その威力も馬鹿強い。また恐らく魔力量も多いのだろう。

(本人は隠しているつもりのようだが、1日に20回以上魔法を使っているのがバレバレだ)


 それだけではない。


 自分で作った薬草を使ってポーションを作ったり、新種の野菜を栽培したりと、常識に捕らわれないアイデアで領地の復興に大いに貢献している。


 その活躍のお陰で、レオナの領民達からの人気は高く、近頃は『小さな聖女』と呼ばれ、親しまれているらしい。



 ただ、そんなレオナにはひとつ大きな弱点がある。


 それは、『誰かに頼る事が苦手』な事だ。


 誰かに頼った方が良い場面でも、出来るだけ自分で解決しようとしてしまう。


 トマトの栽培が良い例だ。魔法を使わずに栽培できるようになったのなら、使用人達に栽培を手伝ってもらった方が絶対にいいはずなんだ。


 そして領地を豊かにするために、民たちに仕事を手伝ってもらうことは、曲がりなりにもこの領地を治めている領主とその家族である俺達の仕事でもあると俺は思っている。


 だから本当は、レオナにベイリーフとの交渉を任せたかったんだが、5歳には流石に厳しいかと考え直し、今回は俺が行うことにした。


「ま、それが兄の役割ってところかな」


 俺はとことんレオナに甘いらしい。






◇◆◇◆◇





「じゃ、トマトと麦の栽培頼むよ!」


「おうよ!任せとけ!」



 そして今日。


 レオナが作ったトマトの苗を持って、第二地区の畑で作業中のベイリーフのおっさんに会いに行ってきた。


 トマトと、来るついでに元侍女のマリーから少し種籾を分けてもらった麦の栽培をお願いしたところ、二つ返事で了承してくれた。


 ほらやっぱりな。普段彼らと話していると、いかにこの人達が農業を楽しんでいるか分かる。


 そんな彼らなら、新しい仕事を振っても、嫌な顔をするどころか、まるで新しいおもちゃでも見つけたように、興味津々で栽培に取り組んでくれると思っていた。

 

 俺はとりあえず、レオナに聞いたとおり、じゃがいも(魔法あり)→トマトor麦→じゃがいも(魔法あり)の順番で栽培するよう指示を出した。


 その他のことは、俺よりその道のプロである彼らの方が詳しいだろうと思い、彼らに一任した。



 今後は、何か課題が発生したときのために、定期的に様子を見に来るとしよう。




「これで、レオナが好きなパンが、もっと日常的に食べられるようになるといいんだけどなぁ〜!」




 そんな日を夢見ながら、俺は、俺に出来る事を、今後もやり続けていくつもりだ。




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