第30話 ミッション:入浴剤を作ろう
誤字報告ありがとうございます!助かりますm(_ _)m
その日以来、レオナは10日に1回程は、湯船につかるようになった。MPを結構消費するので、毎日は入れないが、それが故に贅沢な時間だった。
今日はカリンも誘って2人で入る。最初は断っていたカリンも、お風呂の魅力に気付いたのか、二つ返事で入るようになった。
ちゃぷん
「あぁ〜気持ちいい〜」
思わずオッサンのような声が漏れる。
「本当気持ちいいですね。家族にもプレゼントしてあげたいくらいです。あ!すみません······」
「ううん、私もいつかは領のみんなも気軽にお風呂に入れるような環境を作りたいなぁ〜って思ってるんだ。」
「それは素敵ですね。実現できたら、きっと毎日大繁盛でしょうね」
「カリンもそう思う?でも1つ心配なのが、この国には、お風呂に入る習慣は無いんだよね。だから、例えば誰でも入れるお風呂とかを作ったとしても、裸が恥ずかしくて使ってくれないんじゃないかな?」
「そうですね。確かに抵抗はあるかもしれませんが、何か身体を隠せるものがあれば、問題ないかと」
「そっかぁ〜」
(前世だと、みんな裸に抵抗なくお風呂に入ってたからなぁ〜。そうだ!花を育てて、ポプリにしてお風呂に浮かべたらどうだろう?前世も薔薇風呂とかあったしね。でもどうせなら入浴剤代わりになるような、例えばリラックス効果とかがあるお花がいいな。だったらカモミールなんかどうだろう?)
「ねぇカリン、お風呂にいい香りがするお花を浮かべたらどう?」
「!!それは贅沢ですね〜。でもそれならみんなも喜んで入ると思います!」
カリンと二人でキャッキャ妄想しているうちにお湯が冷めてきてしまったので、浴槽を出ることに。
なんとも名残惜しい。追い焚き機能とかあればいいのに。
カリンとお風呂を出ると、薬草畑で待機していたテオがすぐにやってきてくれた。
次は、裏庭の小屋でポーションを作りだ。
カリンは夕飯の仕込みがあるとのことで、お風呂で別れた。
駆け足で屋敷に向かうカリンの後ろ姿を見送りながら、ふと、先程のやりとりを思い出した。
(カモミール······。栽培できないかな?)
ポーション小屋の手前はちょうど薬草畑だ。
「テオ、ちょっとだけ待っててくれる?」
「かしこまりました」
薬草が植えられていない所で実験だ。
手に魔力をこめて、地面に両手をつける。
「カモミール栽培!」
◇◆◇◆◇
〈ポーション小屋にて〉
「レオナ様、先程のカモなんちゃらって何だったんですか?」
(カモミールね)
「ううん、ちょっと実験してみたんだけど、失敗しちゃった」
「そうでしたか······」
珍しくテオが眉を下げる。
そうなのだ。
カモミール栽培は失敗に終わった。
ちょっと実験くらいの気持ちでやってみたが、思えば魔法を使えるようになってからは初めての失敗だった。故に、ちょっぴり落ち込んでいる。
「でも安心しました。レオナ様も失敗するんだなって」
「え〜?」
(テオに支えてもらわないと、一人で水の補充すら出来ないのに?)
「ふふっ、いえ、何でもありません」
楽しそうにテオが笑う。
(最近、テオがよく笑うようになった。嬉しいな)