第27話 作業小屋完成
テオとエリスが来てくれるようになってからというもの、レオナの仕事は捗りっぱなしだ。
エリスに薬草栽培を一任したことで、ポーションの生成に専念できるようになったし、テオのお陰で、屋敷から離れた場所にある井戸の補充も出来るようになった。
だがしかし、朝から昼過ぎまで領内の井戸を歩いて補充して廻って、屋敷に戻ったらポーション生成とは······。年齢を考えると、ブラック企業も真っ青なハードスケジュールである。
まぁ、誰かに強制されるでもなく、レオナが勝手にやっていることなんだけどね。
そんな忙しい毎日を送っていたある日、ガッツの作業小屋が完成したとの知らせが届いた。
早速、テオと小屋にいるガッツに会いに行く。
「ごきげんよう、ガッツ」
「レオナ様、お疲れ様です」
「まぁ!!!立派な作業小屋じゃない」
派手な装飾はないが、レンガ造りのしっかりした大きめな作業小屋だ。
中を見てみると、かまどが1つと大きな作業台がひとつ。それから材料を保管する棚がいくつかあった。現状設備は簡素だが、これからガッツが好きなようにカスタマイズしていくだろうから、これはこれで良いかもしれない。
「はい、ありがたい限りです」
「これからもよろしくお願いしますね」
「了解です。まずはポーション用の小瓶を作ってみます」
「えぇ、お願い。___ところでその方は?」
ガッツの隣に、レオナよりいくつか歳上そうな男の子がいたのが気になっていた。もしかして、もう弟子を取ったのだろうか?いや、にしては流石に若すぎるような···。
「息子のカイルです」
「へ?」
着ている服がボロなせいで目立たないが、よく見るとキラキラした切れ長な瞳をしている美丈夫だ。こんなキレイな息子がいるとは。ガッツ、侮れん。
「レオナ様より5つ歳上の9歳なんですよ。ほら、カイル。レオナ様にご挨拶だ」
「······こんにちは」
「こんにちは、カイル。これからよろしくね」
「///」
カイルは恥ずかしそうにモジモジしている。9歳くらいだと、こんな感じなんだろうか?
「ところでカイルは、何月に9歳になったの?」
なんだが沈黙が気不味くて、とっさに思いついた話題を降ってみた。
「ちょうど先月です」とガッツが代わりに答えてくれる。
「あら!じゃあ今月5歳になる私とは、学年でいうと4つ違いね!」
「「「学年?」」」
(し、しまった。この領地には学校は無いんだった)
「い、いえ。何でもないわ」
変なことを口走ってしまったと焦っていたら、
「あ!そうだレオナ様、今度の5歳の誕生日には何をお願いするんですか?」とテオが話題を振ってくれた。
ガハハと笑い声が聞こえたかと思うと、4歳の誕生日プレゼントに領民の派遣をお願いするんだもんな〜前代未聞だよ、とガッツが豪快に笑っている。
レオナは「毎日好きにさせてもらっていますので、これ以上欲しいものなんてないですよ」と、嘘をつく。
本当は温かいお風呂に入りたい。もっと色んな食材を使ったカリンの料理が食べたい。
あと、さっき気づいたばかりだけど、この領地には学校がない。
この領地の唯一の財産は人材だ。だからこそ教育が大切なのであって。それなのに学校すらないなんて。
そんな状況で、自分用のお風呂を作って欲しいだなんて言えやしない。
「レオナ様、何か欲しいものがあればおっしゃって下さい。これだけ領地のために頑張っているんです。少しくらい我儘を言っても誰も文句はありません」
(テオ······。偉そうだと思われてないかなと心配していたけど、そんな風に思ってくれていたなんて)
お風呂が欲しいなんて言えないけど、でも何かお願いしないと、今年はお父様に離してもらえないかもなぁ。
「では、是非ガッツに作ってもらいたいものがあります」
Tipsその4〜スキルボードについて④〜
スキルボード上のアイコンをタッチすると、以下のように、スキルの詳細が確認できる
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ウォーターウォール(SP0/3)
縦3メートル横5メートルの水の壁
持続時間30秒
消費MP3
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