第26話 テオとエリス
翌日。
テオとエリスが、2人揃って屋敷まで迎えにきてくれた。
なんと2人は幼馴染で、住んでいる家も近いらしい。
テオがエリスを可愛がっている様子がダダ漏れで、レオナはホッコリした。
(エリスは女神みたいな美人さんだもんね)
昨日の今日だが、早速2人には今日から働いてもらうことに。まぁ今日は初日だし、今後お願いしたい仕事を、簡単レクチャーするだけで終わってしまいそうだけどね。
まずはエリス。
エリスにお願いしたい仕事は、以下の3つだ。
① 一日20回、薬草栽培の魔法を施す
② 薬草への水やり
③ 薬草を収穫して、小屋で乾燥させる
「では薬草畑を案内しますね」
2人は周りをキョロキョロしながら着いてくる。
「畑は段差が多いですから、前を向いていないと危ないですよ」
「は、はい!」
畑に着くと2人は、「うわぁ~薬草がこんなにたくさん!」、「結構広いんですね」、とそれぞれ感想を口にした。
「では、エリス。こちらで魔法を使用してもらえますか?」
「分かりました。すぅ〜。薬草栽培」
エリスが魔法を発動させると、エリスが触れていた部分の畑の土が盛り上がり、そして小さな薬草の葉がひょっこり現れた。よし、効果はレオナと同じ。これなら問題ないだろう。
「うん、完璧ですね」
褒められて嬉しそうなエリスを連れて、水やりに使う水瓶やジョウロの場所、収穫した薬草保管場所や、乾燥方法等をどんどん教えていった。
「お願いしたい仕事は以上ですが、どうでしょう?お願いできますか?」
「はい!お任せください!」
「良かった。では、毎日テオと様子を見に来ますから、何かあれば教えてくださいね」
「エリス、程々に頑張れよ」
それ程難しい作業じゃないし、エリスなら多分大丈夫だろう。
さて、次は。
「ではテオ、次はあなたの番です」
「はい、レオナ様」
「あなたにお願いしたい仕事は2つ。1つは、一日中私の護衛に付いてもらうこと、そして2つ目は、一日の終わりに剣術スキルの特訓を行うことです」
「かしこまりました」
「何かあった時に、剣術スキルを使うのが初めてとなると不安ですからね。毎日じゃなくても構いませんが、出来るだけ練習をしておいて下さい」
「はい、仰せのままに」
(まずい、ちょっと嫌味な言い方になっちゃったかも)
レオナは決して、テオの腕を不安に思っている訳では無い。ただ、これまでの経験上、魔法を使えば使うほど、早くレベルアップが出来た。
レオナがステータスを見れることをテオに悟られないようにしつつ、魔法の練習を勧めたいだけだったのだが······。
(テオに偉そうな奴と思われてないといいけど)
ちょっと落ち込みながら、テオと一緒に
・第二地区西側のポーラの畑
・屋敷側の井戸
・第一地区北西の井戸
・第一地区南西の井戸
の井戸を補充して回った。
(屋敷内や屋敷裏庭の補充は、二人が来る前に終わらせた)
今後はこれに、第二地区北西の畑が加わる。
(これはMPより体力が心配だなぁ)
案の定、MPより先に体力がなくなったレオナは、最後の井戸から屋敷までの帰りは、恥ずかしながらテオにおんぶしてもらった。
おんぶして欲しいと自分から言うのは恥ずかしいと思っていたところ、テオがさも当然のように屈んでくれた。
きっと、アーサーやアランが、帰りはそうするようにと伝えていたに違いない。
(恥ずかしいけど、お兄様、アラン、グッジョブです)
◇◆◇◆◇
屋敷の裏庭に戻ると、さぁ今度はポーションの生成だ。
「あのレオナ様、20回以上魔法をお使いのようですが、その······気分が悪くなったりとかは?」
「大丈夫よ。私は少し無理しても大丈夫な体質なの。でもお父様やお母様、それからお兄様には内緒にしておいてね。心配させたくないから」
テオがドン引きするのも仕方がない。
1日20回以内に抑えるのが常識とされた世界で、護衛対象の4歳児が、1日に100回近く魔法を使うのだから。
この半年間ストイックに魔法の練習を続けた結果、レオナはなんとレベルが51まで上がっていた。
MPにいたっては203もあるし、ウォーターのスキルをレベル3に上げたことで、より少ないMPで水の補充が出来るようにもなったし、4000〜5000リットルくらいなら全然余裕である。
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レベル51 (SP73/105)
体力:5/173
MP:50/203
攻撃力:45
防御力:50
攻撃魔法:48
防御魔法:53
俊敏性:45
幸運値:92
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涼しげに言うレオナとは対照的に、
(レオナ様の魔法は普通じゃない。護衛がないと外出できないのも頷ける領地のためにこんなに頑張ってくれているレオナ様のため、僕も精一杯鍛錬しよう)
と、忠誠心を寄せるテオなのであった。
Tipsその3〜スキルボードについて③〜
スキル習得の条件を満たすと、アイコンがスキルボードに表示されるようになる
スキル取得前は灰色だか、習得後は光る