第2話 教会にて
教会の中には司祭様が一人居るのみで、他の来訪者は居なかった。寄進も必要だし、魔法の適性確認は誰でも簡単にという訳にはいかないのだろう。
「グライスナー領のアレスだ。こっちは娘のレオナ。本日は娘の魔法適性を確認していただきたい」
司祭様は糸目だ。表情から感情は読み取れない。
「かしこまりました。ではレオナ様、あちらのお部屋に。アレス様はしばしの間、こちらでお待ちいただきたく存じます」
ガチャ
糸目の司祭様に奥の小さな部屋を案内される。
椅子に座ると、どうやらすぐに儀式が始まるようだ。
「レオナ様、この水晶玉に手をかざしてください」
「は、はい」
流石に緊張してきた。今回魔法適性が確認出来なかったら、次回はいつ連れてきてもらえるか分からない。
それまで魔法の練習ができないということは、その分お風呂の完成時期が遅れるということ。下手したら何十年もお風呂に入れないなんてこともあり得る。そんなの絶対無理!
いや、今考えたって仕方ない。
覚悟を決めて、水晶玉に手をかざす。
するとだんだん手のひらが温かみを感じてきた。
これって?
ピカッ
あ!水晶玉が青く光った!
フワッ
今度は緑!
「レオナ様、おめでとうございます。水属性魔法、薬学スキルが神より授与されました」
(水属性魔法!?本当に!?これで現世でもお風呂に入れるよね?)
「ありがとうございます。神のご加護に感謝いたします」
心の中でガッツポーズをしながらも、出来るだけお淑やかにお礼をいう。
ガチャ
「レオナ!大丈夫だったか?」
「うん·······」
念願の水属性魔法。夢みたいだと思って、頭がふらふらする
「神の御加護があらんことを」
「司祭様、ありがとうごさいました。これは寄進です」
お父様が袋を差し出した隣で、私もペコリとお辞儀する。
「頂戴いたします」
(ご多幸をお祈り申し上げます。レオナ様)