第18話 ポーションが売れた!
アーサーから買ってきてもらった道具を持って、庭先の小屋に籠もる。
実は、下級ポーション生成のスキルは既に習得していた。
▽薬学スキル
◯メインスキル
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下級ポーション生成(習得済)
薬草を使って下級ポーションを作る
消費MP3
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後は実際に作ってみるだけだ。
お兄様が買ってきてくれた釜のような容器に、薬草を入れすり潰す。
(作り方はお兄様が行商ついでに、調べてきてくれた)
汁が出てくるくらいすり潰したら、少しのお水をいれて、「ポーション生成!」と唱える。
すると水嵩がましながら、薬草がみるみる溶けてなくなっていった。
(上手くいったみたい!)
とりあえず、おたまで慎重に小瓶に移す。
薬草15枚で、小瓶5本分のポーションが生成出来た。
「できた!」
早速お兄様の部屋に行き、成功を報告行くことにした。
コンコンコンコン
「お兄様!レオナです!!」
シーン
(あれ、お兄様居ないみたい。じゃあお父様のところかな?早く報告したいし、探してみよう!)
コンコン
「お父様、レオナです!こちらにお兄様はいらっしゃいませんか?」
「ん、レオナ?そんなに慌ててどうしたんだ?」
ガチャ
「アーサーなら中に居るぞ。丁度話も終わったところだし、私の部屋で話したらどうだ。2人で話したいなら席を外しても構わないぞ」
「では失礼してもよろしいですか?良ければお父様も一緒に見て下さい」
「見る?」
部屋の中に入ると、お兄様が寛いでいた。
「よぉレオナ。何かあったか?」
無言でバックからポーションを取り出す。
「まさか、コレ······?」
「はい。ポーション、出来たと思います」
言葉を失うお兄様と「ポーション!?」と驚くお父様。
「確かに、この色味はポーションかもしれない。どうやって作った?」
「お兄様にいただいた道具を使って、教えていただいた通りに作りました。あとは、薬学スキルの力ですかね」
お父様とお兄様が顔を見合わす。
「これは、我が領を建て直す手立てとなるぞ」
「えぇ、お父様」
「レオナ、これは偶然作れたものでは無いんだな。今後も生成は可能ということでいいんだな」
「はい、そうですね」
「はぁ〜、何ということだ。レオナ、出来る限りでいい。このポーションを今後も定期的に作ってはくれまいか。勿論、水の補充をしても魔力に余力がある時だけでいい」
「はい。もとよりそのつもりです」
アーサーとレオナが部屋を出た後、2人の父が独り言ちた。
「まさか3歳の女の子が、我が領の救世主になるとはな」
◆◇◆◇◆
井戸の補充の傍らの作業になるため、毎日1回ずつしか出来なかったが、6日間かけて30個のポーションを作ることができた。
それから十数日後。行商人のシュバルツさんが領地にやってきた。
レオナもアーサーと一緒にお出迎えする。
「お久しぶりです、アーサー様」
「やぁ、シュバルツ殿、よく来てくれた」
「とんでもございません。前回譲っていただいた薬草がとても高品質だったもので、お礼がてら立ち寄らせていただきました」
せっかく来ていただいたが、この貧乏領地ではおもてなしも難しいので、早速ポーションをみてもらう。
「シュバルツさん、これが我が領のポーションだ」
「ほう······。この緑がかった透明感のある液体は、間違いなくポーションですね。やや、如何にしてこれをお作りになったのですか?まさか魔導具が?」
「悪いが領外秘でね。一瓶1,200ダールだが、いくついるかい?」
「えぇ、すべて買い取らせていただきます」
結局、30個のポーションと大量の薬草をお買い上げいただいた。
合計70,000ダールの収入だ。
大した金額ではないのかもしれないが、自給自足がやっとのグライスナー領にとっては、喜ばしい収入であった。
また、更に嬉しいことにアーサーお兄様とすっかり仲良くなったシュバルツさんは、今後も定期的にグライスナー領に来てくれることになった。




