第16話 ステータスレベル10
それはそうと、魔法を使えるようになって早くも約1ヶ月半が経過していた。ステータスはレベル10に到達しており、魔法の練習は順調だ。
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レベル10 (SP6/27)
体力:64/64
MP:69/69
攻撃力:14
防御力:15
攻撃魔法:16
防御魔法:19
俊敏性:13
幸運値:37
属性:水属性 レベル6 ▽
薬学スキルレベル8 ▽
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屋敷側の井戸を補充し始めてから、水属性魔法のレベルがどんどん上がりはじめた。どうやらスキルレベルは、練習すればするほど早く上がるらしい。
これ以外にも、レベル10になるまでに気づいたことがいくつかある。
例えば、ステータスレベルが上がると
・ステータスが上がる
・スキルポイントを獲得できる
・まれに習得できるスキルが増える
等だ。これからも法則性を探していきたい。
◆◇◆◇◆
最近、アランと一緒に屋敷側の井戸に行くと、既に井戸周りに住民が集まっていることがある。
最初は水の補充が待ち遠しいのかと思っていたが、どうやら違うらしい。
子ども達は、レオナが魔法を使うのにあわせて、「ウォーター」と唱えて遊んでいるみたいだ。小さい頃から魔法に興味があるとは、見どころがある子ども達だ。将来が楽しみである。
無邪気にごっこ遊びをする子ども達とは対称に、大人達は冷静にレオナの魔法を観察している様子。掟を破り、1日に20回以上魔法を使っていることが大人達にバレやしないかと、レオナは気が気じゃない。
「やっぱりレオナ様のウォーターは、他の水属性魔導士より量が多いんでねぇか?」
「確かに言われてみると、そんな気もするな」
「バカ言え。ウォーターで放出される水の量は、どの魔導士も同じ。常識だろ」
「そうなんだけどよ。でも、どうも3〜5倍くらいの量はありそうに見えるんだよな」
ギクッ
これはいつかバレるだろうなぁ〜。そっとしておいてくれるといいけど。
正直な話、毎日レオナの魔法を近くで見ているアランには既にバレていてもおかしくないと思う。同じく水属性魔導士だったマリーとも長く同僚だったわけだし、マリーの水魔法を直接見る機会も割りと多かったんじゃないかな?
マリーの水魔法と比較すれば、すぐにレオナのウォーターの量が異常に多いことに気が付きそうなものだけど。
他人の魔法に興味がないのか、それとも気づいて黙ってくれているのか。
まぁいいや。バレていないなら、それに越したことはない。聞かれるまでは黙っていよう。
それよりも、今はアランに聞きたいことがある。
「ねぇアラン。町の人は、毎日お湯で身体を洗ったりはしないの?」
「そうですね。毎日洗いたいと思っている者は居るかもしれませんが、実際には難しいかもしれませんね。何しろこの乾燥地帯では水を確保することさえ困難で······。お湯を沸かすなんて、主食の芋を茹でる時ぐらいでしょう。なんせ燃料もあまりありませんから」
「じゃあ火はどうやって確保しているの?」
「領内に火属性魔導士が1人居ますが、狩りやら依頼やらで外に出ている事も多いので、基本的には各自が火打ち石を使って発火させていますね。それを配給された資材や、枯れ葉、雑草等に灯しています。まぁあまり長い間は使用できませんが」
「そうなのね。教えてくれてありがとう」
正直、ここまでハッキリ教えてくれるとは思わなかった。ともすれば、領主批判とも捉えられかねない内容だったからだ。
でも、レオナとしては、正確に現状が把握できて助かった。
ドラム缶式風呂なら、水魔法が使えるレオナならすぐに出来そうだし、領内に広めることも可能かと思っていたのだが。
そうか、燃料が必要なドラム缶式風呂は贅沢なのか。
だとすると、燃料を確保する方法を考えるか、水を沸かすのではなく最初から魔法でお湯を出すか。
そういえば、水属性魔法のサブスキルににコールドウォーターなるものがあったな。
▽水属性魔法
○サブスキル
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コールドウォーター(SP0/1)
冷たい水を作り出す(10リットル)
消費MP1
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コールドがあるならば、ホットウォーターがあってもおかしくはない。それに期待して、燃料の件はホットウォーターを習得出来なかった時に改めて考えるとしよう。
◆◇◆◇◆
兄アーサーは明後日から行商に行くらしい。そのため、今日からは行商用の薬草を準備することにした。
といっても、既に薬草は収穫して乾燥させているので、5枚一束になるように紐でくくるだけだ。
価格設定は一束750ダールで様子見することにした。売れ残るようであれば、値下げも要検討だが、その辺りはお兄様にお任せしよう。餅は餅屋とも言うし。
お兄様には、薬草が売れたら以前話していたポーション生成用の道具を買ってきてほしいと念押ししている。上手く運べば、ポーションを作れるようになるだろう。楽しみで仕方ない。
翌々日、家族みんなでお兄様を見送った。
「じゃあ行ってきます」
「あぁしっかりな」
「気をつけてね、アーサー」
「お兄様、気をつけて行ってらっしゃいませ」
「お父様、お母様、ありがとうございます。レオナ、薬草は絶対売ってくるからいい子で待ってるんだぞ!」
「はい!」
(お兄様、よろしくお願いしますよ!)
神に祈るような思いで、兄アーサーを見送るレオナだった。