第10話 お父様からのお願い
それから2週間と少し。毎日順調に、魔法の練習をしてきた。
意外とレベルアップのスピードは早く、レベルは既に6まで上がっていた。
レベルアップする度に、ステータスは体力とMPを中心に上昇しており、薬草畑の拡大に大いに役立っていた。
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レベル6 (SP10/15)
体力:48 /48
MP:51/51
攻撃力:10
防御力:11
攻撃魔法:12
防御魔法:14
俊敏性:7
幸運値:28
属性:水属性 レベル1 ▽
薬学スキルレベル6 ▽
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また、スキルポイントを5消費して、ウォーターをレベル2に上げていた。
▽水属性魔法
○基礎魔法
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ウォーター(習得済)
水を作り出す(10リットル)
消費MP1
ウォーター レベル2(習得済)
水を作り出す(50リットル)
消費MP2
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ウォーターレベル1だと、毎日の庭の水がめの補充(50リットル)にMPを5消費していたが、レベル2になると消費するMPはたったの2。
大幅な効率アップだ。
ただ、その分練習量が足りないのか、レベル6まで上がった薬学スキルとは対照的に、水属性魔法はまだレベル1のままだった。
薬学スキルも大事だけど、お風呂に入るという夢のためには、水属性魔法ももっと練習したいな。
◆◇◆◇◆
そんなある日、父アレスからの呼び出しがあった。
コンコン
「お父様、レオナです」
「レオナか、入りなさい」
「はい、失礼します」
「急に呼び出して悪かったね。ソファーに座って楽にするといい」
「はい」
お父様に言われるがまま、決して柔らかくはないソファーに腰掛ける。
「さて、レオナ。お前が魔法を覚えてそろそろ半月程だろう?どうだ魔法は面白いか?練習は順調か?」
「はい、毎日楽しく練習しています」
「ハッハッハ。そうだろうな。庭師のアランからも報告を受けているよ。レオナの育てた薬草が徐々に収穫できていると」
「えへへ」
そうなのだ。薬学スキルで栽培した薬草は、たったの15日で収穫できるので、初日に植えたものは既に収穫済み。
しかも都合の良いことに、魔法で植えた薬草は、少しの水でもグングン育ってくれるのだ。これが魔法の持つ力なのかと、前世の記憶がある私は、とても驚いた。
「どれもこれも上質な薬草らしいな。あ、あと、レオナがとんでもないスピードで薬草畑を拡大しているものだから、今後は収穫の手が回らなくなるかもとも言っていたな(笑)」
「あ〜あはは」
そうなのだ。魔力が増えた最近では、一日で6㎡程ずつ畑を広げていた。
事前に畑を耕さなくても、魔法を使えば一緒に畑も耕せることが分かったのが幸いだったが、薬草の収穫はアランに任せっきりだった。
しかし、爆速で畑を拡大していることが報告されているとなると、1日に20回以上魔法を使っていることも、お父様にはバレているのかな?
もしかして、今日はその件で呼び出されたのかも。
「そこでだ、そんな練習熱心なレオナに相談なのだが、どうだろう、屋敷の外の井戸の補充をお願い出来ないだろうか。実は侍女のマリーからお暇を貰いたいと相談を受けていてな。なんでもマリーの母親の体調が悪く、側で一緒に暮らしたいらしい。今頑張っている薬草の栽培が難しくなるかもしれないが、領地のためにも頑張ってほしい。どうかな?」
「勿論です。お任せください」
良かった。まだバレていないみたい。そればかりか、水魔法を使う機会が増えて、むしろラッキーだ。
でも、マリーは実家に戻っちゃうのか。仕方ないけど、悲しいな。
「ありがとう、レオナ。ただ無理はしないようにな」
「はい」
あとから、お父様からざっと説明があったが、実際に私が屋敷外に出るのは、マリーがお暇を貰う来月始めからになるとのこと。
屋敷外といっても、せいぜい200~300mくらいだが、その間は庭師のアランが側に付いてくれるとのことだった。
薬草畑の管理も厳しくなってきたし、水属性魔法のレベルもそろそろ上げたいところだったので、私にとっては本当に丁度いいタイミングだった。
「よぉし!この機会に水魔法のレベルを上げるぞ~。目指せお風呂建設!」