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香りに誘われて

 夢の中のような浮遊感…。


 不明瞭な意識の中、こちらと誘う目の前の彼女の姿はとても魅力的に思えた…。


 パーッと管楽器のような音が聴こえた。そして俺の体は宙を舞い、俺は意識を失った。


:::::::::::::::::::::::::


「あ~っ、最悪だ。せっかく1万も払ってんのに収穫なしとか…。」

 7月後半、大学は夏季休暇に入ったのに特に予定のない夏に絶望しているとバイト仲間から合コンに誘われた。

 一人寂しい休みを覚悟していた俺、伊藤(いとう) 麻白(ましろ)は好機とばかりに二つ返事をして合コンに向かった。

 しかし結果は惨敗。ほかに参加していた男性陣と大してスペックは変わらないのに、自分だけ女子の連絡先を得られず。

 合コンの費用は男性陣持ちなので無償で女子の飲み代を支払うだけとなった。


 自棄になり飲みまくったせいで少し頭がふらつく中、俺は帰路についていた。


 最寄り駅の改札を抜け、落胆して俯きがちに歩いていた。自分の住むアパートを目指し住宅街を歩いているとフワッと香水のような甘美な香りを感じ顔を上げた。


 駅を使う際はいつも使っている道のはずだが、見慣れない家が目についた。 


 香りはその家から漂ってきて吸い寄せられるように近づく。


 築年数を感じる味のある高い塀に囲まれた一軒家で、門から少し覗くと丁寧に整えられた庭が見えた。庭の隅に白いラッパのような物をぶら下げた何かが見える。暗くてよく見えず目を凝らそうすると、香りが強くなり酩酊感が増幅した。


(飲みすぎたか…?)


 ヤバいと思った瞬間、俺はその場で崩れ落ちた。


:::::::::::::::::::::::::


 目が覚めると、見知らぬ部屋に居た。

 寝ていたソファーから身を起こし周囲を見渡す。

 アンティークを思わせるテーブルや椅子、棚などの家具が置かれているが何処か殺風景で生活感がない。

 酒が抜けていないのかまだ頭がフラフラする。

 まとまらない頭で現状を確認しようとすると、足音が聞こえ女性の声がした。


「よかった、気がつかれたのですね。」


 目を向けると若い女性がいた。白いワンピースを着て、胸のあたり伸びた黒髪の女性だった。


「家に帰ったら門の前で倒れていたので驚きました。」


 どうやらあの時俺は酔って倒れてしまい、それを見つけた彼女が介抱してくれたらしい。


「気分はどうですか?」

「少しまだ頭はフラフラしますが、大丈夫です。」

「そうですか、かなり酔われていたみたいですね。飲みすぎは体に悪いですよ。」


 そういって彼女は一杯の水を出してくれ、俺は喉が渇いていた事もあってありがたく頂くことにした。

一息ついた後、忘れていたお礼と自己紹介を行う。


「この度は介抱してくださってありがとうございます。俺、伊藤麻白って言います。」

「いえいえ、気にしないでください。困ったときはお互い様ですから。私は高倉(たかくら) 朝顔(あさがお)といいます。」


 朝顔は今日の合コンに参加してた女性陣が霞んで思えるほどきれいな女性だった。すらりと伸びた手足には白く、胸は過度な主張をしないが十分な豊かさを感じられるほどにはある。

 話し方や所作に品があり、家の家具などからも考えてかなり育ちがいい人なのだと感じられる。


「それにしても、家の前からここまで運ぶは大変じゃなかったです?」


俺は大学ではサークルに所属していないが、高校では野球部に所属していたので、そこそこ鍛えてあるし体格もそれなりにある。そんな自分を細い朝顔が運んだことを疑問に思う。


「こう見えても力仕事は得意なんです。趣味がガーデニングで重いものを運んだりもしますので。」


 そう聞いて先ほど覗いた庭を思い出した。きれいに整えられていたが、ガーデニング趣味にしては花などほとんど植えられていない寂しい庭だったはずだ。

 少し気になったが口には出さなかった。


 ふと、今の時間が気になった。合コンが終わったのは22時。その後各自で2次会をすることになったが、縁がなかった俺はそのまま帰ることにした。そして30分ほど電車に揺られた後歩いてココにたどり着いて気を失ったので、少なくとも23時は過ぎているはずだ。

 スマホの時計を確認して驚いた。かなりの時間寝ていたようで、日をまたぎ時間は2時を過ぎていた。


「こんな遅くまで相手させてしまってすみません。そろそろお暇しますね。」


 すると彼女は体調を気にかけてくれて、もう少し休んでいくといいと言ってくれたがさすがにこれ以上迷惑はかけられなかったので帰ることにした。

 玄関先で、また後日お礼しに来たいと告げると朝顔は「気にしないでください。」と遠慮したが、俺の気が済まないということで、翌日の19時頃にお邪魔するころにした。

 彼女には気が済まない言ったが、本心は彼女と親しくなりたかったからだ。美しい彼女と付き合えれば今回の合コンの惨敗などかすり傷程度にしか思えない。


こうして、朝顔の家をあとにした俺は未だふらつく頭で家に帰るのだった。

 突如思いついたネタを見切り発車で書いているため、大まかな流れは思いついているが細かいところは考え中です。

 そこまで長く続けるつもりはありませんが、話数なども未定です。

 最後まで書ききるつもりですがのんびり投稿で行くつもりです(8月前半までには終わらせたい)。

 どうか最後までお付き合いお願いいたします。

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