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4話 若返り疑惑

実際にカオリのように、自分たちが異世界転生して森に放り込まれたら……

俺は多分カオリみたいになると思うんです。

皆さんはどうでしょうか?

テンション上がりますか?怖くて動けなくなりますか?

 私達は魔物の少ない区域目指して歩いていた、基本的に魔物はソルが倒してくれている。

 しかし、先程の事もあってか歩く姿を見ても明らかに元気がないレイナ。


 ミルムという神様との別れ。

 実際に出会ったのは転生時とついさっきの2回だけだったらしいけど、レイナにとっては特別な存在だったようで、心の中にポッカリと穴が空いたかのような様子だった。


「……ごめんなさい、私なんかの為に」

「いや、カオリのせいじゃないさ。それよりも、ミルムから色々貰った物があるだろう? 確認してみようか」

「そう、ですね。ステータスオープン」


 はぐらかす為に言ったかのような言葉だったが、実際に何を授かったのかは私も気になるので見てみようと思う。

 ステータスを開いてみると、雷属性と雷耐性以外にも様々なスキルが追加されていた。

 このステータスは周りからは見えないらしく、何が増えたのかは私が口頭で伝える事にした。


「鑑定眼、透視、観察眼、完全記録、力持ち、遠視、危険察知、魔力探知、魔法でコール……」

「お、おぉ……凄い量の補助スキルだな」

「凄いわね、あったら便利なのが沢山」


 前を歩いていたソルも、私の声を聞いていたみたいだ。


「あと、マッピングってスキルもありますね……」

「マッピング……? マッピングと言えば、マップを記録したり作ったりするって意味だったはずだが……そんなスキル聞いた事ないぞ」


 異世界転生の先輩であるレイナでも、マッピングというスキルは知らないようだ。


「1回使ってみていいですか?」

「あぁ、いいぞ」

「マッピング」


 そう口にすると、目の前にヴィクトヘルム地図と書かれた大きい地図が浮かび上がった。


「わっ!?」

「おお、これは地図か!?」


 どうやらレイナにもこの地図は見えているみたい。

 良かった、私でもちゃんとスキルを使えるようになってた! 嬉しいな。


「しかし、この一部しか書かれていないみたいだな」


 レイナがそう言いながら地図触れると、触れた部分が拡大されて見やすくなった。


「あっ、拡大された!」


 自分達が居るであろう位置に点があり、その周りにはここが森であると判るように描かれていた。

 自分の周り一定範囲が、この地図に描かれているかのような感じかな。

 よく見ると、自分の現在地より若干北付近も描かれている。

 しかし、この広い森ですら地図にはかなり小さく描かれていることを考えると、この地図はかなりのスケールの大きさなのだと感じさせる。


「もしかしたら、自分が行ったことある場所しか描かれないんじゃないでしょうか? ここを見ると、現在地より北が少しだけ描かれています。これが私達が歩いて来たって事では?」

「確かに、今は南へと移動している。なるほどそうか! だからマッピングなのか!」


 そして色んな所をタップしたりして使い方を探っていると、拡大倍率の調整も出来ることが判明。

 取り敢えずマッピングのスキルがどんな物なのか把握出来た、簡単にいえば自分で作る世界地図だね。

 色んな場所に行けば行くほど、この世界地図は完成されていく……自分だけの地図。


「これは素晴らしいぞ! この世界にこんな精密な地図はないからな。簡単な地図ならあるのだが……」


 レイナがそう言うと袋の中から紙らしき物を取り出したので中身を見てみると、かなり簡略的な地域地図のような感じだった。

 その地図によると、この森を出てすぐ南に街らしきものが描かれている。


「これがここから1番近い街ですか?」

「そうだな。厳密にはトリスター王国という国の中心である、王都トリスタという街なのだがな」


 なるほど、ならまず私はこの街を目指す事になりそうかな。


「取り敢えず、その地図は素晴らしいうえに見た事が無い、だから人前では出さないようにな」

「何故ですか?」

「悪い奴に見られたら悪用される可能性があるからだ。精密な地図になり得ると分かれば、拉致してでも欲しがる奴は居るだろうな」

「ひっ……」


 この世界で拉致なんぞされたらヤバい事くらい想像も容易い。


「大丈夫、私達が守るから」

「あ、ありがとうございます」


 補助スキル系統の詳細なんだけど、話が長くなりそうなので野営する際に確認する事にした。

 次にウエストポーチの中身もチェックしてみると、ミルムが言った通り無限収納出来るアイテム袋となっていた。

 中に入っている物が全て分かるようになっており、取り出したい物を意識すると取り出せるようになってるみたい。

 中にはまだ合羽しか入れていなかったはずだけど入れた覚えのない硬貨が入っており、適当に1枚を取り出してみる。


「何これ、硬貨?」

「それ、金硬貨じゃないか!」

「金硬貨?」

「この世界のお金だ。金硬貨は1万ノルンなのだが、日本で言う1万円だと思ってくれ」

「なるほど1万円!でもまだいっぱいあるみたいですよ?」


 更に色違いの硬貨を出してみると……

 白硬貨が10枚

 金硬貨が10枚

 銀硬貨が10枚

 銅硬貨が10枚

 が入っていた。


「白が10枚……100万あるじゃないか!」

「ひゃ、100万!?もしかして、さっきのミルムさんが入れてくれたんですかね?」

「だ、だろうな……暫く生活に困らないように計らってくれたのだろう」


 レイナ曰く、銅が100ノルンで銀が1000ノルンと、10倍毎に色が変わるんだそうな。

 ポーチの中にはなかったけど、青銅硬貨が10ノルンで鉄硬貨が1ノルンらしい。あまり使われないから覚えるだけでいいって言ってた。

 ミルムさん……感謝します、お陰で暫くは食べていけそうです。


 アイテム袋と化したポーチの確認も済んだので、野営の為にどんどん森の中を進んでいく私達。

 最初は魔物にも結構出会っていたのだけど、次第に出会う回数が減ってきた気がする。


 そして夕日が傾きかけてきた頃、木々のない少し広めの広場が現れた。


「ここで野営しようか。周りが見やすくて魔物が来ても分かりやすいし、更に近くで水が湧き出してる場所もある」

「そうなんですね」


 レイナとソルがテントを張ろうとしていたので私もお手伝い。

 テントなんて設置したことなかったけど、優しく教えてくれたので難なく設置を手伝えた。


「よし。私は木を集めて焚火起こしておくから、2人は水を汲んできてもらえるか?」

「了解」「分かりました!」


 私はソルに教えてもらって水湧き場へと歩いて行く。

 歩いて3分も掛からない場所に水が湧いているのが見えた。


「あっ、あれですか?」

「そうよ。ここの水は飲み水としても使えるから、これに入れて保管しておくの」


 ソルがアイテム袋から取り出したのは、日本でも見たことがあるようなポリタンクに似た入れ物だった。


「これは……ポリタンク?」

「確かレイナもそう言っていたわね。レイナやカオリが住んでいた所での名前でしょうけど、この世界ではコンテルと呼ばれる魔道具で、水を常にきれいに保ってくれる術式が組み込まれているのよ」

「魔道具……そうなんですね、覚えておきます」


 ポリタ……違った、コンテルに湧き出した水を入れている最中、水溜まりに私の顔が写ったんだけど……少し違和感を覚えた。


「あ、あれ?」

「ん、カオリ?どうしたの?」

「顔が……何だか少し幼く見えるんですけど……見た目何歳に見えますか?」


 私は20歳なんだけど、こんな幼顔じゃなかった気がする。


「んんー、見た目は13~15歳……くらいかしら?」

「え? 私……20歳なんですけど」

「あら、そうなの? 15と20なんて大して変わらない気はするけど、それにしては童顔に見えるわね」


 身体を触るも違和感はない。

 ちなみに、高校生になってから20歳になるまで身長は全く伸びず149cm、体重も増えずに40kg±2kgくらい、そして胸も全然育ってくれずAカップ……かなしい。

 まぁ要するに、身体自体は多分13~20歳で間違いないはずだけど、顔が少し幼く見えるんだよね。

 確か、中学生時代がこんな顔だった気がする。


「もしかして私……若返っちゃった!?」


 身長も体型もほとんど変わっていない故に違和感がなかったから気付かなかった。


「転生って若返るものなの? レイナはそんな事言っていなかった気がするけど……」

「分からないです。ただ想定にない転生をしてしまったので、その影響かもしれませんね」

「そうかもね、でも老けるよりはいいんじゃない?」

「ふふっ、確かに!」


 クスッと笑って返事をする私。

 魔物は怖いけど2人が守ってくれるから、まだ森の中だけど少しだけ恐怖感は薄れた気がする。

 私は2人に感謝しながら、コンテルに水が貯まるのを待ったのだった。

カクヨムと重複投稿です

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