プロローグと異世界への憧れ
カクヨムと同時投稿です!
異世界って、実際にあると思う?
私はね、あると思うんだ。
剣と魔法が交わるような、ファンタジー世界が。
「行ってみたいなぁ、異世界!」
私は、お弁当屋さんの店舗で配達員をやっているのだけど、今はお昼休憩を先取り中。
休憩の先取りっていうのは、お昼は注文が多くて休めないから先に休憩を取る事だよ!
休憩中なのに何で異世界の事を考えてるかと言うと、スマホでお気に入りの異世界小説を読んでたからなんだよね。
最近、世間では異世界物のアニメや小説が流行ってて、私も結構ハマっちゃって。
王道と言えば、若干古いかもだけどチート貰って無双!ハーレム!俺TUEEEE!辺りだよね。
最近だと追放とか令嬢系が人気なのかな?
他にも転生したら人間じゃなかった系とか、魔王側に転生した系とかも多く見るね。
あと……ちょっとエッチな異世界小説とかも、興味が……あったり?
あはは、私も女だからね! そりゃ欲もあるよ。
まぁ、どちらかと言えばノーマルよりは百合派だけど。
って、そんな事はどうでもいいや!
私も少しだけ憧れはあるんだよね、異世界に行って魔法を撃ったりするの。
まぁでも、実際に自分が異世界に行ったとすれば……多分、モンスターと戦うなんて出来っこない。
死と隣り合わせだからね、普通は怖いよ。
もしかしたら、異世界に行けば意識が変わる可能性もあるけど。
戦闘をしない方面でいえば、生産系やスローライフ系も良いよね。
のんびり農家やお仕事、製産系能力で幸せに暮らすのもいいなぁって思う。
私もふもふが好きだからさ、もふもふな獣人さん雇って、みんなでワイワイしながら暮らしたりするのも悪くないかもしれない。
異世界小説やアニメを作る人って本当に凄い、読者や視聴者を物語に引き込み、楽しませてくれる。
主人公を自分に重ねて一緒に冒険したり、敵と戦ったりする想像が止まらなくなる。
スローライフなら、みんなとのんびり過ごす日常的な想像が、沢山出来る。
小説だと、自分が出来ない事を何でもやってくれる!
楽しませてくれる!
笑わせてくれる!
ハラハラドキドキさせてくれる!
そして泣かせてくれる!
異世界小説って、すっごく面白いと思う!
行きたいなぁ、異世界。
と、そんな事を考えていたら……私を呼ぶ声が聞こえた。
「美園さん! 注文が来たから準備してくれるか?」
美園ってのは私の名前、美園香織20歳の女です。
「あっ、はーい! 今行きます!」
厨房担当からお客の注文が入ったと聞いて、慌ただしく準備を始める。
配達用の車とバイク、どちらが空いているが確認しに向かった。
「配達車は……あー、先輩が先に乗って行っちゃったのか。仕方ない、バイクだね」
天気荒れてるから出来れば配達車が良かったけど……文句言っても仕方ない。
面倒だけど雨合羽を着ますか。
薄黄色の合羽を着て、厨房から出来たての注文弁当を受け取ってバイクに積み込む。
そして配達住所を確認して、スマホでマップを開く。
「配達場所は……あぁ、あの辺か。あそこなら大体15分くらいで着くかな」
スマホを防水袋に入れ、バイクを走らせた。
5分程走らせた辺りで、更に雨が強くなってきた。
「すっごい雨……前が見えずらい……」
バイクは前面がフロントガラスで屋根があるタイプだから、私自身は雨でぐちゃぐちゃになる訳じゃないんだけど、ガラスが雨で見ずらくなっていた。
ビュオォォォォォ!!
「か、風もやばい……上手く走れない」
一時的に風も強くなってきて、バイクがグラグラして非常に危ない。車も通るので最悪跳ねられてしまう。
「仕方ない、一旦降りて様子を見よう……数分でマシにならないなら、詫びの電話入れてバイクを押していこう……事故るよりはいい」
バイクで残り10分程度の距離、歩いたら多分30分は掛かるだろうけど……安全第一だよ。
私は一旦道端に一時停止をし、エンジンを切って降りる。
その瞬間……
ビッシャァァァァァァァン!!!
稲光と共に目の前が真っ白になり、激しい衝撃と熱量を全身に感じながら一瞬で意識を消失させた。
私に、雷が落ちてきたのだった。