5 襲ってこない! ほんとよかったー!
生後六日目。
私は技能ポイントとにらめっこしながらゴハンを食べるのが癖になってきた。どれだけ凝視しようが、そうそう増えないんだけどね。
ちなみにステータスは自分以外のも見ることができる。ただし、生きている生物限定。なのでゴハンや卵には表示されない。
私が唯一、閲覧可能なのは母さんなんだけど、
■■■■■【神威真鳥】
マナレベル■■■■■
火霊レベル■■■■■
風霊レベル■■■■■
地霊レベル■■■■■
雷霊レベル■■■■■
水霊レベル■■■■■
取得技能一覧
これだよ。元々情報が少ない上に、名前すら見えない。
ただ一つ分かるのは種類だけ。
へー、てっきり世界樹成鳥だと思ったけど違うんだね。何だかとっても神々しい感じ! さすが母さん! って、言うとでも?
今は種類なんて割とどうでもいいよ!
当然ながら、取得スキルは見ようとしても弾かれる。
……母さん、ちょっと距離が縮まった気がしていたけど、気のせいだったみたい。私は今、かつてないほどにあなたとの間に高い壁を感じているよ。
はぁ、会話ができれば色々と解決するはずなのに……。
と、こんな気の滅入る話ばかりじゃないんだ、今日は。
ついに卵が孵るんだよ! そう、私が命懸けで守ったあの卵っす!
殻にひびが入っていく様子を眺めながら、私は心に誓った。たとえ生まれてくるのが悪魔だろうと、大切に育てようと。
やんちゃするなら腕力でねじ伏せる。私には六日のアドバンテージがあるんだ。日々大きくなっているし、羽毛分を加えれば体格差は歴然。
そして、殻を破って中から嘴が。
ハッピーバースデー! お姉ちゃんだよー!
出てきた雛はしばらく私を見つめる。
つ、突いてくるのか……?
よかろう、このもふもふな羽毛で受けて立つ。
それとも脚か?
よかろう、それもこのもふもふな羽毛で――。
ところが、雛は私の胸にゆっくりと顔をうずめた。
お……、おお……、悪魔どころか、天使ですやん。
天使が生まれたー! 襲ってこない! ほんとよかったー!
ささ、孵化にエネルギー使ってお腹ペコペコでしょ?
ゴハンを用意してあるんだよ。用意したのは母さんだけど。
その母さんもお肉を運んできた後は、上から私達を見守っていた。信じられないものでも見るように硬直している。
よたよたとゴハンの前まで歩いてきた雛。
しかし、一向に食べる気配がなく、やがて一歩後ろに下がった。まるで、お姉さんお先にどうぞ、と言わんばかりに。
こ! この子!
マジ天使だわー! 白い毛玉の天使だわー!
私はお肉をついばむと、雛の口元へ。すると、ようやく食べてくれた。
もう興奮が止まらない私。高速でお肉と雛の嘴を往復する。
そうそう、これが鳥のゴハンだよ。
前世での、コハルちゃんとの蜜月が思い出された。食べ方もどことなく似ている。この子がいてくれれば、今後の鳥生活も楽しくなるに違いなかった。
結構な時間、夢中で給仕したのち、新たな生命体の誕生でふとひらめく。
あ、この子のステータス見てみよう。
コハル【世界樹雛鳥】
マナレベル 0
火霊レベル 0
風霊レベル 0
地霊レベル 0
雷霊レベル 0
水霊レベル 0
光霊レベル 0
取得技能一覧
コハル、ちゃん……?
コハルちゃんだ! やった! また会えるなんて……、しかも今回は私の妹!
えっと、妹、だよね?
やったー! 天使なはずだよ! コハルちゃんだもん!
最愛の妹をゴハンの前に誘う。身振り手振りで、一緒に食べよう、と伝えると分かってくれたらしい。仲良く二羽並んでお肉をついばむ。
うんうん、これこそ家族のあるべき形だよね。
「……ありえないだろ、お前達」
今、何か聞こえたような……?
コハルのステータスにある「光霊レベル」、ヒナコは完全に見過ごしています。
次話で気付き、へこんだり立ち直ったりします。
本日はここまでです。
明日も複数話、投稿予定です。よろしくお願いします。
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