表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/31

19 転生したら飼っていたセキセイインコが最強だった件。

 思えば我が家も様変わりしたもんだ。

 今日一日で広さは闘技場並みに、インテリアも素敵に充実。体長三十メートルのドラゴンが一頭、体長二十メートルのドラゴンが二頭、骸となって横たわっているよ。

 ……ここは竜の墓場か。


 どうしてこうなった?

 元々は訓練に適した相手を探そうと思って……、そうだ、母さんがやたら竜推ししてきたんだった。気付けばドラゴン連戦。

 よくよく考えてみるとおかしいでしょ。

 私達、難敵と言われる【鎧竜】進化形以外の神獣とまだ戦ってない。

 ……母さんめ、私達をどうする気だ。

 巨大な敵とばかり戦って疲れたよ……。


 ちなみに、今日はまだ私の生後八日目ね。コハルちゃんが会話できるようになったのも今日だし、コハルちゃんがチート成長したのも今日だ。


 し! しまった! コハルちゃんの疲労は私の比じゃないじゃん!

 ……そんなことにも気付けないなんて、私は姉失格だよ。ほら、コハルちゃん座りこんでうつむいちゃってる。もう限界なんだ。


「ごめんねコハルちゃん! 疲れたよね! もう今日は終わろう!」

「え? 疲れはそれほどないわ。私、これまでの戦闘を反省していたのよ」

「反省……?」

「私はヒナコちゃんの足を引っ張っている。このままじゃいけないわ」

「そんなことないって。さっきはすごく助けてもらったし」

「というわけで、特典を使うことにしたの」


 特典、ですと……?


「光の精霊と契約した私は、一度だけ能力上昇の特典が使用できるのよ。ただ、これを使うとヒナコちゃんのステータスを超えてしまうから……」

「やだ、気にすることないのに。使えるものはどんどん使ってよ」


 コハルちゃんは「分かったわ」と立ち上がり、瞳を閉じた。

 すぐにその体から湯気が上り始める。


 私達は互いのステータスを常に閲覧できるよう設定済み。

 なので早速確認する。

 ちょっとやそっと抜かれたくらいでいじけるような、小さい鳥じゃないよ私は。

 てあれ? マナの量、めちゃ上がってない?

 ポ、ポイントは……。



コハル【世界樹雛鳥】


 ―― 中略 ――


取得技能                 技能ポイント 1725P



 ……そ、そこまで上がっちゃうの?

 たぶん、っていうか絶対、一羽で下界生き抜けるでしょ。

 お姉ちゃんの、存在意義は……?

 存在、意義は……?


 転生したら飼っていたセキセイインコが最強だった件。


「これくらいじゃとても最強とは言えないわよ。ヒナコちゃんしっかりして」

「……あ、ごめん。つい意識が遠のいちゃった。そうだよね、私達、十日後にはもっと強くなってる予定なんだから。あれ? 今、私の心を読まなかった?」


 それにしてもコハルちゃん。母さん一突きチートに、光の精霊特典チートと強くなることに躊躇いがない。まっこと恐ろしき妹よ。

 私もあと一回くらいチート成長できないものかねー。苦労してドラゴン倒しても増えるステータスはごくわずかなんだもん。

 おや、外出中だった母さんが帰ってきたよ。


「待たせたね! 【鎧角竜】と【鎧毒竜】だ!」


 わーい、これで【鎧竜】進化形コンプリートだー。

 …………。


 げんなり。この一言に尽きるわ。



 ってわけで、ここからは少し駆け足で。

 まず戦ったのは【鎧角竜】だった。


「あの角マジヤバイ! 触れただけでローストチキンじゃん!」


 まあでも、(それほど)ローストされずに勝つことができた。

 ほんとにヤバイのは【鎧毒竜】の方だったんだよね。

 〈毒の息〉を取得していて、戦闘開始と同時にコロシアム中を汚染してくれた。当然、私とコハルちゃんは中毒に。


「く! 苦しい! ど! ど! 毒が体に! ど! ど! どうしようっ!」

「ヒナコちゃん冷静に。治療の手立てはきっとあるわ」


 前世じゃ毒なんて盛られたことないよ。まさに死へのカウントダウンだ。

 普通はパニックになるって。異常なほどクールなコハルちゃんがいてくれなきゃ危なかった。


 で結局、毒竜を倒した後、そのお肉を食べたら中毒は治った。

 なぜか同時に〈毒抵抗〉レベル1が手に入ったんだよ。

 ポイント使わずラッキー! って思っていたら、コハルちゃんがね……。


「確か〈毒斬爪〉も放ってきたわね。……あの爪、毒が残っているんじゃない? 爪で体を刺す。肉を食べる。を繰り返せば、どんどん〈毒抵抗〉を上げられるかも。やってみない?」


 こんなこと思いつくなんて、まっこと恐ろしき妹よ。

 その読みは的中。私達は中毒と治療をひたすら繰り返した。レベルが5になったところで、上がらなくなったため終了。


 もうほんと、色んな意味で疲れたよ……。

 今日の訓練はここまで。


 結構頑張ったよね、訓練初日で難敵の竜五頭やっつけたんだから。


 ……待った。

 私達、かなりすごくない?

評価、ブックマーク、いいね、感想、本当に有難うございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ