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15 あんた、大した女だよ。

 まずは黒い艶やかな鱗のドラゴンのステータスを確認。



イリナベラ【鎧魔竜】


マナレベル    6


火霊レベル    0

風霊レベル    0

地霊レベル    0

雷霊レベル    0

水霊レベル    6


取得技能



 あらら? 技能が閲覧できない……?


 彼女(たぶん女性)を右の鉤爪で押さえていた母さんが、「あ」と少し間の抜けた声を。


「何だか、右脚がとてもムズムズするぞ。これは我慢できないなあ」


 ……演技力ゼロか。幼稚園児でも数倍上手いよ。

 ついグッと、やってくるのを忘れたわけね。


「いいですよ、そのままで。自分達で削りますから」


 途端に、母さんは真面目な顔になった。


「ヒナコ、下界では相手の能力が分からないということは、本当に怖いことなんだ。覚えておきな」


 あ……、ほんとその通りだ。

 私、でかい竜を倒して調子に乗ってた。

 母親に叱られた子供のように、私はしゅんと意気消沈。

 ようにっていうか、まんまだけど。

 それに、この世界で生きていくのに利用できるものは何でも利用する、って大切な信念も忘れかけてたよ。


「ごめん、母さん。その厚意、利用……甘えさせてもらいます」

「うむ。その意地汚さ……ずうずうしさこそヒナコだ」


 いや、そっちは言い直してもさほど良くなってないから。母さんもだんだん私のことが分かってきたようで。

 母さんが下手な演技を再開して、ついグッと、やったのち、ようやく第二回戦が始まった。



イリナベラ【鎧魔竜】


取得技能


〈マナ戦闘〉レベル1 〈マナ感知〉レベル5


〈水の息〉 レベル6



 最初に、改めてイリナベラのスキルを確認だ。

 ところでもう、さん、付けはやめるね。ガルファドルさんはほら、私の初めての男(※)だから……。(※ 初めて屠って捕食した男)

 けどこの子、ずいぶん特殊なポイント振りしてない?

 〈マナ戦闘〉レベル1って……。

 間違いなく彼女が目指すのは、遠距離専用機。

 その巨体がありながらなんて贅沢な。

 でも、私達めちゃ相性悪くないかい? 私もコハルちゃんも嘴特化型突き専用機だよ。や、逆に接近さえすれば勝ちか?


 戦略を練っていると、黒竜がカパッと口を開いた。

 巨大な水の塊ができたかと思うと、一気に放出。

 息っていうよりハイドロキャノンだ。


 狙われたのはコハルちゃん。私は自然と体が動いていた。


「危ない! コハルちゃん!」


 しかし、よくできた妹はスッと攻撃進路から逃れる。

 結果、マヌケな姉は自分から当たりに行っただけに。


「あぶば――っ!」


 水圧で私は闘技場(巣)の壁に叩きつけられた。

 トコトコと歩いてきたコハルちゃんが、濡れ雑巾のような私を覗きこむ。


「ヒナコちゃん、大丈夫?」

「だ、大丈夫……。思ったほど痛くなかった。……変な声出たけど」


 実際、ダメージも大したことない。このもふもふの羽毛が衝撃を吸収してくれた感じだ。

 さらに、見た目は濡れ雑巾でも内部はほとんど水の侵入を許していない。素晴らしい撥水力。ブルブルッと体を振るわせると一瞬で元通りになった。


 これを見ていたイリナベラが再び大きく顎を。

 放たれたのは水ではなく、猛吹雪だった。


 きゃー! ブリザードー!

 水属性って氷も操れるのかー!

 ん? けどそんなに寒くもないな。コハルちゃんも平気そうだね。雪だるまみたくなってはいるものの。


「やっぱり私達の特性は羽毛ね。水属性には特に強いようだわ」

「だね。スキルにも〈羽毛強化〉ってあるし」


 じゃあ、相性悪いどころかめちゃいい相手じゃん。

 こんなの連れてくるなんて母さん……。


 視線を向けると巨大鳥は気まずそうに顔を背けた。


 激甘かっ!

 でもそれならそれでさっさと倒しちゃおう。やや?


 吹雪は止み、黒竜の頭の前には複数の氷塊が。見る見る細長く伸び、まるでつららのように鋭く尖った。

 そして、すごい速さでこちらへ飛来。


 も! もはや水でも息でもない! あんなのありか――!

 ……さすがに羽毛じゃ防げない。串刺し焼鳥コースだわ。


 次々に飛んでくる氷の刃を、私とコハルちゃんは駆けながら避ける。


「私達を近付けさせないつもりね。でも、ヒナコちゃんならいけるんじゃない?」

「……お姉ちゃんにナイフで機関銃に突撃しろと? けどまあ」


 いけなくもない、かな? 結構慣れてきたし。


 私は脚にマナを集中。ドラゴンに向けて速度を上げた。

 蛇行して走り、アイスミサイルをかわしつつ接近していく。


 それにしても、どんどん撃ってくるな。

 大竜が生命力特化だとすると、魔竜はマナ特化か? 弾数には余裕があるってわけね。

 ……イリナベラ、あんた、大した女だよ。

 一つのスキルをここまで使いこなすんだから。

 だけど、今回は私達の勝ちだ。


 竜の足元に辿りついた私。そのままサイドに回りこむ。

 がら空きの脇腹をロックオン。


「チェックメイトだよ! 〈雷穿突き〉――!」

これまでの話の中で、いいね人気が一番高かったのは前話の14話でした。

結構ダントツで。

……あ、あれ? 戦闘より上ですか?

閑話二行でしたが……。

とにもかくにも、有難うございます。

評価、ブックマーク、感想、そして、いいね、本当に感謝です。

明日からも頑張ります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 母鳥はツンデレ属性って中々な乙ですね
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