表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/31

11 初戦のお相手は、私達を丸呑みできそうなドラゴンです。

 広くなった巣の中でポツンと二羽。私とコハルちゃんはゴハンを待っていた。

 これより食するは、ただのゴハンではございません。鮮度抜群。何しろ、戦って倒さなきゃ食べられないんだから。

 なお、敗北した場合は私達がゴハンになりまする……。

 そう、ここは今から生死とお肉を懸けたコロシアムに!


 えっと、きちんと説明すると、私が母さんにリクエストしたゴハンは、世界樹近辺に棲息する捕食者だったの。生きたやつね。

 つまり、巣立ち後に遭遇するであろう敵で実戦訓練をしよう、ってわけだ。

 私がこれまでに倒したのは弟だけ。初めての食うか食われるかの戦いになる。緊張しないはずがない。

 けど、私は何とも言えない安心感に包まれていた。


「はぁ、マナってすごいね……。羽毛とセットで、守られてる感が半端ない。今ならトラックに轢かれても、割と平気な気がする……」

「ヒナコちゃん、寝ちゃダメよ。とりあえずレベルはこれくらいで、あとは相手を見てからね」


 私達はまず〈マナ戦闘〉に500P振りこんだ。

 このスキルはレベルを上げるほど、身に纏えるマナ量が増えていく。もちろんその分、体内のマナはどんどん消費するんだけど。

 マナは技能にも必要だから、これは結構痛い。でも、調節次第でかなりの節約もできそう。攻撃や防御の瞬間だけフルに、とかね。まぁ、大分慣れがいりそうではある。


 ともかく、〈マナ戦闘〉あるとないとじゃ大違いだわ。

 今ならどんな捕食者もどんと来ーいよ。

 あ、気付いた? 私がこういうことを言うと、大体ろくな目に遭わないのさ。


 上空からの影に、私は天を仰いだ。

 おかえり、母さん。さあて、記念すべき最初の獲物は……、え? え?



 実はリクエストには一つ条件を付けてあった。なるべく大きい奴、って。敵のサイズによっては闘技場を作り直してもらわなきゃならないからね。


 母さんはしっかり要望に応えてくれた。

 鉤爪で掴んでいるのは、体長三十メートルはありそうなトカゲ、じゃなく、あれはドラゴンだ。初めて見るけど間違いない。

 では、改めて発表します。

 初戦のお相手は、私達を丸呑みできそうなドラゴンです。

 いや勝てるか――!


「勝てるか――! こっちはもふもふだけが取り柄の雛鳥だ!」


 気付いたらもうほんとに叫んでた。


「勝てるんじゃない? ステータス見て、ヒナコちゃん」

「え? あんな怪物のステータス、見れるわけ……」


 コハルちゃんに言われ、私もまばたきでステータス確認。



ガルファドル【鎧大竜】


マナレベル    5


火霊レベル    2

風霊レベル    0

地霊レベル    0

雷霊レベル    2

水霊レベル    0


取得技能


〈マナ戦闘〉レベル4 〈マナ感知〉レベル1


〈雷の尻尾〉レベル2 〈火の突進〉レベル2

〈攻撃強化〉レベル1



 おや、見れたわ。

 ステータスが見れるかどうかの基準は生命力らしい。

 相手を大きく上回っていれば、取得技能まで全部見られる。

 同等、あるいは少し上回ってる程度なら総合レベルまで。技能は閲覧できないよ。つまり、相手の手の内が分からないまま戦うことになる。

 なお、コハルちゃんも一突き後にゴハンを食べたから、生命力は満タン。


 んー? このドラゴン、見た目ほど大したことないじゃない。

 技能レベルも低いし。

 一応、感知もしてみるけど。

 〈マナ戦闘〉がレベル4だから、当然、体に纏っているマナもさほど……。


 周囲のマナを感知する〈マナ感知〉は、対峙した敵の〈マナ戦闘〉が見れない時の貴重な情報源になる。

 相手のマナから自分との実力差を判断するわけだ。もし実力差が全く分からないなら、相当ヤバイ相手ってこと。母さんがそれだね。

 〈マナ感知〉は〈マナ戦闘〉の次に優先すべきスキル。

 なので、私とコハルちゃんもとりあえずレベル2にしてるよ。

 十日後までにはもっと上げておきたいところだ。


 で、ドラゴンのマナから受けた印象は、さほど、だった。

 それにガルファドルさん(ドラゴンの個体名ね)。

 あなた、ずいぶん疲弊してませんか? なんでそんなにボロボロなの?


 母さんはドラゴンを巣に降ろすと、そのまま脚で押さえつける。

 一方のガルファドルさんは、生きているのか怪しくなるくらいピクリとも動かない。あ、これ何か金縛り的なスキル使ってるな。

 この母さんならガルファドルさんを無傷で捕獲するのなんて容易いっしょ。


「母さん、私達がステータス見れるように削ってくれたんですね」

「な! そ! そんなわけないだろう! これはあれだ、そう、掴む時に、ついグッと! ついグッとやってしまっただけだ! 勘違いするな!」


 もう母さんったら。

 ……こんな異世界でツンデレを見るとは思わなかったよ。


 隣でコハルちゃんが準備運動するように体をぐいーっと伸ばした。


「じゃあヒナコちゃん、二人でやっつけよう」

「うーん、待って。私が先行するから、コハルちゃんはちょっと見てて」


 コハルちゃん、能力は上がったけど、まだ体は小さいんだよね。もふもふ羽毛の防御力も私の方が高いし。

 やっぱり姉として、まず私が行くべきでしょ。


 さてさて、私は勝てそうな相手にはめっぽう強いよ。(※ネトゲでは)

評価、ブックマーク、いいね、感想、本当に有難うございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ