時を超えイベント参加?~岐阜市イラスト展2022~
「うう……いきなりなんだったのよ! 無事っぽいし、大丈夫かな。ん? ここどこよ? 2022年って100年前にきちゃったの?」
私は水無月 莉乃、20歳、大学生。
講義の課題でだされた地域活性の歴史について図書館で調べていた時だ。電子書籍として保存された資料を検索していたら。見慣れない資料をみつけた。
(こんな資料ってあったっけ? 明らかに他と違うんだけど……)
不審に思いつつ、ファイルを開こうとしたら、画面が光りだし、頭の中に声が響いた。
「我が管理する書籍を読もうとする未熟者。今のお主が理解できる代物ではない。過去にさかのぼり自分の目で確かめるがいい」
謎の声が頭に響くと同時に画面が光り、気が付いたら大きな門のある公園の前にいる状況なのである。
「まずは進んでみよう。きっと事務所みたいなのあるよね……」
恐る恐る門をくぐり、進むと左手に『岐阜公園総合案内所』と書かれた建物が見えてきた。状況の整理と情報収集のため、中に入ってみると周辺のスポットや公園の案内図、各種イベント情報のチラシが置いてある。その中にある一枚のイラストが描かれたチラシに目が留まった。
「まず現在地の把握よね、それと周辺地図と……ん? 近くでイベントやってる? 綺麗なイラストだしもらっていこっと!」
案内所を出た私は地図を頼りに街中の方角へ歩き始めた。その時、盛大にお腹が鳴った。
「あ……お昼ご飯食べれてなかった。どこかお昼食べられるところないかな?」
地図を広げてお店を探していた時だった。通りかかった二人組の会話で気になることを話していたのだ。
「今年のイラスト展すごくよかったよね」
「うん、去年も良かったけど今年の雰囲気も良かったよね。期間限定のコラボメニューが今年もやってるみたいだし、行ってみない?」
そう楽しそうに話しながら二人が歩いて行った。
(コラボメニュー? せっかくだし、あの二人について行ってみよう)
そのまま二人を見失わないようにしばらく歩いていくと、あるお店の中へ入っていった。
(ここがさっき話してたお店なのかな? 名前は茶人さん? お腹すいたし、喫茶店みたいで雰囲気いい感じだな。思い切って入ってみよう)
古民家の改築したお店だった。恐る恐る入ってみるとゆっくりとした空気が流れている。そして、何より自分の趣向にドンピシャなのである。
「こんな雰囲気あこがれていたんだ!」
お店の中を見渡して感激しつつ、席についてメニューに目を通すとネーミングが面白い。『ちょっと憎(肉)らしい飛騨牛100%ロコモコ丼』 『モ~やわらか飛騨牛スジカレー』こんな感じで面白いメニューが並んでいた。
「じゃあ、『モ~やわらか飛騨牛スジカレー』 と、コラボメニューがあるって聞いたのですが?」
「コラボメニューはこちらのチーズシフォンケーキですよ」
「そのケーキもお願いします!」
しばらくすると頼んだメニューが運ばれてきた。
「めちゃめちゃおいしそうなんですけど!!」
気が付くと無我夢中で食べきっていた。カレーもチーズシフォンケーキも絶品で、すごく美味しかった! もう少し味わえば良かったと後悔しつつ…… コラボ特典のイラストカードを貰えた。
「これすごく可愛い! こんなイラスト描けるもんなの?」
お腹もいっぱいになり、お店を出ようとした時に一冊の本に目が留まった。それはイラストの画集であった。パラパラとめくるうちに一枚のイラストに目が留まった。
「え? これってこのお店の絵じゃない?」
お店の人に許可をもらい、画集を持ってお店の外へ出た。過去の風景写真を見ることはよくある。だけど、イラストという形で見比べてみると写真だけでは入り込めなかった込められた想いが頭の中に流れ込んでくる。このイラストを描かれたイラストレーターさんはどんな思いでこの景色を描いたのだろうか。
(写真だけでこんな景色があったんだなと感じることはあったけど、イラストとリンクしたら一気に世界が変わった。この場所しか見ていないけど、会場で作品に触れたらどんな世界が広がるんだろう?)
お店の方に会場への道順を聞くと、ここから歩いて10分ほどらしい。
「他にもいろんな岐阜市の各所を描いたイラストが展示されているそうですから、楽しんできてくださいね」
「ありがとうございます!」
お店を出た私はすごくワクワクした気持ちで歩き出した。お昼ご飯を食べたばかりなのに自分の足取りが軽くなるのがわかる。早くいろんな場所の色んな作品を見てみたい。できるなら作品の場所に足を運んでみたい。この時代に飛ばされてどうやって帰るのか、無事戻れるのかといった不安はいつの間にかどこかへ消えていた。
「ここが会場なんだ」
会場は普通の住宅のように見える。すでに先客がいるようで賑やかな雰囲気が漂っている。
会場に足を踏み入れようとした時、あの声が頭の中に響く。
「我は、いつもそなたを見ている。主が何かを感じ取り、発見した時、さらなる扉が開かれるだろう」
辺りを見回すが誰もいない。
あの声の主は一体誰なのか……
今はそんなことはどうでもいい。これから出会うことができる素敵な作品の数々が楽しみだ。そんな気持ちを抑えながら私は会場の中に入る。
「ようこそ、岐阜市イラスト展へ。ゆっくり見ていってくださいね」
お読みいただきありがとうございます。
こちらの小説は本日より開催される『岐阜市イラスト展2022』応援小説になります。
岐阜ではイラストレーターさんが中心となり、イラストで地域を盛り上げようというイベントが多数開催されています。
なかなか岐阜までいけない、行きたいけど時間がとれない……そんな方々にも会場の雰囲気などと知ってほしい、楽しんでほしい!そんな想いを込めて書き上げました。
もし、この小説を読んでイラストにご興味を持っていただけたら幸いです。
会場の様子はTwitterで随時更新されております。
この場をお借りして主催者の由愛乃ナカさん(@mihoni1027)始め、参加イラストレーター様の少しでもお力添えになればと思います。
各イラストレーター様のTwitterも要チェック!
検索は『 #岐阜市イラスト展2022』
参加イラストレーター様(順不同)
•由愛乃ナカ
•如月れいな
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