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赤の書  作者: AIR
3/27

お食事会

王様たちはすでに着替えを済ませてお庭で待っているのかしら?


 私たちのほうが先かな? 

 アーネちゃんが先にいたら、なんて挨拶しよ。


 なんて着くと、すでに、アーネちゃん達はいた。


 アーネは私の姿を見て飛びつきて来た。

  

 それから私たちとアーネちゃんの家族と再会を果たし、語り合った。


 「そうだ、あそこの広い所に行こ! 」

 アーネちゃんは私にそう言って、お母様たちと庭の広い原っぱが広がる場所へ移動した。



 いつものようにお庭で遊んでいると、


 お父様は王様とお話ししている、

 とても楽しそうに笑いながら。


 お母様たちも最初は横で話していだけれど、やっぱり女性は女性同士でつもり話もあるのね。


 お庭の中に大きな噴水があって、そこから流れる水が、小さな川のように隔ててる場所がある。

 その奥に白い鉄のような金具で囲われていて、その金物を隠すように青い薔薇が巻き付いてる。

 その薔薇の撒きついた中に大きな白のテーブルと椅子が置いてあるの。

 とても綺麗で素敵な場所。

 お母様たちは、そこでアーネちゃんのお母様と楽しそうに話しているわ。


 高い笑い声が響いてくる。



 私はというとアーネちゃんと勿論庭を駆け回っているわ。


 アーネちゃんたら、お妃様と手を繋いで歩いてきたのに、広い場所に着くなり走って抱きついてくるんだもの。


 可愛くて抱きつきかえしたわ。


 アーネに渡すつもりの冠を手に握りしめていたから、その後それを渡した。


私は家の近くでとれる花を編んで作った冠をアーネはいつも喜んでくれた。だからこの日のために、いい花を探しに行って一生懸命編んだの。

うん。結構苦労したわ。


 花の冠を初めて上げた時だったわ。


 お父様たちの影響もあって、何処かに行くときは何かを持っていってあげると良いのだと、見ながら学んだ私は、大切なアーネちゃんに何かをあげるのが良いんじゃないかと思って作ったのが、花の冠の始まりだった。


 最初のは寄せ集めの花だったのだけれど、会うたびに渡していると、だんだん拘り出すようになってしまった。

 最初のと比べると今のは格段に出来の良い物と、美しい花たちを編むようになったわ。

 もちろん最初の方は近くにあった雑草などから、綺麗と思える花を探して、私ながらに頑張って作った方なのよ。

 言っても、今と比べるとできばえは確かに映えてはなかったかも知れないけど。


 それでも、最初の冠にとても大喜びしてくれたのは今でも忘れていない。

 まさかあんなに喜んで貰えるなんて思っても見なかったから。私も凄く嬉しかったの。



 ただ、その後泣きじゃくりながら書いたのであろう、一通の手紙が私の元に届いたの。ビックリしたわ。


 手紙はあまり書き慣れてはいないアーネからの執筆で、文字が所々滲んでたの。

 

 内容はと言うと、




 以前は遊んでくれてありがとうございました。

 とても楽しい一時だったよ。

 素敵なプレゼントもありがとう。

 でも、ターニャちゃんにとても謝らないといけない事があって、この手紙を書きました。

 ごめんなさい。

 せっかくもらった大切なプレゼントを枯らしてしまったみたいなの。

 もう被れない形に変わって来ちゃって、お花さんたちも元気が無いの。

 お母様たちはそうなるものだからと言っていたのだけれど、私が何かしたのかもしれません。

 本当にごめんなさい。 大事にできなくて、でも、嫌われるのは嫌でお手紙を書きました。

 良かったらまた、遊んでほしいです。

 追伸。いつでも待っています。また来てください。本当にごめんなさい。



 何て内容だったかしら。

 これを貰って私は直ぐ様筆を執ったわ。

 こんなの見てほっとけるわけがなかったから。



 私はあの冠は花を摘み取って編んだものだからいずれ枯れるもの。アーネのせいでは無いこと。そして私もまたアーネちゃんと会いたいし、また、冠を作って持って行くことを、赤裸 々に綴って送ったの。


 その夜はアーネちゃんの気持ちを早く落ち着かせてあげたくて、早急にこの手紙を届けてほしいとお父様たちを困らせていた事も覚えてる。

 思い返すと笑えるわね。



 それからだった。

 私が花の冠を、作って持っていくようになったのは。


 本当にアーネは可愛くて優しい子。私にはとても大切な存在だった。

 まるで本当に家族のように。



 花の冠を渡したらアーネはお礼を言おうと私に抱きついてくるし。


 だから私はそれを交わすように避けるから追いかけっこが始まる。

 これも日常のことになっている。

 

 そして今もこの状況だ。


 十分走り回った後、私は疲れちゃって、もういいやって、アーネに捕まっている。


 アーネったらほんと小さくてか弱そうなのに、私を捕まえるとなったら疲れを見せない。

 すごい勢いでおもいっきり飛び込んでくる。


 その勢いで私たちは地面に吹っ飛ぶように転がる。

 まぁ、アーネの家の庭は草が敷いてあるからクッションにはなっているけど、正直痛いわ。


 思い返して見たら、今まで一度も向こうから諦められたことも逃げ切ったこともないのよね。

 私は半分飽きもきて諦めるんだけど。


 この子、本当に疲れないのかしら?

 もしかしたら、何か超人的な力を持っているのかもしれないわ。


 そんなことを思ったりもしながら、私たちは横たわりながら笑い更けた。



 ふと、横を見るとお母様たちと青い薔薇の庭園が目に映る。


 遠目からでも目を引くような場所だった。



 「ねぇねぇ、ターニャちゃん

 あそこいこー」



 そう言ってアーネちゃんが指差した先は私が見ていた薔薇の庭園の方だった。



「うん。」


私たちは起き上がってお母様の方へ走っていった。









 「ねえー、お母様」


 そういってお母様の腕の裾を軽く持つ。


 「あら、どうしたの? 貴女たち。」


 「運動は飽きちゃったのかしら? 」


 アーネちゃんのお母様が、微笑みながら語りかける。



 私は辺りに咲く薔薇を見ていた。


 青色の薔薇は珍しく、何処か普通ではない、特殊さを感じていたから。


 薔薇は赤色だと教えられたし、赤いバラはよく見るのに、ここに咲いているのは青い薔薇で、そこら辺では見たことがない。


「とても綺麗な薔薇でしょ。」


 アーネちゃんのお母様が言う。


「多分あまり見たことないでしょ。 本当に不思議な薔薇よね」


 アーネちゃんのお家には勿論普通の薔薇も植えてある。


 しかしここ一面に咲かせているのは青い薔薇だけみたい。


 そして、濃く色づく青は、とても私の目を引いた。


「ターニャちゃんはこの薔薇がお好き?」


「えぇ、――――。 そうですね。

ですが、赤い薔薇も私は好きです。」


 好きとかではなく、単純にただその珍しさと、美しさに目を奪われていただけなのだけれど。


「ねぇ、お妃様。この薔薇はずっとここにあったのですか?」


「えぇ、そうよ。私たちが生まれる前からここにあったみたいなの。」


「そうなのですね。」


「この薔薇素敵よね。

ここの薔薇にはね、古いお話があるの。」


そういってアーネちゃんのお母様も薔薇を見つめられた。


「それは、どんなお話なのですか? 」



「ん? そうね。 ちょっと長くなるのだけれど、


 王国貴族の間では薔薇と言うのはとても大切にされてきたの。

 それは今も同じね。

 象徴にするところでさえあるぐらい。


 ある時薔薇の中でも一本だけとても黒く咲く薔薇を見つけたらしいの。」


 ほんとの話なのか、お伽の話なのか、黒い薔薇が咲くなどとは、この国では考えられない話だわ。


「庭師はその薔薇を見つけて病気にかかったか、腐ってると思ったらしいの。」


 確かにそうだ。黒い薔薇をもし見たのなら、私だったら燃やされた後を、想像するわ。


「だから、明日朝早くに刈り取ろうとしたの。


 庭師が朝早くに行ってみるとその薔薇は黒ではなく紫色に咲いていたらしいの。

日が沈みかけてたから見間違えたのね。


 庭師はその薔薇を不思議に思ったわ。

 これは薔薇なのかってね。

 庭師は懸命にその薔薇を育ててみることにしたらいしの。


 そうすると紫色の中に赤く色ずく花びらが、何枚かできてはすぐ落ちたらしいの。


 下には赤くなろうとした花びらが、沢山落ちていた。


 もしかしたら必死で赤くなろうと薔薇たちは頑張っていたのかもしれないわね。」



「青い薔薇の話なのに、紫の色の薔薇なの?」


 私は全く青色が関係無いことに野次をいれていた。

 でも、もし皆と同じになろうと頑張って、なれなかったのだとしたら、その薔薇がとても私には可哀想に思えた。



「そうね、この薔薇が青くなるのにはまだ続きがあるの。


 しばらくしてその噂は広まりいつしか、その近場で疫病が流行りだしたわ。


 そしたら一人の聖者がやって来て、その原因はその薔薇です。


 そう言って紫の薔薇を指したの。


 皆その薔薇の見た目を見てこの薔薇が原因だと決めつけたわ。


 その聖者は危険なものだからとその薔薇を持っていってしまったの。」


「その薔薇は疫病を巻いていたの?」


「いいえ、違うわ。

 その薔薇はただ咲いていただけよ。


 その珍しさに聖者が自分のものにしたくて、口実に悪く言っただけなの。」



「そんな酷い。 」



「当然可愛がっていた庭師は悲しんだわ。

 勿論疫病も解消されなかった。」



「アーネー、食事ができたよ。

 皆さんもこちらにきて食べましょう。」



 アーネのお父さんの声だ。


 私たちは呼ばれ、話は止まった。





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