第41話 支払い
目の前にいたのはさっきの兵隊。 私はもう一人の兵隊に取り押さえらえていた。
「お頭!!」
スキンヘッドの男がまた子供連れて、私たちの前に投げ捨てた。
「ミレイちゃん!! ルミネちゃん!!」
彼女たちも捕まっていた。 あの男によって。 それに、ルミネちゃんは弱っているのに、なんてことするの!!
「それで全部か?」
「へぃ! 多分そうです。 裏から逃げたのが、2人、こっちで3人です」
「お頭、こいつどうします。 見るからに、死にかけてますけど。 体も弱そうだ 」
「あぁ、そいつはほっておけ。 縛らなくたって逃げないだろう」
そういって彼は笑っていた。
「どうしてこんなことするの? 私たちはあなた達に何もしていない」
いつもの私の悪い癖だ。 だけど本当に何もしていないのだから、疑問に思うのは当然だわ。 それで言っちゃうのが私だけど。 後、あの男はやっぱり許せない。
「あぁ? てめぇ。 お頭になめた口きいてるんじゃねぇ
そこからの暴行は酷かったが、見かねたキミーがとびだしてきて、止めてくれた。
「もうやめて。 これ以上ティターナちゃんを殴ったら許さない」
キミーちゃんは前にも私の前に立ってかばってくれた。 あの時も集団に囲まれた時だったが、それでも私を守ると言って体を張ってくれたのだ。 彼女に聞くと、命を救ってくれたことに恩義を感じているから、何が何でも、今度は私が守るんだと言っていた。
兵士の睨みにも決して屈しなかった。
私たちは何とか隙を見て逃げようと暗黙の合図を送っていた。
「おめぇらやめとけ。 大事な商品だぞ。 傷ついたらどうするんだ。 とりあえず縛っておけ」
男たちはおとなしくなった、 と同時に、手荒に私たちを縛りだした。 みんな痛いと叫んでいたが、その声は届いていない。
無理やり、地面に押さえつけられ、砂傷をつけながら、腕が、足が、強く縛られていく。
「やめて。 どうしてこんなことするの? みんな痛がってる。 やめてよ」
私は必死に訴えかけた。
「ぎゃーぎゃうるせぇな。 おめーらはもともと奴隷だろ。 性分をわきまえろ」
「ルクス!」
「はっ!」
「そこの止めに入ったやつは奴隷商人に売り飛ばす、 後そこで笑ってる異様な奴は、殺したいところだが、とりあえず、奴隷商にかけろ。出品していたら買手がつくかもしれん。 そこの赤い俺に、がん飛ばしてる女は、俺らの元まで連れてこい。 肉体労働させてこき使ってやる。 そこの死にかけ
はそうだな。 磨けば宝石かもな。 さっき暴れてた、じゃじゃ馬の女は生贄だ
何を勝手に決めているの。 私は奴隷なんかじゃない。 それにミレイちゃんを生贄にするですって。 絶対させない。
「私の友達に酷いことしたら、今度は許さない。 もう、だれも失わせないんだから!!」
「なんだ。 お前偉そうに。 お仕置きしてほしいのか、……って、。お前。もしかして。 あんときの……」
男は突然笑い出すと。森が震えた。
「なんだ。てめぇ。まだ生きてたのか。 しぶとい野郎だな。 なんだ。 ほんとに。 おめぇ奴隷やってたのか。 てっきり俺はあの城でよ。
そうか。それは、面白れぇ」
きっと思い出したんだわ。 私の事。 あんな嘲笑った笑いを浮辺て、 私の両親を殺しておいて。 許せない、
「だから、何よ。 さっさとこの縄をほどきなさいよ。 あなたたちは最低よ。 人をたくさん殺して、 たくさんの人から奪って、こんな制度を楽しんで。 あなた達こそ、同じ苦しみに合うべきだわ。 自分たちの私欲しか考えてない。 その為に他人を犠牲にして。 よく平気でいられるわ」
男は急に何かのスイッチが入ったように、反応する。 でも顔はさっきの余韻が残ったままだ。
「は。 俺らが最低だと。 だから、なんだ? 俺たちは生きていくためにやってる。 この世は弱肉強食だ。 それぐらい当たり前だろ。 俺たちが悪いんじゃない。 そういう世界に生きてるんだよ。 俺たちおめぇらはよ。 てめぇ、もうちょっと、大人かと思ってたけど、。見た目と一緒で、青いガキか。 がっかりだよ」
「訳の分からない事言って。 私はまだ子供よ」
「ふん。 じゃあここで会ったのも何かの縁だから。 俺とお前のよしみだ……」
「うるさいわね。 あなたになんの恩もないわよ」
「まぁ、聞けや。 ほんとに容赦ねぇガキだな とにかくガキくせぇ考え早く捨てるこったな。 てめぇさっき俺らが最低だって言ったが。 てめぇだって俺らと変わりゃしねぇんだぜ。
おめぇが悪いとかじゃなく、 この世界に生きている以上、みんな同類さ。 そこは逃れようもねぇ」
「何訳の分からない事言っているの。 私たちは、あなた達に酷い目に合わされて、みんな色々奪われて、あんたたちみたいに人を苦しめて楽しんでなんかいないわ!!」
男は大笑いした。
「威勢が本当にいいなお前は。 俺らの姿見たらみんなビビッて、だんまりになるか柔らかくなるっていうのによ。 おめぇはガキのくせに面白れぇ。それにしぶとくてよ。 必死に生きてんだな。
何自分だけ正当化してやがんだ。 なら。お前が今こうして生きていられるのはどうしてだ!? 誰から奪った食いモンで生きている? 」
男のトーンは変わっていた。
私は息をのんだ、 確かに、私は嫌とは思っても、人から、食べ物を盗んだ。 服も盗んだものを着ている。 もとは、これは本来着るはずだった
誰かの物。 でも誰かを困らせるつもりなんてない。 ただ、生きるの必要だったから、少しならみんなが苦しまないくらいなら、少しぐらい分けてもらったって、じゃないと。
「確かに、……ぬ、盗んで暮らしたわ。 ……だけど、そうしないと、あのままじゃ皆死んじゃう」
「だから一緒だよ。 死んじまうから、誰かからもらうしかねぇんだよ。 手に入れるしかねぇ。だからてめぇらも手に入れてきたんだろ。 やってることはみんな一緒だよ。 俺たちだって生きるためにやってる。
弱いものが食われ、強いものの糧になるようにできてんだよ。 そうしなきゃ繁栄しねぇ。 覚えて桶。 この世は理不尽だ」
「だから、なんだっていうのよ。 …… 私たちは弱者だから、生きるのをあきらめろと言うの。 やりたい放題、やられろと言うの……
そんなのおかしいわ。 納得いかない」
「あぁ、だからてめぇの好きなように生きりゃいいのさ。 そういう世界さ。 奪い奪われ、そうやって生きていくんだよ。 生きてりゃいつか逆転する日も来るかもな」
「私は弱者でも、強者のあなた達には従わないわ」
周りが氷ついたのが分かった。 でも。私は続けた。
「別に私はどうなってもいい。 だけど、みんなだけは許して」
「それはできない相談だ。 てめぇらは罪人だ。 奴隷の分際で人様の物を盗み、 どこかから逃げ出したか、主でも殺してきたか。 てめぇらには、奴隷としてしっかり叩きなおさねぇといけねぇ」
「彼女たちは関係ないわ! みんな普通の子よ。 普通の暮らしをさせてあげて。 それだけでいいの。 私が、 私がその罰を受けるから。 彼女たちだけは逃がしてあげて。 ルミネちゃんだけは、命を助けてあげて。 私が何でもするから」
そう思っていたのは私だけではないみたいで、それに続いて、みんなも私がなるから、ほかの人を逃がしてと言って聞かなかった。
そして黙れと一言、スキンへットの彼が声を荒げると、その振動で、みな喋るのをやめていた。
「何度も同じことを言わせるな。 てめぇらのこれからはさっき決めた通りだ! と言いたいところだが、 おめぇと会ったのも何かの縁だ。 逃がしてやるよ」
え? どういう事? 私たちは予想外の言葉が飛んできて、思考が止まったようだった。
「おい、縄を解いてやれ」
「え? 本気ですか!? 冗談ですよね」
「早く解けって言ってんだろ! 何度も言わすな!」
私たちの縄はするすると解かれていった。 まだ信じられない。
「勘違いするなよ。 精々生き延びてみろ、この理不尽な世界で。 俺らに捕まるより、後悔が多いだろう、この柵を進んでみろや。 てめえの、しぶとささで。 どこまで生きれるのか見てみたくなった。 だけど、今度また会う時があったら、その時はもうこんなことはねぇぞ。 覚悟しとくんだな
てめぇに伝えられる事は教えてやった。 さて、そこの虫けらどもは果たして、何人生きていられるだろうな
見せてくれや、手めぇらの生を」
私たちは、あっけなすぎて、逃げていいのかもわからなくなった。
「ほら、さっさと行けや。 捕まえて売り飛ばすぞ」
私たちはルミネちゃんとシャアちゃんを抱えて、走って逃げた。
「ボス!! いいんすか!! 」
「あぁ、今日は気分が良い。 こんなに面白れぇ事があるか」
そんな会話が、聞こえてきたような気がした。
でも。これで助かった。 私たちはその喜びでいっぱいだった。 兵隊たちに殴られた体で私たちは走ったものだからしばらくして、休憩することにした。 ここまでくれば大丈夫かなと、みんなで話して、地面に大の字で寝転がった。 これほど安心できた事があっただろうか。
緊張の糸がほどけた間隔は何ともいえない。 これからどうしようか。 そんな話をした。 みんなで協力して、働いて、みんなで素敵な家に住もうと楽しい夢を話し合った。
「みんな、ありがとう」
消えそうなか細い声が、聞こえた。 ルミネちゃんがしゃべったのだ。 私たちは大喜びした時、一台の馬車が走ってきていた。 急いでどかないと惹かれちゃう、 だけど、体が痛くてみんなしばらく寝たままだった。
馬車はご丁寧に私たちの前で止まってくれた。 私たちは立ち上がって、歩き出したが、 男たちが三人おりてきて、私たちは、捕まった。
叫んだことで人が出てきてはくれたが、私たちの姿を見るなり、みんな家へと引っ込んだ。 わたしたちは抵抗したが、男の人には叶わない。
それでもみんな腕を噛み、私たちは、必死に逃げて、走った先は行き止まり。 壁に囲われた一帯で身を寄せ合った。
男たちはナイフを持っており、無駄に動けない。 それでもキミーちゃんは私たちの前に大の字で立、断固として、通さないと威嚇した。
キミーちゃんはポケットに入っていた、桑を巻き男たちの目を眩ませた。
「うわぁ、。目が痛てぇ」
「今よ! 早く! 」
私たちはまた走る。 だけど背負っていた。 二人の男が追って来た。 背負っていたルミネちゃんの足が捕まり。 私はこけた。
「ティターナ!!」
ミレイちゃんは振り返ったが、
「行ってぇ!! シェアちゃんを連れて早く」
ミレイちゃんはシャアちゃんを引っ張ってい走って行ってくれた。当然男の一人はミレイちゃん達を追いかけて行った。
「ぜってぇ、話さねぇぞ、このガキどもが!」
私は何とか逃げようともがくが、力が強い。
「おじさん!!」
その呼び声に反応した男がまた目を痛めていた。
「うわぁぁぁ」
「キミーちゃん!!」
「行って!! 私が、ルミネちゃんを背負うから。 ティターナちゃん早く!!」
私たちははいでシェア達を追おうとしたが。 男がしつこく、後から来た男も合流して、ルミネと、キミーが捕まってしまった。
「早くいって!! ティターナちゃん」
今みんな捕まってしまったら、助けることもできなくなる。 今行くのは嫌だったけど、必ずみんなが助かる事を選択して、ミレイちゃん達を追った。
探すのは簡単だ。 私たちにしかわからない、盗みの時の隠れ家がこの辺りにはある。 必ずそのどこかに隠れいているはず。 後は、もう一人の男と鉢合わせしないように、しらみつぶしに探して、合流するだけ。
いくつも探し回って、見つけた一つにミレイちゃんとシェアちゃんが隠れていた。 開けた瞬間、ミレイちゃんは驚いていたものの、私と分かって、思いっきり抱き着いてきた。 痛いわ。
「どうする? ティターナ。 キミーたちは!? 」
私は首を横に振った。
「とにかく、もうこの国から出ましょう。 ここではもう無理よ」
ミレイもそれは感じていたらしく、固いまなざしだった。
「まずは隠れるのに、またエリアを変えましょう。 それから、二人を助けないといけないから、それからよね」
「でもどうやって?」
「きっと馬車が走るはず。 多分ルミネちゃんやキミーちゃんはそこに囚われてるはずだから馬車が止まった場所まで戻る
後は私が一人づつ。 おびき寄せるわ。 多分、二人は隠れ場所を使って、撒けると思うから、 きっと一人は馬車に残るはず、 もう一度戻って、馬車の男を引き付けるから、その間に、馬車から、二人を助け出して! 」
「わかった! シェアはどうする。 ここに置いていくのがいいか」
「駄目よ。 ここはまずい。 シャアちゃんの精神状態だと、何をしでかすか。 私が、逃げないルートの隠れ場所。 扉の固い場所があったでしょ? あそこに隠しましょう! あそこなら、安全なはず」
「わかった」
作戦が決まったら、すぐさま私たちは今いる場所を飛び出そうとした、時、 馬車が止まった。 あんまりの事に心臓の音が増大する。
「おい、この辺に逃げたはずじゃないのか!? 」
「多分この変だと思いますよ、シェコブフさん」
「バルサム!! 馬車に乗ってろ。 トット! この辺走り回って探すぞ!!」
一人の青年が目の前を走っていった。 もう一人の男が叫ぶ。
「おいこら!! 出てきやがれ! 出てこないと、ルミネとかいう死にかけの金髪をマジで殺すぞ」
男は物騒な言葉を巻き散らす。 しばらくして、その馬車も目の前を通り過ぎていくのを、隙間から除く。 今しかない!!
私たちは急いでシェアちゃんを目的の場所まで隠す為に走った。 男たちの声がまた聞こえる。 近くにいる。 隠れないと。 この辺の近くの隠れ場所はっと。 慣れたように、隠れる。 この調子なら何とかなりそう。 そうおもったのもうつかの間、男たちはずっとルミネちゃんを殺すと言っていた。
それがトリガーとなったのか、ずっと静かだったシャアちゃんがまた笑いだしたのだ。
「おい!! やめろ! なんで今笑うんだよ! みつかっちゃうだろ! 黙れ」
ミレイちゃんはシェアの口を強く抑えた。
「ミレイちゃん待って!! 窒息しちゃう」
「だってこいつ。 こんな時に。 絶対わざとやってるんだ。 こんなやつここに置いて早く逃げよ」
「駄目よ。 捕まったら、余計助け出すのが大変になる」
「こいつは捕まっても助けなくていいんだよ」
わたしは 強い目で見つめ、首を横に振った。 納得はしていない。 だけど、ミレイはそれ以上言わなくなった。
「ここを出ましょう。! 急いで」
私たちは笑うシェアちゃんを連れて目的の場所まで走った。まるで鳴りっぱなしのサイレンのように。 彼女はずっと笑っていた。
「お願いだから黙ってくれ」
そんなミレイちゃんの願いも届かず私たちは見つかってしまった。 せかっく縄から解放されたのに、また縄で縛られる。
彼との出来事が思い返される。
やっと捕まえたぜ。手間取らせやがって。 ルミネちゃんと、キミーちゃんが私たちの前に投げ捨てられた。
「うるせぇぞこのガキ!」
笑っていたシェアちゃんは暴行を受けていたが、笑いを止める事はなかった。
ルミネちゃんと、キミーちゃんの変わり果てた姿に唖然とする。
「あなた達、なんて事を…… 死んじゃったらどうするの!!」
ルミネちゃんも痣が増えており、ぐったりとしてたい。 折角回復しかかってきていたというのに。 それより酷いのがキミーちゃんだった。 もう顔の形が変わってしまっているぐらい、顔が崩れている。 痣なんてものじゃない、 目も半開きだった。
「キミーちゃん! キミーちゃん」
酷い、酷すぎるよ。 何なの……。 どうして、私たちが、この世界になにか私たちが迷惑をかけたの? どうしてこんなにいいひとばかりが、辛い目にあっているの? この世界は何??
「てめぇらが悪いんだぞ。 俺らに逆らうからだ。 でめぇらはこれから移動だ。 逃げたらわかってんだろうな。 そこの二人みたいになるぞ」
私はまた彼らの言動に怒りして彼らを見つめた。 絶対に、みんなで逃げてやる。絶対、みんなで幸せに暮らしてやるんだ。 そう、強く心に思った。
だから、この馬車に乗せられたとしても、必ず逃げ出す。 みんなが一緒なら、私たちはなんだってできる。
「よぅし、こいつらを積め」
若い男の人が、縛られた私たちを持ち上げようと近づいいてくる。
「あなたはこんなことをして、心が痛まないの。 キミーちゃんをあんなにいたぶって。 それが楽しいの」
「おれは、…… 別に。 ただ、やらなきゃいけないから、やってるだけだ。 俺だってお前らと同じ経験があるんだ。 だけど、お前らと同じような道には戻れない。 だからやってるだけだ。 あんたらに、同乗していたら、やってらんないからさ」
そういって彼は私たちを軽々と持ち上げた。
「おいおい、ちょっと待て、積む前に、そこに下せ」
そういっておじさんは私たちをルミネちゃん達のところに固める。
「馬車に乗って、逃げようとか、騒ごうとか考えるなよ。 余計な事とかしたら、マジ、終わりだからな。 こんな風に」
そういって、おじさんは手に持ったナイフで、キミーちゃんの上に乗ると、髪をつかみ上げ、喉元を切り裂いた。 私たちの目の前で。 私たちに見せつけるために。
「キミーちゃ――――ん!!」
キミーちゃんの周りには血の池ができていた、 必死に呼吸ををしようと苦しむキミーちゃん縄で縛らても、その苦しさから、体がもがいている。 やがてぴくぴくぴくとしだす。 ご主人様≪かれ≫の時同じだ。
「よし、積みこめ」
「キミーちゃん!! キミーちゃん!! キミーちゃん!!」
私は何度もキミーちゃんの名前を呼んだ。 返事はない。 みんなは次々に詰め込まれていった。 シェアちゃんは二人の光景を見てから目の色が消えていた。 その時から笑いも何もしていない。
「お願い キミーちゃんを助けて。 このままじゃ死んじゃう。 早く、早く、首の血を止めないと」
「何言ってやがる、そいつは死んでんだよ。もう手遅れだ」
「待って。嫌よ!! やめて!! おろして」
私もおじさんに捕まれ投げ入れられた。
「よしこれで全部だ! 馬車を出せ こりゃたんまり大金が入るぜ! これで何とか首が助かる」
「待って?!! ルミネちゃんは? ルミネちゃんがまだほったらかしで残ってる。 ルミネちゃんが乗ってないわ 」
馬車は走り出した。 勢いよく。 二人の姿はみるみる小さくなっていく。
「待って、お願い待って! 二人を助けて。 お願い……お願いだから、二人を……置いてかないで、」
血の池ができた少女とぐったりとした少女を置いて馬車は目的地を目指した。
馬車の中ではみんな虚ろな目をして座っていた。 希望も何も、ない。 静かな荷台。
「いいんすか? 2人も捨ててきて」
「ありゃゴミだよ、ごみ。 使える状態じゃなきゃ。 お前も知ってんだろ」
私はただずっと、同じ言葉をぶつぶつと言っていた。『お願い、止まって』と。 何度も何度も、何度も。馬車はどこかにしばらく止まったが、もうなにも覚えてない。 誰かに品定めされていたのか、確認されていたのか、そしてまた馬車はそのまましばらくずっと走り続けた。
何日立ったのかももうわからない。
たまに、意識があって、シェアちゃんの方を見ると、シェアちゃんは何かをずっとぶつぶつとつぶやいていた。 なんだ。そっか。シェアちゃんもずっと今の私と同じだったんだ。
私はまたぶつ物とつぶやくと、いつの間にか大きなお城に連れていかれていた。 そのお城はとても大きくて、黒くて、そして、不気味な場所だった。




