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赤の書  作者: AIR
24/27

逃走計画 直面 表

 シェアが私の異変に気付いたのは早かった。それから家の中はまたギクシャクがやってきた。 シェアの怒りは二人にも好ましくない様で、私たちにも亀裂ができたような気がした。 


 というのも、あれ以来当番が、ほとんど私が呼ばれる事が多くなって、それから、シェアも表情が曇っていた。 私からすれば当番は酷く嫌だったが、チャンスでもあった。 それにみんなも嫌そうにしていた当番が私になっていかなくて済むのだから、良い事だと思うのに。 だから、どうしてシェアが機嫌を損ねているのかわからなかった。 



 そんなある日、シェアが当番の日だった。 彼女はメイド服など着せられることなく、奴隷衣装でどこかへと連れていかれた。それからはシェアちゃんが当番の日はそればかりを目にした。

 それから数日、レニは私に見せたいものがあると言ってきた。 手にはあの日のずたずたの人形を持って。


 ここ最近レニに対する、シェアの態度がひどいのは目についていた。 二人に何があったのかは知らないが、シェアはおとなしいレニをいじめるように、強く当たっていたように見える。  彼女の食事だけ自分で準備しろっといった態度や、レニには笑顔を見せず、話にもいかないそぶりだった。 



 最初はレニに何かしたのかと聞いたが、レニには心当たりがないと、嫌われたんじゃないかと泣いていた。 

 シェアにも聞いてみたが、彼女はふてくされているのか、何か気に入らないことがあるのか、何も話してはくれなかった。 何もない。いつも通り普通というだけだった。  それから話は続かない。

 大体が、レニが泣いて部屋に入ってきては、事情を聴くような日々が多くなった。 特にびっくりしたのはいつもレニが大事に持っていた人形がずたずたの状態で泣いて現れた日だ。 どうもシェアにやられたらしい。 話を聞いているとどうもシェアはレニが一人の時を狙って、行動を起こしているみたい。 


 レニからも、昔からシェアは怖い節を感じており、その疑いの目が、シェアに伝わったのかもしれないと言っていた。


 それから三人で話すようになり、レニとミレイがいるところでお皿の話を聞いてみた。 


「あぁ、そのお皿なら、予備もあるけど、一つは……」


 寂しそうにレニは何かを思い出していた。 また言いたくない事だろうか? 沈黙が続くと、気を察してか、ミレイが答えてくれた。 


「実はね、ティターナがくるちょっと前まで、私たち4人でご主人様と過ごしていたの。 だけど、急にルミネがいなくなって。 とってもかわいくて素敵な子だったんだけど。 どうなったのか」



 ミレイも気落ちしていた。 相当仲が良かったのだろう。 レニが口を開く。 


「実はそれが、シェアとルミネが口喧嘩をしてからなの。 それから、ルミネはいなくなってしまったの でもね、忘れもしない」


「私たちは聞いているの……」


 二人は顔を見合わせていた。 


「いったい何を聞いたの?」


 レニが口を開く。


「大きな悲鳴に起きた、私とミレイが目を覚ますと、助けてっていうルミネの声を……」


 それから、ミレイが言う。


「私はそう思いたくなかった。 だから、何かの偶然だろうと思ってはいるんだ」


 ミレイは何を言いたいのだろう。私にはその言葉からはわからなかった。 だからレニがつけ足してくれた。


「私たちが起きた時には二人だけで、シェアもいなかったの」


 そういう事か。


「でも現場を見たわけでもないんでしょ? それだけでシェア疑うのも、」


 二人は黙る。 


「だから、正直、今回の事が私、とても怖いの」


 とレニは怯えていたのだった。



 そうして、シェアとレニが二人っきりになると、シェアはレニに必ず暴力をふるっているような、そんなシーンばかりが目に付くようになり、私もシェアの性格を疑うようになってきていた。 どうも、話を聞いていると、シェアがレニに当て付けてるようにしか見えず、弱い者いじめをするシェアが許せなくなってきていた。 それはミレイも同じように感じていたみたいで、私たちでレニを守ろうと誓った。 


 ある日事件が起こった。 


 今日は当番がなく、みんな各々の仕事をしていた時、悲鳴が聞こえた、 ミレイの声だ。駆けつけると、シェアが怒りに狂い、レニの細い首を持ち上げ、締め付けているではないか。 


 私も過激な当番が続き、アーネの情報を何とかかき集めてへとへとの体にいい聞かせ、走る。



「やめて!! レニが死んでしまう」


 私は必死に走って、シェアを止めようとしたが。 シェアの表情が見えた。 まるで憎しみに狂うように、シェアはレニを殺そうとしている。


 私は止めるために、シェアに突っ込んでレニを地面に落とした。 


 苦しそうにせき込むレニに対し、私とミレイが前に立つ。 


「何なのよ、あんたたち! 何なのよ!! ふざけるな」



 相当に怒っている。 いったいどうしたというのか? いやずっとそんなシェアしか見てこなかった私たちはレニを守るため戦った。 


「何やってるの。 レニを殺す気!」



 しかし開いた言葉に耳を疑う。


「そんな女、本当に死ねばいいのよ。 あなたたちは何もわかってない」


 そう言って一人シェアはどこかへ行っていしまった。


 レニは泣き出すし。まずいことになった。 シェアはおかしい。 またレニを一人にしたら、完全に殺される。それから必ずレニを守るように、警戒した。 それが、余計にシェアをいら立たせているようで、シェアはハウスでも孤立していた。 


 どうも、ご主人様≪かれ≫からもいいように扱われてなさそうにうかがえる。 


 夜私たち三人はそんな話をしていた。 


「いい気味よ。 あんなひどい人。 それぐらい罰が当たったって」


 レニは悔しそうにそう言っていた。 私たちはそんなレニに合わせた。 


 だけど、それか何日か経った日、私が当番の時に事件が起きたらしく、ぐるぐる巻きのレニがミレイの手当てを受けていた。 どうも話を聞くと、シャアに包丁で切り付けられていたとミレイが言う。 ミレイが駆けつけた事でシェアはそのまま去ったと。 


 切り付ける? 彼女は怒りがピークになるとそんな性癖でもあるのだろうか? 自分で感情が制御できない人には見えなさそうなのに。 いや、逆に、なんでも一人で考えてしまう人だから、余計に今みたいな行動に出てしまうのが普通なのだろうか。


  私はシェアと一緒にハウスの掃除をしてみることにした。 こんな酷い事をなぜするのか聞く為にも。


 シェアは私たちにまで敵意を向けるように、何も話してはくれなかった。 むしろ飽きているかのように、また、興味がないかのように。相手にもされず無視が続いた。 


 勿論、私は当番の日の収穫もしっかりとしていた。 だけど、だれに聞いても、もう王族はいないと言うばかりで、私の不安もピークを増す。 


 そんな不安を抱きながら、考え事をしていた時、大きな物音がした。掃除を忘れて考え事に集中していたことに気付いた時には、シェアの姿がない。 まさか。 


 急いでレニの元へ駆けつけると、包丁を持ったシェアが、机にレニの頭を押さえつけて今にも切り落とそうとしている。 

 レニは泣きながら、必死で抵抗していた。 


「いい加減にして!!! 」


 私は思いっきりタックルして、レニを助ける。 


「何でこんな酷い事をするの? 何が気に食わないの? 言いたい事があるならはっきり言いなさいよ」


 怒りで我を忘れているのか、私に向けられたその憎悪の目がとても怖かった。 彼女は私にまで襲い掛かってきた。 私は、恐怖で体が動かなかったが、抵抗だけは本能でしたようで、気づいた時には、シェアに思いっきり蹴り飛ばされていた。 壁に激突して激痛だったが、刺されなくてよかったとホットした。



 それからレニは私たちに見せたいものがあると言って地下室に連れて行ったのだった。






 そこで見たのは二人の子どもの奴隷だった。 がりがりで、栄養が足りてないのか元気がない。 牢屋の奥でうつむいていた。 足には頑丈そうな鎖がつけられており、入り口まで届かない長さ。


 その異臭や、なんて酷いの。 まるで人を切り刻んで放置したような、異臭。 こんな部屋に何日もいるなんて。 私はその光景にあの日の事が蘇る。  選別人の顔。 この部屋は恐ろしい。  そういうことか。 あの時の多いお皿は彼らの物。 そして、ご主人様≪かれ≫の仕事は人身売買だ。


 それなら、金持ちでも、捕まっても直ぐに情報が来ると言う話にも合点がいく。

 私はこの光景を見て二人に逃げようと強く物申した。 勿論ここに縛られてる子たちも助け出して。 


 レニはこれを知ってしまったから、シェアは私を殺そうとした。 そう言った。 そして、


「急いで!早く逃げないと、シェアが来たら私たちみんな殺される」



「その時は戦えばいいさ。 こっちは三人だよ 数で十分勝ってる」


 ミレイは自信満々に答えた。 


「そうね。 むしろここで全てを聞いてもいいぐらいね。 というより一番やばいのは彼にばれることでは?」


 私たちはそのまずさに、時を急ごうと鍵を探した。 


 中はずっと奥に続いているだけ。あるとしたら、カギはそこか、と三人で進んだ先で目を疑った。 


 この異臭の匂いの正体がいた。 


 人間の女の子。 裸にされ、傷だらけで、治療もしてもらえないまま放置された、 四肢を鎖で拘束されている少女。


 レニとミレイが、名前を叫んだ。 


『ルミネ!!』



 そう言って駆け寄るミレイ。 すごい異臭だったし、見た感じ、もう衰弱しきっている。 助かるの? というぐらい、反応もない。 ただ酷い、そんな絵図らだった。 



 後ろから何かが落ちる音がした。 振り向くと、後ろで驚くシェアがいた。 落ちたのはシェアが持ってきたのであろう包丁が、シェアの足元に刺さっていた。 



「ど、どうして……、どうして、こ、ここに……」


 シェアがひどく動揺したように私たちに驚いていた。 何を確信したのか、


 そして瞬時に恨ましい顔で、私たちを見た。



「お前か、 お前が!…… 言ったんだな……」


 悔しそうな顔をしながら、シェアは階段を駆け上がっていった。 



「追って! 逃がしちゃダメ!!」


 私はシェアを捕まえようとした。 今なら人数でも勝てるから。



「けど、ルミネが死んじゃう!!」


 ミレイは必死にルミネに寄り添っていた。 確かにこのままほっておいては死んでしまう。 だけど鍵がなければ何もできない。 そしてこの部屋にカギはない。 つまり。あいつが、彼が持っているはず。 



 なら、なんとかしてカギを探さなければ、私たちは急いで地下から出た。 カギを探しに行くために。 



「いやぁ、何をしているんだい。君たち」



 声をかけてきたのは笑顔のご主人様≪かれ≫だった……。 


 見られた。 これはやばい……。


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