心配事と不思議な事と
「やぁ、よく来たね。 僕のティターナ
最近はどうだい? こっちに来て話そう」
呼ばれていくのは彼のくつろぐベッドの上。 私は彼の膝に座らされた。
彼はここの生活のことについて私に聞いてくる。 私の髪を触り、時ににおいを嗅ぎながら私の髪を食べていた。
気持ちは悪かったけど、はらうこともできなかった。 彼は私の体をたくさん触ってはお話をする。 優しい声で、私を包もうとしているが、私には早く終わってほしい、部屋に戻りたいと思うだけであった。
だけど私は当番だから、今日はずっと彼と一緒……。
そう思うと、気が遠くなった。
それから彼は私にたくさんの服を着せて、楽しんだ。 それから、彼のままごとのような遊びに付き合った。 それが恐怖の始まり。
彼の気にくわない、展開になると、彼はすぐに怒りをあらわにした。 最初は怒り狂うだけだったが、私がうまく演じれない度、彼はものに当たりだし、、しまいには私に手を挙げるようになった。
こんなことが何時間も続き、そして彼は私をベッドへ連れていき、甘えるように眠った。 私は恐怖と怒りで一睡もできなかった。
時計を見ればもう4時を指す。 少しだけ、少しだけ眠ろう。 体はもう気疲れでへとへとだった。
起きると私の服は乱れていた。 彼は急いで支度をしており、結構あわただしかった。 私もそれを見て急いで起きると、支度をしようとした。
その時だった。
彼は勢いよく顔を近づけると、起きる私の横に座った。
「駄目じゃないか、ご主人様よりもグースカ、ぐ~すか寝ていたら。 お前は私の何かな? ちゃんとご主人様を起こさないとだめだよ? まぁ、ティターナは初めてだから、今回の事は仕方がないけど、今度はちゃんとできるね? 」
そう言って彼は、大切な人形をめでるように私を撫でた。
私たちをまるで人形にしか思っていないその表情は私に恐怖を与えた。
朝ご飯を食べる時も、何をされるかを知っている、だから怖かった。 今日一日私は彼のお人形。 だけど、当番である私はなぜかご飯を作らなくてよいといわれ、ずっと彼に抱かれるのだった。
大体わかったのは彼は極度の甘えたであるのだろう。 それを私たちで補ってるように見えた。
当然朝の恐れていたことがやってくる。 私は朝ご飯を自分で食べさせてはもらえなかった。 以前にレニちゃんがやらせていた、むごい仕打ち。
彼から咀嚼されたものを口移しで与えられていた。 この気分の悪い食べ物が口に、胃に入るたびに私は催しそうになった。
そんな私の涙目の表情が彼にはたまらないのか、とても嬉しそうにすべての食事を食べさせられ、また私も、彼の分を咀嚼するように言われ、彼の口に放り込んだ。
こんな食べ方は屈辱的で、頭のどこかで止めが入った。 父と母にも教えられたことのない食べ方。 それはしてはいけないことだと、私は私に何度も言っているようだった。
すべての食事を食べ終わると、私は気を使いながら彼に断り、急いでトイレですべてを吐いた。
その後は、あの少し素敵な、メイド服のようなものに着替えさせられると、彼の仕事へと同行させられた。
もちろん馬車の中は彼と二人っきり。 この中でも私は人形の扱いを受け、彼はたくさん私に甘えてきた。 私は人形。 だから人形のように精一杯振舞った。
彼の仕事が何なのか。 それが知れるのは、今後に何か生かせるかもしれない。 なによりも、当番になると外に出れる。 であれば、アーネを探す事が。 私は少し期待に揺れていた。
奴隷を連れている人が目立つ。 こんな見栄えの町だったか。 目を疑う。 彼はお昼を兼ねてと、私を豪華な食事の出る場所へと同行させた。
そこでは何故か首輪を外された。 だけど、外すときに、お経を据えられる。
「変な気を起こしたら、すぐに捕まえるし、殺すからな」
表向き笑っていても顔が笑っていない。 今の私には変な気を起こす気はなかった。周りに奴隷のような人はいない。 皆、きれいな服に包まれた人ばかりだ。 なるほど、そのためのメイド服なのね。
私の目の前には以前に両親と食べていたような、食べ物ばかりが並べられ、私はそれを食べることを許された。 それがあまりにおいしくておいしくて、泣きながら頬張った。 勿論朝ご飯を食べれなかったこともあるが。 いや、それ以上に、しばらくぶりに食べるまともなご飯に感謝した。
それを見た彼は思いっきり私をたたくと、叱り付けた。 下品な食べ方をするなと。 私は謝ると席に着き、気持ちを抑えながらゆっくり食べた。 もくもくと。
食事は私たち二人が食べるには少し多すぎるぐらいやってくる。 それもそのはず。 ご主人様≪かれ≫はよく食べる人みたいだからだ。 私たちが作る夕飯や、朝ご飯なども私たちで食べるには多すぎるぐらい作らされていることに驚いていた。 ミレイは彼はよく食べる人だから、作り置きも必要なの。 お腹がすいた時にすぐ食べられるようにと。 肉ものが好きなのだ。体系にも納得がいくが、それにしては食べてもあまり太らない体系はうらやましい。
そんなさなか、彼の仕事相手と思われる男が席についてきた。 彼もまた、私と同じような子を連れている。 しばらく話すと、私たちはお互いに挨拶をさせられた。 彼女はシルビーというらしい。 お嬢様だった。 当然私もそれなりの振舞い方を知っていたので、難なくその場を収めた。 それが相手方に気に入られたらしく。 ぜひ、シルビーと交流してほしいと持ち掛けられた。 ご主人様≪かれ≫はとても嬉しそうだった。
「さぁ、行きましょう」
そう言ってシルビーは私の手を引いて外へ連れ出した。 私は彼の顔を見た。 彼は笑顔で見送っていた。 いいの?? 出ても?
シルビーと私の後ろには、彼女のお召し役の爺という方がついた。 監視役という事かしら。 しばらく町を堪能することができたが、そこで
シェアが言っていた幸せというものに垣間見える事となった。
外でも酷い仕打ちを受ける子供や大人の奴隷たち。 彼らの扱いは無碍で足蹴りや、寄ってたかってのストレス解消など、荒い扱いが常々で見えた。 また重い荷物を持ちけれずに、下敷きになり、弱り切る人たち。酷すぎる。
私は奴隷を助けに行こうとして、シルビーに止められた。
「あなた! 何をやっているの!!?」
それがまずい行動なのはわかっていたが、放ってなどいられなかった。 だけど、爺という方が私を止めた。
「やめなされ。 余計に、事を荒立てる。 今の我々では
お嬢様たちはこの先の少しいった噴水の広場で、座って待っていなさい」
そういうと爺という方はそのまま私たちを置いて歩いて行った。
「行こう!」
シルビーは私の手を引いて反対方向へと連れて行った。
噴水広場で私たちは座って、約束を守る。 これ、逃げれるんじゃないかしら。 私にとってはチャンスだけど、逃げはしなかった。 頭に、ハウスで待つ彼女たちの事が思い浮かんだから。 だけどアーネも心配。探したいけど、今逃げたところで探す事は不可能。 だから逃げはしなかった。
シルビーを話している内に、この国はもう終わりねという話をされた。
「どういう事?」
「あなた!? この国の事知っているでしょ? 戦争に負けたのよ。 城が落とされて、王族たちも殺されたって。 みんな。 アングリアはもう終わりなのよ」
シルビーもまたアングリアの民ではない。 アングリアにはもう、。アングリアではない人が沢山住んでいるのだ。
「それよりも王族がみんな死んだってどういうこと?」
私の心臓が張り裂けそうになっていた。
「戦争で負けて、アングリアの血の者はみんな捉えられて処刑されたのよ。 あなた知らないの? あれだけ大きな騒ぎにもなっていたイベントなのに。 処刑場。 見に行ってないの? アングリア王の首もそこではねられたのよ。 女子供関係なしにたくさんの人が処刑されていたわよ。当然女王も。 子供は何か私と重なって、見るに堪えなかったけど。 私はそのまま爺に連れていかれたから、それからは見れてないけど。 見るものじゃないわね」
そんな事ってないわ……。 じゃあ、アーネも……、捕まったってこと? そんなことない。 きっとどこかで隠れているはず。
「まぁ、仕方がないわよね。 戦争に負ければどこの王族もそうなるもの。 それはきっと覚悟されていたんだと思うけど。 絶対の皆殺し命令まで出して、ずっと探されていたんだもの。 隠れるも何もないわよね。 今だってまだその命令は出てるんだから。 みんな血眼で探しているわよ。
もしまだ。王族の者がいたら、きっと冷や冷やして過ごしているんじゃないかしら。 この国からも逃げられないから」
「嘘よ、そんな……。 そんなことって。 そこまでして殺したい……の。 彼らが一体何をしたというの……」
「ちょっとどうしたのよ、ティターナちゃん? もしかして、あなた、王族の血筋とかじゃないわよね!? やめてよそんなの。
って、グリン公の娘でいてそれはないと思うけど。 どうしてそんなんアングリアに肩入れするの? まぁ、私も別にアングリアに恨みとか持ってないけど」
この時私の思考は変わった。 早くここから逃げないと。 アーネを早く見つけないと。 アーネが殺されたなんてそんな事、信じられない。 じゃなきゃ、私はここで、どうして生きていけばいいの? アーネは必ず私が助け出す。 真実を知らなきゃ! 王様も王女様も、本当に殺された?
そういう言えば、シルビーちゃんはこの国から逃げられないって言っていた。 それはどういうこと? だったら少なくとも、アーネたちはこの国にまだいることになる。 捕まっていなければ
「ねぇ、出られないってどういうこと?」
「あなた、グリン公と外交とかに出ていないの? 箱入り娘? だったら、知らないか……、ってそんなことある!?
どんな暮らしをしているの、本当に。 もう少し世間の事知った方がいいわ。 グリン公とここで結構住んでいるんでしょ?
まぁ、いいわ。 今、ノーザンブリアの兵が、この国すべてを囲っているの。 入るにも出るにも彼らの検問があるわ。 これも王族の生き残りを探すためね。 だから変な行動を冒さないようにと。 不審に思う行動はすぐに捕らえるって忠告まで来てたでしょ 」
そう。 攻めたのはノーザンブリアって国なのね。どことなく知っている。 私の両親を殺したのもあの赤いノーザンブリア。
私は意を決して逃げる決意を固めた。 その時、爺は私たちの前にやってきた。 ご主人様たちも一緒だった。
最悪だ。
こうして私は家に連れ帰られた。 シルビーは私に手を振っていた。 冷たい表情の彼女だったけど、それを見て、内面はけなげな子なのだと感じた。
私は探しに行きたくて仕方がない。 彼が何をしようと気にならないぐらい、どうやってアーネを探せばいいか思考を巡らせていた。 私は初めて、私から彼に話しかけた。
「ねぇ、どうして私を外へ行かせたの? 逃げると思わなかったの?」
「うふふ、どうしてそんなことを聞くんだい? 君は無垢なのかい? 逃げれる訳がないだろう? この国で奴隷が逃げてみろ。 皆から捕まえられ、やがて私の元へと帰ってくる。 それは変えられない運命なんだ」
「でも、こんな格好をしていたら、奴隷とは誰も気づかないんじゃ?」
「どうしよう。 可愛すぎる。 その馬鹿な所が何よりも愛おしい」
そういって彼は私を強くしめつけ匂いを嗅ぐ。 気づけば私は彼の膝の上。ずっと抱かれていたのに。
「君はいつまでもそのままでいてほしい。 だけどあまりにも馬鹿すぎると、人様の目にもさらせないし、逃げられても面倒だから先に教えておくよ」
そういうと彼は私の耳元で囁くように告げる。
「君たちみたいな女の子が、しかもそんな格好してうろつこうものなら、人さらいが、君たちをいつでも狙っているんだよ。 捕まったら、まず服をそがれる。 そしたら、ばれるだろ。君が奴隷だったと。 そしたら、君はもう物さ。 捕まった時点でそうだけど、奴隷にもルールはあってね。 私みたいな貴族の者の奴隷に好き勝手に手出しはできない。 当然。情報が私のところに来る。 そして君は私の元へ帰ってくるんだ。 その時は、殺すけどね」
その出来上がったネットワークに恐怖した。
「だからだよ。奴隷は逆らえないんだよ。 絶対に。 どんだけ強く願っても。世界から潰されるからね。 よくできた世界さ。 弱肉強食。そうやって生きていかなければならない世界。 僕はお前たちじゃなくて本当によかった。 選ばれた人間なんだよ。 だからお前らは敬意を払え。 そうすれば、大切に扱ってやるから」
そう言って彼は私の肩を強く?んできた。 そのまま私の肉を引きちぎるように噛み血をすする。 痛みで彼を強く押す。
「はは、君に俺の証がついてなかったから、その体に刻んであげたよ。 僕の物の証が君に刻まれたね」
しばらく彼は、私の傷を何度も、噛み続けてきた。 あの時の拷問に比べればへでもなかった。
こうして私の初の当番は終わったのだった。
屋敷に帰って、実は思っていたことがある。 どうして4人で住んでいるのに、食器が2人分ほど多くあるのだろうか? 最初は予備だと思っていたけれど、どうも、日々使われているみたいだ。 それは食器洗いの日に確認した。 一つのお皿の小さな擦り傷を気にしていたら、案の定その食器はいつもある位置から移動している。 それが毎日食器が使われている証拠。
私たちは4人だから、わざわざ重ねられた下2段の食器を使う必要はない。 お客様だって一切来たことがない。 普通なら触ることがないのだ。
私がこの家から逃げ出そうとした事でさらに、酷い事に巻き込まれていくなんて。 こんなことをしなければ、ここでの変温は免れたのかもしれない。
レニが怯え切って私に言ってきた。
「今だから言えるけど、シェアには気を付けた方がいい
あの子に逆らってはダメ」
そう怯える彼女は私に必死に訴えかけてきていたのだった。




