死の恐怖
半目が閉じる。
もう、ダメ。意識が持たない。
私の意識はそこで途絶えた。
私は飛び起きる様に意識が戻った。
体はまだ警戒状態。
起き上がろうとしたら激痛が走る
腕が痛い、ずきずきする。
――――――――――
そうだ、腕を折られたんだ。
私の腕が動かない。何、どうして、
嫌、いう事聞かない。
動いて私の右腕。
どうなっちゃったの。
私は自分の右腕がどうなったのかわからなくて脅えた
これ、もう一生このままなの?
使い物にならない腕になっちゃっている?
いや、そんなの嫌よ。
私は必死に右腕を動かそうとするが、全く動いてくれない
そんな私の体と葛藤した。
必死になって今の現状を否定した。
だけど、右腕は痛めど、動くことはない。
まるで死んでいるみたいに私の右腕は肩からぐったりしている。
ねぇ?あなたまで死んでしまうの?
私は痛みと共に、牢の壁で蹲った。
「ねぇ? 大丈夫? 」
2人の女の子がこちらに近づいてきた。
レベッカとアルヤだった。
「うん。なんとか 」
私は痛みの表情を笑顔で隠した。
「でも、 ……でも、
右腕が、右腕が動かなくなっちゃた」
その現実を口にしたからか、
、私の右腕はもう二度と動かないと私に実証を突き付けてしまった。
その不安と恐怖が、私に一気に襲い掛かってくる。
こんな言葉を口にしなければよかった。
次々に涙があふれ出てしまう。
2人は可哀想な目で私を見ていた。
「ティターナ」
と小さくアルヤが口にする。
「だっから言ったんだ。
そんな事するなって」
ふてくされたように座るディアンカが、話しかけてきた。
本当にそうよね。こんな事しなければ、こんな事には。
私はみじめに座る自分を見て、泣かざるを得なかった。
ディアンカの話し方を聞いて、もしかしたらディアンカなら、右腕が治る方法を知っていそうと思った。
「ねぇ、私の右腕って」
「あぁ?」
そういって、痛ましい目を向けながら、
「もう、右手が動かないんじゃ、残念だけどその腕は見るからに終わってるよ
動くことは無いと思う」
「そ、そうだよね……」
また涙が込み上がってきたから笑って見せてみた。
急いで涙を拭いた。
話を切り替えないと、大泣きして心が沈んでしまいそう。
「そ。、そうだ、
ミゲルはどうなったの? 」
ディアンカは驚いた表情をしていた
「ミゲルは、
連れていかれたわ。
どこに売られたのかわ知らないけれど」
レベッカが優しく教えてくれた。
「でも、とても、泣きじゃくって、まだあなたに罪をかぶせて逃れようと言い訳ばかりしていたけれど」
更に、私に怒りをぶつける様にレベッカは、ミゲルの最後を教えてくれた。
「お前、まだあいつの事気にかけてんの?
御人好しすぎだよ あんた」
別に気にかけている訳じゃない。
ただ、あの後がどうなったのかを知りたかっただけなんだけど。
「別に気にかけている訳じゃないわ」
「そっか。まぁ、別にいいけどさ」
「ちょっと腕見せてみて」
レベッカが、近寄ってくる
アルヤは心配そうに見て言う。
「痛いよね。可哀想」
「はぁ、ったく」
そういってディアンカまで私の方に歩いて来た。
「これは酷いわね。
肩のところからすごく赤黒くなってる
とても腫れているようで痛そう」
自分の右腕を見て、自分の体じゃないように感じた。
手も動かせないけれど、中でどうなっているのか、肩の位置が普通よりおかしいような気がしたから。
なんだか骨が突き出てきているよう。
もう、見ない様にしよう。
私の右肩は酷く刳い。
「それよりあんた。
早くここから逃げた方がいいよ」
唐突になに?
逃げる逃げないでこんな事になったというのに、またどうしてそんなことを言うの?
「あんた、今度選別人が来たら、また、ボロボロにされちゃうよ」
とても可哀想に私を見る目
この人、私を心配してくれているの?
皆が私の方を見る。
だけど、どうすればいいの、右手は痛いし、動かない。
逃げるって言ったって、どう逃げると言うの?
私には何もできそうにない
それは周りのみんなもそうなんだと思う。
誰一人、行動したくても何もできない。
ただ、彼らの思うように事が進んでいくだけだ。
扉が開く。
心底私の体は人が来ることに脅え切っていた。
「おうおう、起きたか嬢ちゃん。
まさか気絶しちゃうんだからよ。
あらら、そいつは酷いな」
私のぶら下がった右手を見て言う。
「お前のその右手、めちゃくちゃ気持ち悪い事になってんじゃねぇか。
お前それ、傷口が膿んで死ぬぞこりゃ
その証拠に、その右手もう動かねぇんじゃないか?
ほっといたら腐ってくるぞ」
死ぬ?私が?
どうして?
腐って死ぬ。いや、そんなの嫌。どうしたらいいの?
「ねぇ、嫌。どうしたらいいの?
どうしたら右手は良くなるの? 」
「お前が良い子にしてりゃこんなことにはならなかったんだ
おめぇのせいだよ。
これに懲りたら言う事を聞いておくことだ。
だけど、お前は選別人が罰を与えると言っていたから、残念だかこの後も続くんだろうな。
「嫌、御願い、もうやめて」
「そいつは、俺が決めれることじゃねぇ。
覚悟決めな」
「そんな、そんなの嫌よ。
私何もしていないのに。
……どうして、 どうして信じてくれないの」
「おめぇがやったのは明確だったろ。
俺まで騙そうとしやがって。それが俺の恨みまで買っちまったな」
「そんあ、どうして、どうして、こんなにいってるのに。
正直にいってるのに、信じてもらえないの」
「まあ、選別人がお前が起きたとなりゃ、やってくるだろう、
そうしたら、また痛い事いっぱい始まるな。
後、回答だが、その右手を切り落としゃいい
そうすりゃ腐って来る前に命は助かるぞ」
そういって看守は満足そうに帰っていた。
私は泣き崩れるしかなかった。
レベッカが優しく抱き寄せてきた。
私はどうなってしまうんだろうか。
泣き止んでからしばらくして、看守と共に選別人がやって来た。
「ティターナ 目覚めたらしいな」
そういって私たちの牢の中に入ってきた。
私は脅える事しかできなかった。
その姿が恐ろしくてたまらなかった。
「さぁ、来なさい、お前はこれから、じっくりと教育していかなければならない」
つまり罰の事よね?
そんなの嫌。もう、こんな痛みを味わうのは沢山。
もう、止めてほしい。
「お願いします。何でもします。だから、もうやめてください。
私が、私が悪かったです」
一生懸命謝る姿の私をただ、彼は見下ろしていた
「それで、改正されたとでも?
許されると思っているなら大間違いだティターナ」
「どうぢでぇ? 」
「泣いたって何も変わらないから泣くな
いいかね、人間ってのは、ほんとの奥底から変えないと本当に変わらないんだよ
殺人をした人間を捉えて、何か月か拘束して、
私は変わりました。ありがとうございます。
なんて言ってるやつも結局また同じ事をしでかす。
何故だかわかるか?
結局、恐怖を知らなければ人は変わらないんだよ」
そんな。いや、もう嫌よ。
許して
「わ、わだぢはもう、十分恐怖しでいまず」
「それが、形だけなのだよ。
お前はその殺人鬼とまた同じように、同じことをする。
認めたのはいい事だ。そうやって素直でいなさい。
そして、その腐った部分を今から私が変えてやる」
そういって兵隊に私を連れていく用意命令した。
「いやー。嫌よ、止めて。離して」
私は力の限り連れていかれない様に、暴れまわった。
兵士たちは問答無用で動かない右腕をつかんで引っ張る。
「きゃぁぁぁぁぁぁ」
私はあまりの激痛に動きを止めた。
痛くて、痛くて、暴れるどころではない。
房のみんなを見た。
みんなが兵隊を悪い人を見るように、見ていた。
誰か助けて。
私ができる事は、そう思うことぐらいだった。
体は痛みきり、動かすことすら難していた。
だけど、誰も助けてくれる人はいなかった。
誰一人としてその場の私をかばってくれる人はいないのだ。
私を助けてくれる人はこの世界にはもういないのは知っていた。
だけど、それをもう一度確信させる様に突き付けられるのはとてもつらかった。
そして私は房を後にして、とても嫌な雰囲気漂う部屋に投げ込まれた。




