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赤の書  作者: AIR
13/27

脱出作戦計画

朝か。



目が覚めると体の節々が痛くて体を伸ばす。


あっ、そうだ。ミゲルは?


ミゲルは起きていて、壁に腕を組んで寄りかかっていた。


昨日の事が相当効いているみたいだった。



「ミゲル?」



「なんだよ、どうせ、俺なんて無力で何もできないよ。

お前みたいに、賢くもないし、なんも思いつくこともない。


どうせ、このまま、俺は売り飛ばされるんだ。


いいように、使われて、死ぬんだ」



ミゲルが泣き出した。


ミゲル……、



「わかったわ、ミゲル

私も協力するから、逃げだす方法を考えましょう。 」



「えっ、本当か?!」


駄目ね。同情してしまう。

私だって、そう思う事があった。

だから、今のミゲルの気持ちが痛いほどわかる。


私だって、もっと自分に力があれば、あの時何もできない人間じゃなければ、お母様達やお父様、アーネも……。


ううん。

絶対に変えて見せる。


「じゃあ、どうするよ? 

どうしたらいい?? 」


「そうね、今はまだ、逃げ出すことはできないと思うけど、いろいろやってみないといけない事があるの」



「それって?」


それは、もっと周りを調べる事。


「とにかく、昨日の夜もそうだったけど、私たちが食事を運ばされるのは好都合よ。

なんせ、外を調べる時間ができる。

そして、会議の場所も確認したうえで城内を動けるわ」



「あぁ、確かに。 」


「あなたの話だと、もうじき朝食ぐらいよね? 」


「うん。

もうじき看守が怒鳴ってくると思う」


「だったらその時にまた、私のこれを外してもらうわ」


「やってほしいのは、今回少し道をずれること」


「道をずれる?」


「そう、私たちは食事を運ぶ為、ここに通ずる道しか通っていない。

だけど、それだと、周りの兵隊の動きが探れない

だから、その道からそれて調べる必要があるの」


「そんなの無理だよ。

看守が見てるんだよ」


「大丈夫。 私たちは一人じゃない」


「どういうことだよ? 」


「生憎にも私達は今怪我をしている」


「そりゃ、君は見たらわかるけど」


「貴方も、昨日棒で殴られたわ。」


「そりゃ、そうだけど……」


「貴方が蹲って起きてこなっかったことは看守もしている。

だから、あなたも私も、今度はわざと遅く運ぶの。

怪我のせいにしてね」


ミゲルはそのまま話を聞いた。


「だた、私たちがあまりにも戻るのが遅いとすぐにばれるわ。

だから、交互に入れ替わって周りを見てくるの。

どこに、何人いて、どの時間にいつもどうなのかを

それを調べたうえで、中庭までの脱出経路を割り出すわ」


「なるほど」



「そうすれば、脱出経路は完成。このお城の道なら、だいたい熟知しているからそこは大丈夫だと思う。

そして、この枷の鍵の場所も把握したわ。

そこもクリア。」



「おぉーすごい。どんどん、出来上がっていくな」


ミゲルは嬉しそうだった。


「でも問題は、ここからどう逃げ出すかだよ」


「そうね、そこは考え処だけど、もし、今日の見回りがうまくいって、これを明日も続けられるなら、ごはんを運ぶこの時に決行するのがベストかもしれない」


「でも、そんなことしたら追手が来るし、逃げるのがばれる」


「どうせ、すぐにばれるわ。

だったら確実に逃げれるタイミングを狙った方がいい」


「おまえ、」


「ん?」


ミゲルが言葉を詰まらせた


「おまえ、本当にすげぇな。

お前だけが城を逃げ回っていた訳が分かるぜ。

すごい、すごすぎるよ」


ミゲルが興奮している


「なんか、俺、お前となら、絶対できるような気がしてきた。

いや、逃げれる。これなら、俺はまたお母さんに会える

お前、最高だよ」


その歓喜の声に気になった、アルヤとマルクが近寄ってくる


「何々?どうしたのぉ? 」


「いや、何でもねぇ。

俺たちには生きれる希望があるんだ。

アルヤ、マルク、俺たちはここから逃げる作戦を立ててたんだ。

 」


「えー?すごーい。」


「私たち助かるの? 」


アルヤとマルクはすがるようにミゲルを見つめていた。


「あぁ、そうだ。俺たちが絶対助けてやる。

 だから、このことは絶対に秘密にしておくんだぞ、わかったな」


こうして、私たちの牢ではその話をこっそしと話し合った。


だけど、ディアンカとレベッカだけは、絶対に無理と、話には乗ってこなかった。



後で、いつも一緒にいる内の一人、レベッカはこっそりと、私に話しかけてきた。



「悪いことは言わないわ。

止めておいた方がいい。

そんなの無理だから。


後であなたが、酷い目を見ることになるわ」




どうしてこの子はこんなに否定的な事を。

やってみないと無理かどうかなんてわからないわ。

と言いたいところだけど、言葉を呑んだ。


一応心配してくれているのだものね。


だけど、どうしても私はミゲルを出してあげたいと思った。

そしてここのみんなを助けたい。

だから私はここを出るわ。






そんな会話が終わって、看守が房の檻を叩く。


来た。


「おい、てめぇら朝飯の時間だ。

さっさと食っちまえよ」


私とミゲルは目を合わせてうなずいた。

待っていた、この時だ。


「ティターナ……」


「大丈夫。さっき言った通り動けば、行けるはず」

「あぁ、


 わかった」


確証なんてない。私もミゲルもきっと冷や汗でいっぱいだ。少なくとも私は震えで立っているのも正直やっとだ。

失敗したらどうしようという恐怖と戦いながら平常心をなんとか保ってる。

心臓は激しく鼓動を鳴らし、今にも口から出そうなくらい心音が鳴り響く。




ふぅぅ―――――


深呼吸よ。







っちょっと待って?


『早く食べろ』ってどういう事?


その言葉に違和感をもった。


不吉のような、何かを感じる。

これはどういう事。

何かが引っ掛かっている。



そして、その結末に私たちは驚愕した。


看守がそういうと、奥からメイドさんが大きな鉄の台を押して歩いてきた。


そのメイドさん達は台からパンを取り出すと房の前に置いて行った。

スープのようなものを運ぶメイドさん。

皆に配り終わると、彼女立ちは去って行った。


どういう事?

私たちが運ぶのではないの?


私はミゲルを見た。


「知らない、知らないよ。

こんなの昨日までは、ずっと俺たちが運ばされてたんだ

だから、今日も、きっと、」


ミゲルの目から光が消えていた。


どういう事なのだろうか?


今日の結果に私も座りこけた。


「お姉ーちゃん」


「はい。これ」


忘れていた。

アルヤとマルクが私の分のごはんを持ってきてくれていた。


スープのようなものからは湯気が出ている。


ミゲルの前にも御飯が並べてあった。

この子たちがきっと持って行ったのだろう。


「元気出して」


「落ち込まないで」


この子たち。


「ありがとう」


そういってアルヤとマルクは自分たちの御飯のある方へ帰っていった。



そういえば、昨日の晩御飯の後も回収はメイドさんが来ていたわね。

これと何か関係があるのかしら?


「ねぇ?ミゲル、」



………………



だめだ、返答がない。


ふぅー、御飯は持っていくのは子供たち。

でもそれを回収に来るのは毎回メイドさん達だったのかを聞きたかったのだけれど。


だけど、ミゲルの話し方的に、持ってきていたのも、片づけに運んだのも、子供だったんだと思う。

だとすると、私が来た、あの夜からメイドさんが運び出した。


「ねぇ、アルヤ、マルク 」


「なにぃー? 」

「どうしたのぉー? 」


私が来る前にご飯をここの房の子たちで運んでいたんだよね?

食べ終わった食器とかは?どうしていたの?


「うーんとね。 運んだよ」

「そう。運んだよー。 私たちで」


やっぱりそっか。


だとすると、これはどういう事?

どうして急にメイドさんを使う事にしたの?


いや、急ではないか。

メイドさんが捕まって、子供じゃなく、メイドにやらせた方が早いとなるなら、それは合点がいくわ。


だったら今後は私たちが運ぶことは無くなるということよね。


ならまずいわね。調べる手段がなくなった。


逃げる機会も。



それにあのメイドさん。ここのメイドさん?

ではないような気がする。

ここのメイド服でもないし、もし、捕まった人が着せられているだけだとしても、この城にいた人達には何故だか思えない。


どことなく、彼女らの仕草からそう感じさせられた。



とても、まずいスープ。野菜は少し入っているけど、味がないわ。

それにこのパンは、いつのものかしら少し硬い。

そのスープはとてもではないが出されたパンに合うものではなかった。


私が食べ終わると、丁度、またメイドさん達が入ってきて私たちの食器を回収していった。



「なぁ、ティターナどうしたらいい」



流石に困った。

「そうね、

今のところは打つ手がないわ……」




暫く沈黙が続いた。


「あっは、あははははは、

そ、そうだよな。

これじゃ打つ手ないよな。

けど、まだ何かできる事はあるんだろ? 」


私はできる事はという事に頷いた。


「だ、だよな、

わかった。じゃあ思いついたら教えてくれ。

俺、どうしても、母さんに恩返しがしたいんだ。

だから絶対、離れる訳にはいかない。

いっぱい迷惑かけたから。

だから今度は俺が、家族を守るんだ」


私と一緒。



「任せて、必ず、何かいい策を考えるから」



ディアンカとレベッカじは私たちを呆れる様に見ていた。




「あぁ、そうだ、今日は選別の日だ

お前らの行き場所が決まる。 良かったなー」



部屋が凍り付いた



私にはまだ選別人と言う人がよくわからなかったが、相当良くはないらしい事だけはわかった。



「そんな、」


ミゲルは絶望していた。

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