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転生したらパンデミック

いい加減投稿しないのもあれなんで育児の傍らちょぼちょぼ投稿。

ゾンビパンデミックものIN異世界ファンタジーです。

なお三回目まで今日は更新します。

宗教は糞だ。


そんな風に思っている奴も結構いるだろう。

これのせいで人が沢山死に、争いも絶えなかったのが人類史だ、と主張する人間もいるかもしれない。

だが、逆にそこに救いを求めて、実際救われたと主張する人もいる。

本当のところ、神がいるかどうか俺にはわからない。

わからないまま――俺は死んだ。

俺は典型的な『まあみんながお祈りしているから一応仏壇に手を合わせる派』の流され系日本人である。

八百万の神、万物に等しく神が宿るという日本古来からある考え方を否定はしない。

むしろそう考えたほうが人生が豊かに映ることも多いだろう。何事も否定から入るのは良くない。

地動説だって正しかったのに最初は否定されたのだ。案外神だって存在しているかもしれない。


さて、本題に入ろう。つまり、言いたかったことは――。


宗教は糞だ。



※※※※




「……」


 今俺は六帝都の一つゲノリス、その城の地下牢獄に囚われている。

 鼠、小さな虫の群れ。昏く、きついアンモニアの匂い――牢獄に入った経験はないが、これがまともな環境とは到底思えなかった。唯一喜ぶべきことがあるとすれば、これが単独房であることぐらいだろうか。ただ、時折何処かしらか奇声が響いて止まない。


「まあ、自由に寝ていいだけマシか」


 異世界に転生した俺の行きつく先、そこがこの独房とはなかなか笑えない冗談である。現代なら裁判だの弁護士を呼ぶ権利だのあるのかもしれないが、そんなものこっちには無かったので直行で俺はここにぶち込まれた。

 牢獄に入れられたということは悪いことをした、と思われるのかもしれないが、俺がやったことはただ一つ『人を癒した』だけである。これも現代ならただの人命救助活動の一環であり、罰せられたりすることはないだろう。ただ――どうもこれがこちらでは『医療行為』に当たるようで……。


「認可制なら先に言えよなあ……」


 そう、俺は無免医療行為にあたることをしたらしい。この世界、御上の認可を得なければ人を治癒してはならないのだ。俺も後から知ったのだが、この世界では聖職者によるそういった行為の管理が徹底されている。そして俺がやった『行為』はもっとも許されないものらしい。

 そう、『無料診療』である。


「けち臭い世の中だこと……」


 ボヤキながら、俺は昔のことを思い出していた。他に、やることがなかったからだ。

 俺は山奥の寺院で独り身の僧に育てられた。この独り身の――というのは独身という意味で概ね間違っていない。完全に童貞を拗らせたまま年老いた感じの爺さん僧侶に育てられた俺は若くして回復魔法を会得――したのはよかったのだが、誰を治す当てもなくただ森の小動物や爺さん相手にくだらない練習を繰り返していた。


「おほう、凄いのう」

「だろう?」


 俺は修行の成果を爺さんに試す。


「ああん、きくう~」

「気持ち悪い声を出すな」

「だって気持ちいんじゃもん、ううん~」


 俺は鍼灸の要領で、回復魔法を患部にピンポイントでぶち込んでいく。


「この連打がコツだ。患部にピンポイントに、こまめに回復魔法を飛ばす。それだけで大分効果が違うだろ?」

「うむ、どこでこんなことを覚えたんじゃか不思議でしょうがないが……ああん、きもてぃ~」


 気持ち悪い爺さんの嬌声をBGMに俺は更にその全身のツボに、弾丸を飛ばすように回復呪文を当てていく。そう、俺は回復魔法を『飛ばす』ことと、『精密にぶつける』ことに特化していた。

 これは元々の魔力量が大して高くなかったからこそ、工夫するようになった結果だった。同じ魔法でも患部に効果的にぶつければ、その威力が増すことをなんとなく、発見したのだ。しかし、まあこの特技、大して凄いものでも何でもなかった。


「うん? もう終わりか」


 そう、前述の魔力量の低さである。あっという間に魔法力、つまりMPが切れたのだ。


「なあ、爺さん。これってもっと増えないの?」


 汚いベッドにうつ伏せで寝そべる爺さんに質問すると――。


「ん? ああ、普通はな。聖結晶を使うんじゃよ」


「聖結晶?」


「ああ、聖なる魔力を秘めた石――そういうのがあるんじゃが、それを使って能力を行使するんじゃ。人の持つ魔力なんて高がしれとる。一人癒せばその日は打ち止め、そんなもんじゃろ」


 うわ、この世界の魔法の燃費、悪すぎ!? 

――ようするに俺だけが魔力が低すぎるってことではないらしい。触媒を用いて魔法を行使する、というタイプの世界観なのだろう。


「じゃあそれはどこにあるんだ?」


「教会本部が卸してるもんじゃからなあ。こんな辺鄙なところじゃ使わんからこの辺にはない。町でもいくしかな」


 つまり俺がいくら能力を鍛えたところで、稼いで聖結晶とやらを買わないとまともに使えないってことだ。となれば――いつか山を下りて独り立ちしなければならないだろうなと漠然と思う。そしてそれは、案外早く来た。爺さんがその年の冬にぽっくりと逝ってしまったからだ。俺は爺さんを荼毘にふして一人街を目指して山を下りた。そして初めて会った村人の傷を癒して見せた――のだが、その数日後、村にやってきた衛兵に俺は取っつかまり、この帝国の牢屋にぶち込まれた、というのが事の顛末である。


「裁判とかないんですかね……」


 捕まって最初にこれからどうなるのかを質問したが、衛兵はニヤニヤと笑うだけで何も答えてくれはしなかった。ちなみにここに閉じ込められてから丸一日が経過したが、一切の食糧が与えられていない。飯はまだいい。それよりものどが渇いて仕方がないが、呼んでも誰も来ないのだ。


「――公園に行けば水が飲める分現代の方がマシなのでは?」


 異世界物の禁句、現世の方がマシ理論を口にする。せっかく魔法が使えるようになったが、別にチートというわけでもなく、単にちょっとだけ変な使い方が出来るだけのどこにでもいる普通の僧侶(仮)が自分である。しかもどうあがいてもここからチート展開になるとも思えない。すべてが平均値かそれ以下の、始まりの酒場で仲間になったレベル1の何かでは牢獄から出ることも難しい。ただ飢えて、朽ちるのみである。


 ガチャ――。


「お?」


 遠く、向こう側から扉の開いたような音がした。衛兵が見回りに来たのだろうか?


「――あの、すいませーん」


 格子に近づき呼びかけてみる。右の方から影が近付いてくるのが見える。このチャンスを逃したら本気で干からびてしまう。


「何か飯を――いや、水だけでもいいので」


 返事はなく、ただ、ペタ、ペタ、という足音だけが近付いてくる。


「あの――」


 もう一度だけ――諦めかけたがそれでも、無為に死ぬだけなんてごめんだ、と思い直して声を掛けると――。


「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

「!!!!!!?」


 飛び出した『それ』に思わず俺は格子から飛びのいて後ろへ下がった。『それ』は格子に噛り付き、涎を垂らし――俺を、いや、何処を見ているのかわからぬ虚ろな瞳で――。

 俺の浅い現代での人生経験と、僅かな異世界暮らしでも、『それ』が何かはすぐに理解できた。理解は出来たが――受け入れるのはまた、別だった。そもそも、どうして――。


「ゾンビが、ここに?」


 そう、目の前にいたのは死臭をまき散らし、じんにくに向かって牙と爪を向ける生ける屍であった。


※※※



 篠崎マクリ



 HP 10

 MP 20

 

 装備:布の服

 魔法:回復魔法小ライトヒール使用魔力2



能力値は目安でありあんまり意味はありません。

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