世界を救う為の犠牲
「く、このままやられる訳にはいかないのだ!お前ら諸共、この城ごと消えて無くなればいい、ふははは!」
勇者達に追い込まれた魔王が
その場にいる全員を道連れにしようと
最後の力で、後ろにあった大きなガラスケースの中に移動して中の得体の知れない化け物に自分を差し出して、捕食させた
「いけない、あれが目覚めたら、この世界は滅んでしまう!全力で止めるぞ!みんな力を貸してくれ!」
勇者達が一斉に攻撃を始めるが
ビクともしないガラスケース
それどころか魔王を失ったこの城が、崩壊を始めた、この空に浮かぶ城も落ちれば被害は免れない
「く、あそこで魔王を一撃で仕留めてさえいればっ!こんなことにはっ!」
「何か手はないの!?」
「このままじゃ、世界が!」
「私が…なんとかします!」
「クロリス!そんな、それしか方法がないの?!」
「私がこの世界で巫女として産まれた理由が、そういうことなら、喜んで差し出します」
「そんなのダメだ!!」
クロリスと呼ばれた女性、それが夢の救いたかった人の1人みたいだ
勇者達が時間がない中話していて
止められるが、彼女は1人ここに残る
どうやら夢の話によると、彼女が何回も死んできたコラプサーの被害者らしい
この物語では、彼女のお陰で、世界は救われる
残った勇者達を逃がし、城を飲み込むほどの巨大なツルと花でガラスケースを破壊し、中の得体の知れないものをさし、その反動で爆発して、城ごと消えてなくなる、周りには一切の被害がでない
彼女の死以外には…
その後が気になる話だが、それはまた別のお話
今はその内容を知っている俺らが
どう動くかによる、もちろん彼女自体を動かすだけだと、歴史が変わってしまうので、誰も見ていない状況なら、いくらでもすり替える事ができるだろう
彼女が勇者達を逃がした後
俺らは、その場にでる
神様らしく登場してみよう…せっかくだし…
夢も、さすが未来♪とグッジョブと親指を立てて合図してきたので、文句はないはずだ
姿も白っぽくしとけば大丈夫かなと、洋服をポンと叩いて今までの私服だった服を着替える
なんて便利なんだ、神様…
夢も出たい出たい!と言うので、分離も可能で
2人で神々しく出て行く
「ああ、神様、私はやっぱり巫女で、世界を救う使命を与えられたのですね」
何故だかすごい悲しい顔をしている
自分で、使命だと思っていても、切なさの上にあるのだから、無理もない
「ちょっと違うよ、今までは助けたかったけど、助けられなかったっていうのが正しいんだ」
「助けに来たんだよっクロリスちゃん!」
と言ってびえーんという感じで泣いて
夢はぎゅっとしていた
コラプサーの事を軽く話、浄化させてくれと
頼む
「わかりました、時間がないので、急ぎましょう」
時間か、忘れていた、手をポンと叩いて
時をとめる、なんて便利なんだ神様…
あっけにとられたクロリスを横目にしつつ
夢が浄化を始める、光になって、目の前から消えた
俺達が干渉した時点で、奴らの勢いは弱まっていた、とはいうものの、思ったより抵抗してくるのか夢もなかなか返ってこない
様子は繋がっているので、見る事ができる
「大丈夫か?夢?」
俺たちの視界に映るのは、夢そのものだった
同じ見た目に同じ武器、同じ攻撃、これは苦戦するはずだ、俺もこの場所には入れるみたいだ
武器も作れる!
そうやって剣を構えて夢と一緒に戦う
夢と同じ動きをしてせめぎ合っているところを横から切りつけた
「はぁ、はぁ…やったか?」
「やったぁ浄化完了だよ、ありがと未来!」
夢が抱きついてくる
「っ!?さ、さぁここから…でるぞ!
少し照れながら、そう言ってこの場を
後にする
さっきの物語の世界に帰ってきた俺たちは
クロリスさんに終わった事を伝える
「ありがとうございます、ところで、このガラスケースの中の怪物はどうしたら…」
「ああ、それは簡単だよ!」
って言ってケースに触れようとしたが
「まって!未来!」
と言われたびっくりした
「どうした夢?」
「回収する準備をね、したいの!」
そう言って何か取り出した
「じゃじゃん!神様端末〜!」
「はぁ?神様端末?なんだよそれ」
俺も初耳だった
「これはね〜死んだ瞬間の回収した魂が入ってます!ここの魔王くんも、回収しま〜す!!壊した世界の魂も、ぜ〜んぶあるよ〜」
なんか、すっごい、大事なことを今軽く言われた気がする…
「そうか、転生させるんだったな」
「そゆこと〜♪」
となんだか、すごい嬉しそうに、神様端末?を起動させて
「いいよ、未来!」
というのでガラスケースに触れる
光になってそれは一瞬で消え
何かが端末に回収された
回収完了〜♪と喜ぶ夢
「あとはこの世界に、クロリスさんの分身をつくるよ」
そういって肩に触れてそっくりの人形をつくる
この世界と結びつくように作ったものだ
ついでに化け物の方も嫌々だが複製した
どちらも歴史通りに動くギミックだ
これなら歴史が変わることはない
あとは一緒に俺の部屋にもど…ればいいのかな
「なぁ、夢、戻るにはどうしたらいいんだ?」
「えっとねー、クロリスちゃんは持って帰るから、3人で手を繋いで、未来の間を作った時みたい、念じてみて!」
「なるほど、わかった、クロリスさん俺達の世界に案内するよ」
「わかりました、ぜひお願いします」
と言って3人で手を繋いで、この世界の時を再開し
意識を集中させる、ガタガタとなる音の中
光になってこの世界を後にしたのだった