銀杏の葉っぱ
「綺麗だなー」
大きな通りの銀杏並木を歩きながら私はひとり呟いた。
学校への通り道の途中にあるこの道は県でも有名な銀杏並木らしい。
毎年のように見ている私でもこの綺麗さには飽きることはない。
銀杏を見ながら歩いている私の目の前にヒラヒラと葉っぱが一枚落ちてきた。
ふと手を差し出すと葉っぱは手のひらの上にのり鮮やかな黄色を彩っていた。
手のひらの葉っぱをまじまじと見ながら歩いていると前を見てなかったせいで誰かとぶつかった私はこけてしまった。
「ごめんなさい、大丈夫ですか?」
その人はそう言いながら私に手を差しのべる。
「大丈夫です。こちらこそ前を見てなくてすみませんでした。」
差しのべてくれた手をとりながら私は答えた。
「僕の方も綺麗な銀杏に目を奪われてました。ほんとにここの銀杏並木は綺麗ですね。」
そう笑顔でその人は答えた。
私の手のひらの葉っぱは、こけたときにどこかへ行ってしまったみたいだけど、その人の笑顔に私は銀杏の葉っぱ以上に惹かれていた。