晴れて、合格……?
ちゅどーーーーーん!!!
「グフォ……」
「はい!!サエキ、これで今日3回目〜」
またミミックを制御できなかったせいで、その長い舌が僕のお腹に突き刺さる。そしてまたチーフ板橋から嫌味を言われた。
うううう……もうやだ……
涙がこぼれ落ちそうになったとき、身の前のミミックがニタニタととんでもなく憎たらしい顔をむけてきたので、秒で涙が引っ込んでしまった。
「いつか屠ってやる……」
呟いた直後、店長から怒声が飛んでくる。
「サエキくん、次サタン様だよ!!!?!サタン様は待たせちゃダメって何度言ったらわかるんだよ!!!」
「はいっっっ!!すみません!!」
僕はいそいで、ミミックの舌をしまい込んだ。
「お次、お待ちのお客様こちらどうぞー!!!」
僕、サエキはことごとくアルバイトの面接に落ちていた。誰でも受かるバイトがあると聞いては、何度書いたかわからない履歴書を持って、面接に行った。でもなぜか結果はいつも同じ。不採用だった。最初は親も励ましてくれていたが、15社目を超えたところでなにも言ってはくれなくなってしまった。唯一の友達である、カサイも苦い顔をしながら「次がある」と何度も言ってくれた。だが、自分自身そろそろ限界だった。こんなにも世界から嫌われていることを思い知らされる日々はもううんざりだった。
が、ある日、カサイが会う約束もしていないのに、まさに光のごとく家に押しかけてきた。
「どうしたんだよ、そんなに慌てて。飼ってる金魚がまたこどもを産んだのか?」
カサイはまだ肩を上下させながら、俺にこう叫んだ。
「いや、金魚は先週お産して……ってそんなことじゃねぇ!!!サエキ!!!お前、コンビニで働け!!!」
僕は、いつもカサイがするような苦い顔をした。
「コンビニで働けって、働けるならとっくに働いてるよ。お前も知ってるだろ?コンビニだけで何社落ちたと思って……」
言い終わらない内に、カサイが1枚の紙を僕の目の前に突き出してきた。
「これだよ!!!これ!!!今さ駅の方行ったらこの紙配ってて、よく見たらコンビニ求人募集の紙だったんだよ!!そしてなんと誰でもいいらしいぞ!!!」
僕はカサイから紙を奪い取り、応募要項のところを震えながら読んだ。
そこには、カサイが言った通り「誰でもOK!というか来てください」と書いてあった。今まで、誰でも受かると聞いたところには面接に言ったが、こんなにも応募要項に誰でもOKと書いてあるところはひとつもなかった。
僕はさっそくのそのコンビニに向かうことにした。できることなら、今からでも働きたかったのだ。
カサイから奪った紙の裏に店までの地図が書いてあった。着いてみると、何の変哲もないコンビニだった。でも今まで見た事のないコンビニで、チェーン店では無さそうだった。
「カサイありがとうな!俺やっと働ける気がするよ」
まだ、受かってもいないのに僕はこんなことを思いながら店のドアを開けた。
一歩踏み入れた瞬間__。
ぱん!ぱん!ぱん!
どこからともなく、爆竹の弾けたような音がして、僕の足下にカラフルな紐が何本も落ちていた。
「一体、何が……」