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「連絡とったんだけど無理そうだった……。其れにあの状況でごり押しに話進めたら絶対まずい」
閏日さんが何か閃いたように所長の顔を見る。しかし所長は苦い顔をして首を左右に振った。その態度を見た彼女は闇色の瞳で失望してしまった。
「そう……ですか。残念です……。まぁ、仕方ない。話をしよう。私達が入った時にはね、三人の先輩がいたの」
美女の赤い唇が揺れる。
私は興味をそそられて目を開く事にする。目を瞑っていたらそのまま寝落ちしてしまいそうだ。
「三人いたんだけど、一人は人外だったの」
「あの、人外とは……?」
興味をそそられて目を開く事にする。天井には何時付けたのか分からない染みがあった。
氷室が控えめに尋ねる。会話を遮るのに少し気を使ったのだろう。
閏日さんはその問いに妖艶な唇を歪ませて、さらりと答えた。
「吸血鬼」
「へぇ……」
「ふーん……」
「そうなんですか」
それぞれが淡白な答えを返す。私はのけぞったまま、塊は頭をがじがじと掻き、氷室は僅かに頷いた。
どうやら共に狩りをしていると反応まで似てくるようだ。
「三人共反応薄っ!!」
「すっ……すみません!!」
氷室が慌てて詫びを入れる。
一番驚いていたのは閏日さんだった。足を組み替えて目を見開く。疲れたのなら座ればいいのに。
恐らく驚かない理由は今自分達が携わっている仕事に直結している。あんな化け物がこの世にいるとするならば、吸血鬼ぐらい、いたっておかしくない。第一滅籍の中にだって吸血鬼の紛い物がいるのだから反応も薄くなる。どうやら閏日さんはその事を忘れていたようだ。
「この人が変わり者でね。血を吸わないの。『吸血鬼の癖に血が嫌いって、もはや吸血鬼止めてるよねぇ』ってよく言ってた」
……それは珍しい。と言うか血を吸ってなんぼな吸血鬼が、血を嫌うって……何かの種族と勘違いされているだけなのではなかろうか……。狼にならない人狼のようだ。
「変わりに嗜好品……甘いものなんだけど。に目が無くて……」
それはもうただの変人なのでは……? あっ……人じゃなかった……。
私は吸血鬼ドラキュラが甘味を貪る様を想像した。
青白い肌に鋭い真珠の犬歯。目には人を仰け反らせる威圧感がある。にもかかわらず頬袋に大量のクリーム、スポンジ、クッキーなどを詰め込み、恍惚とした表情で甘味を貪る……。
読み返して誤字脱字、伏線の回収が出来ているかの確認を行っているのですが、自分で拾った伏線の回収が思った以上に分かりにくかった……(@_@)
(あれ……最早回収というよりも、放置なのでは……? つか回収って言わないよね? レベルでした)
すみません……引き続き修繕に向かいます……
(´・ω・`)




