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アンデッド ─undead─ 一部  作者: 秋暁秋季
第二体 ミエザルメ
49/178

3

 溜め息をつくと滅籍がにっこりと微笑んだ。昔の仲間が無事で安心しているのだろう。

 しかし事態は深刻だ。端から期待していた訳ではないが、マキナが来れないとなると紅葉の適応力に頼るしかない。殺戮を嫌うあの子が一体何処まで耐えられるのか……。

「心配ですか?」

「勿論。でもね、彼奴は愛を知らない訳じゃない。ただ物凄く極端なんだ。気に入った奴以外全員死ねばいい。情を向けた奴以外全て背景。だから“見えざる目”が失われた事によって紅葉の命に関わるようなことは無いと……思う……」

 言うことによって無理矢理自分を納得させる。

 本当は死んでしまうかもしれない。無残な姿で帰ってくるかもしれない。しかし思い込むことでしか、強がることでしか、不安を紛らわせられない。

「よく見ていますね、あんな猛毒の事」

「いや? これはね、言われたんだ。先代に」

 先代と言う言葉を聞いた途端、滅籍が哀しげな顔をする。既に冥界へと旅立ってしまった事が脳裏に反芻したようだ。

 『彼奴はさ、愛を知らない訳じゃないんだ。ただ物凄く極端で、気に入った奴以外は全員くたばればいいと思ってる。その代わり懐に入れた奴には従順だし、出来る限り願いを叶えようとする。だからそんな風に彼奴を見ないでやってくれ』 

 少し困ったように笑う男の姿が思い出される。優しさ故に契約し、優しさ故に死に絶えた、気のいい青年。私はあんな風にはなれない。其処まで自己犠牲出来るほど優しくない。

「……紅葉様も……同じ道を辿るのでしょうか……? あんな奴の為に死んでしまうのでしょうか……?」

「……そうだろうね」

 あぁ、そうか……だったら……。だとしたら……。

 私は拳を握り締め、いつの間にか感情を吐露していた。そしてそれは叫びへと変わっていく。

「紅葉は死なない。戦闘では絶対に死なない!!」

 思い込みが確信に、強がりが真実になった。

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