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溜め息をつくと滅籍がにっこりと微笑んだ。昔の仲間が無事で安心しているのだろう。
しかし事態は深刻だ。端から期待していた訳ではないが、マキナが来れないとなると紅葉の適応力に頼るしかない。殺戮を嫌うあの子が一体何処まで耐えられるのか……。
「心配ですか?」
「勿論。でもね、彼奴は愛を知らない訳じゃない。ただ物凄く極端なんだ。気に入った奴以外全員死ねばいい。情を向けた奴以外全て背景。だから“見えざる目”が失われた事によって紅葉の命に関わるようなことは無いと……思う……」
言うことによって無理矢理自分を納得させる。
本当は死んでしまうかもしれない。無残な姿で帰ってくるかもしれない。しかし思い込むことでしか、強がることでしか、不安を紛らわせられない。
「よく見ていますね、あんな猛毒の事」
「いや? これはね、言われたんだ。先代に」
先代と言う言葉を聞いた途端、滅籍が哀しげな顔をする。既に冥界へと旅立ってしまった事が脳裏に反芻したようだ。
『彼奴はさ、愛を知らない訳じゃないんだ。ただ物凄く極端で、気に入った奴以外は全員くたばればいいと思ってる。その代わり懐に入れた奴には従順だし、出来る限り願いを叶えようとする。だからそんな風に彼奴を見ないでやってくれ』
少し困ったように笑う男の姿が思い出される。優しさ故に契約し、優しさ故に死に絶えた、気のいい青年。私はあんな風にはなれない。其処まで自己犠牲出来るほど優しくない。
「……紅葉様も……同じ道を辿るのでしょうか……? あんな奴の為に死んでしまうのでしょうか……?」
「……そうだろうね」
あぁ、そうか……だったら……。だとしたら……。
私は拳を握り締め、いつの間にか感情を吐露していた。そしてそれは叫びへと変わっていく。
「紅葉は死なない。戦闘では絶対に死なない!!」
思い込みが確信に、強がりが真実になった。




