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アンデッド ─undead─ 一部  作者: 秋暁秋季
第一体 怠惰少女 
19/178

4

 黒髪のリカントロープは口を閉じたままだ。性格は……ルー・ガルーとは真反対と言った所……。寡黙で表情に変化がない。

 人形に飽きたのか狼の姿に戻り、地に伏せる。頭部を撫でろと頭を下げてきた。

 黙って二本の腕を忙しなく動かしながら三頭の頭を撫でてやる。

「紅葉様もいらしたのですね」

 べったりと後ろから肩に手を回し、貼りつく。覇気のない声で笑っていた。直感的にカーミラだろうと悟ってしまう。

「カーミラ、離れて。硝吸鎌に愚痴を零されるのは私なんだから」

「え~」

 とか言いながらも離れてくれた。ちなみに引き剥がすポイントは『硝吸鎌』という単語にある。例え私が『うざったいから離れて』と言った所でのらりくらりと会話をかわされ、なんだかんだで引っ付いている。

 非常ーにうざったい。

 にしても……あいつ何したんだろう……?

「死神様に唾付けされた者に手を出すとろくな事がありませんわ」

 くるくると回りながら拗ねたような目をする。軽やかに地に足を付くとルー・ガルーの毛を弄り始めた。

 その様を見ていると二の腕と首にひんやりとした感触を覚える。どうやら首にラミアー、二の腕にノスフェラトゥがくっ付いているらしい。

「ようこそ紅葉様」

「今回はどんなお召し物が良いですか?」

 女吸血鬼達に限った事ではないが、どういう訳だか私を着せ替え人形にするのが好きらしい。

「だからくっつくな」

「え~」

「え~」

「ほら、持ち場に戻る。空間をトジるよ」

 人狼が毛を震わせ、ヴァンプ達がふてくされる。人外の皆さん、撤収。映画ならエンドロールが流れているところだろう。

「こっ、今度こそは和風系ゴスロリを着させてみせますから!!」

 ラミアー……。負け犬の遠吠えにしか聞こえません。

 全員が舞台から去った所で空間が崩れ始める。床の消失と、瓦礫の落下。かと思えば元の事務所前に戻っていた。

「お疲れ様」

「はい……」

 もう一度私は鋼に頬を押し付けた。その様子を見てクスクス笑われる。

 全く、何がおかしいのだろう。

「硝吸鎌、紅葉の事大好きだから……。滅籍とまた喧嘩してるかも」

 冗談がキツい。硝吸鎌が私に抱いている感情は“好き”という物とは何だか違う気がするし、そもそも喧嘩なんて暑苦しい事はしない。馬鹿らしい……。

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