表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンデッド ─undead─ 一部  作者: 秋暁秋季
第三体 擦れ違う、二人
176/178

5

アンデッド─undead─終了です(´;ω;`)(´;ω;`)


有難う御座いました(´;ω;`)


次号も宜しくお願いします(´;ω;`)

 所長からだと思っていたメールは塊からのメールだった。内容は端的に。


         ──会いたい──


 実はこのメールを貰ったとき、事務所のすぐ近くまで来ていて、歩いて一分もすれば着いてしまうような距離だった。でも今回ばかりは走る事にした。絶対に逃がさない……。だって謝りたいから……。礼が言いたいから。だから逃げないで……。

 急いで階段を駆け上がる。今は“崩れ落ちる”、“危ない”などと考えていられなかった。

「塊!!」

 扉を開くと、ずっとずっと会いたかった存在が目の前にいた。詫びを入れたかった相手が、礼を言いたかった相手が前に、前に──。

 衝動を止められ無かった。そのまま駆け足で突っ込むと、塊の体にしがみつく。胸に顔をうずめてボロボロと泣きじゃくる。

「ごめんなさい……。無理に生かして……。でも……存在してくれて有り難う…………貴方は掛け替えの無い存在だった」

 貴方の人生全てを摘み取ってしまった時から言いたかった言葉。貴方が居なくなって初めて痛感させられた言葉。其れが今、嗚咽混じりの汚い声で紡がれる。

 そんな私に対して塊は何処までも優しかった。

「……有り難う。でもごめんね。辛い思いさせて。今まで会わないようにしていたのはね、紅葉ちゃんを殺してしまうかも知れなかったからなんだ。モヤモヤが溜まって、それをどうにかしたくて、『紅葉ちゃんを殺せば何とかなるのかな?』って思った事もあった。でも、殺さなくて良かった。今会えて良かった……」

 言っていることは残酷で恐ろしいけれど、声色は何処までも穏やかだ。まるど言い聞かせているように。そして髪を撫でてくれている。一定のリズムで子供を寝かしつけるように。私はそれに甘えるように殊更強く塊の胸元に顔を押し付けた。

 でもいっそ、その時に殺してしまえば良かったのに。殺して楽になるのなら、私は喜んでそうしたのに。貴方は何故そうしないの?

 其れに応えるように塊は口を開く。

「だって死んじゃったら、モヤモヤが増幅してしまう気がしたから。紅葉ちゃんの笑顔、見れないと思ったから。紅葉ちゃんが嬉しそうだとね、心が温かいくてモヤモヤしないの。だから笑って欲しいなぁ」

 塊の顔を見ると困ったような笑顔を浮かべていた。許して……くれるの? こんな私を……最低な私を……?

 彼は長い指で私の涙を拭った後、口角を上げるように頬を伸ばす。笑顔を作る事を催促するような素振りだった。

「ほら」

 今まで笑う事を諦めていた頬を無理矢理引き上げる。きっとぎこちなくて、不気味だろう。でも、貴方がそう望むのならば。

「有り難う。今ね、凄く温かい。生かしてくれて──有り難う」 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ