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アンデッド ─undead─ 一部  作者: 秋暁秋季
第三体 擦れ違う、二人
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2

 瞼を擦りながらベッドに向かう。今日は一体何の夢を見るのだろう。やはり要智さんの夢だろうか……?


        ──ピピピピピ……──

 

 あぁ、五月蝿いっ!! そう思って目覚ましに向かって平手をかます。寝ぼけ眼を擦って思った事、『今日は夢を見てないな……』。まぁそんな日もあるか……。

 欠伸をしながらハンガーに掛けられた制服を外す。怠い……兎に角怠い……。学校に行くのが嫌と言うよりも、早起きする事と着替える事がクソ面倒。

 それでも無理矢理服を脱ぎ、ワイシャツに袖を通す。スカートにも足を入れる。なんとか着替え終わり、脱ぎ捨てたパジャマ片手に居間へ。すると何やら弁当箱が置いてあるではないか。

 近くに寄って見てみると、置き手紙があった。


          ──却下──


 腹立つ事この上ない台詞、どうも有り難う……!!

 そんな苛立ちを抱えたままに朝の支度を終え、学校に向かう。

 教室に着くと妙な静けさが無くなって来ていた。少なくともクラスの皆は私のことを“珍獣”だと思わなくなってきたようだ。まぁ楽で良い。

 鞄を机に置くと愛子さんが話しかけて来た。双眸がキラキラと光っている。

「紅葉様、おはようございます」

 今日もマスコットキャラよろしく、きゃぴきゃぴした声音を保っている。にしても……まだ“様付け”か……。

 私が深い溜息を漏らすと、愛子さんは小動物のように慌て始めた。チンチラを檻の中に放り込んだみたいに。

「お……おお…………お悩み事ですか……!?」

「いや、様付けしなくて良いから。あと敬語」

 前は直っていた筈なのだけどなぁ……一度だけど。でも直らないなら無理に矯正する必要も無いし、そのままで良いのかも知れない。

 私は愛子さんの顔をじっと見ると、言いたいことだけを短絡的に伝える。

「でも、直らないなら良いよ。無理して直す程の事じゃないしね」

「有り難き御言葉…………!!」

 愛子さんは胸元で手を合わせると御辞儀した。寺の和尚も見習うような真剣なものだ。そう言えば愛子さんは仏教徒だったな。

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