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「此奴は死亡?」
「うん。前から接近中」
塊は顔だけを此方に向け、何かを踏みつける動作をした。それから姿勢を屈め、何かを引きちぎって後方に投げやる。
硝級鎌を担ぎ上げ、斧でも振り下ろすように窯を振り下ろす。刃を通じて手応えが伝わってきた。恐らく頭蓋に容赦なく突き刺さったのだろう。ぬるりとした感触が頬を濡らしたのを感じる。……気色悪い……悪寒がする。そう言った思いをどうにか消し飛ばし、私は鎌を貫通させる。
真っ二つになったであろう死体から一端距離をとり、感覚的に腕が在るべき部位に振り下ろす。また気色の悪い感覚がする。返り血が噴射され、衣類を濡らしていく。
二体目を始末し終えたところで、私は既に体力を消耗仕切っていた。故に最も愚かな選択をしたのだ。
「紅葉ちゃん!!」
両膝を地に着いた途端、肩に激痛を感じた。痛いなんてもんじゃない。気を失うレベルだ。次に脇腹。血肉が食い破られる感覚。この時私は死を覚悟した。