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アンデッド ─undead─ 一部  作者: 秋暁秋季
第三体 擦れ違う、二人
132/178

1 嫌な目覚めと朝働き

「……ちゃん!! 紅葉ちゃん!!」

「ひっ……」

 ベッドの上。塊が冷たい指先で私の頬を叩いていた。最近は要智さんが夢の中に現れてくれていたので、もうずっと前の事に思えてしまう。

 塊は疲弊しきった私の顔を覗き込むと、手の甲を私の額に押し付ける。嫌な意味で体温を上げてしまった為に結構気持ちがいい。

「今日ね、また死体が出たんだって」

「朝働きか……」

 背を反らし、深い溜め息を漏らした。本当に禄でもない……死体の増加がこれ程までに日常を脅かすとは。だがそれなりに給料も跳ね上がる為に文句は言えない。

 私は何時ものように塊の事を手の甲で追い払うと、着替えを始めた。

 リビングに出ると塊は未だに料理をしていた。手軽に作れるものを朝に出す塊にしては珍しい。猫の足取りで近付き、作成中の料理を見る。

 麻婆豆腐……。朝から凝ったものを作っていた。死体の用件がある時こそ手軽なものを作るべきなのではなかろうか。

「あともーちょっと待っててねー。携帯開いて秋本先生のsnsでも見てな」

 確かに、時間は有効に使うべきだ。という訳で私は携帯を開いて秋本先生の呟きを見る。


 ──ふこふこしたものを抱いていると安心します。相棒の熊・(ボウ)、兎・(アイ)ですっ(*´∀`)


 付随されていたのは熊と兎の縫いぐるみ。自宅の机で撮影したものだろう。原稿の上に置いている……。もっと大切にするべきではなかろうか。

 携帯の画面をスクロールさせて最新情報を見ると、新刊の情報が貼り付けられていた。


 ──今回は絵師様から特性ブロマイドを付けて頂くことになっており、大変舞い上がっております。ちなみに、張り付けた写真は付随予定のものをです。


 岩悪の登場人物がドヤ顔で描かれている。それぞれ劇場版で着用した衣装を纏っている。なる程、これは欲しい。

「はい、出来たよー」

 その返事で、私は携帯の操作を中断した。

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